夏だった

真夏のような暑さだった。それは真っ赤な鼻とこんがり焼けた腕が証明してくれる。

季節外れ、と言うには少し早い時期かもしれないがものすごい暑かった。少し標高の高いところへ行くということもあり、防寒具をかばんに詰めたぼくはばかみたいだ。まさかこれほどまでに暑くなるとは…。

もし防寒具を持っていくことなく、出かけていたのならきっと寒くなっていたのだろう。そう思うと気は少し楽になる、なんてことはない。

まるで海にでも行ったかのような焼け方。身体の表面が熱い、こんな感覚はちょっと久しぶり。そもそも海に行ったのは20年くらい前だから、当然といえば当然かも知れない。ほんとうに誇張抜きでそれくらい行ってないのである。

去年の夏がとんでもなかったこともあり、巷では今年の夏は早く終わっただとか、大したことなんてなかったと言われていた。そう思わせないために、ちょっと思わせぶりな態度をとってきたに違いない。夏を忘れないで、と。

憎めないやつである。

こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。