マガジンのカバー画像

WebMagazineタマガ

32
多摩美術大学芸術学科フィールドワーク設計ゼミが発行しているウェブマガジンです。芸術関連のニュース、展覧会評、書評、美術館探訪記、美術家のインタビューなどアートにかかわる様々な記事…
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

3331 ARTS CHIYODAでアートフェアを楽しむ/NFTアートも販売

「3331 ART FAIR 2022」(東京・千代田区のアーツ千代田3331で10月30日まで開催)の内覧会にプレス関係者として参加しました。1階のメインギャラリーでは26のギャラリーが出展、2階の「体育館フロア」では鷲田めるろ氏、藪前知子氏ら著名なキュレーターや全国の美大、アキバタマビなどが選定した作家の作品を展示するなど、アーツ千代田3331としてはかなり大掛かりなイベントとして開催されていました。 会場の旧練成中学校については千代田区とアーツ千代田3331の運営母体

竹内栖鳳の《班猫》が独自の宇宙を創っている理由とは?

山種美術館で開催中の「竹内栖鳳」展では、人気作《班猫》(はんびょう)が撮影可。同館初の試みとのことです。 竹内栖鳳(1864〜1942年)は、ライオンや熊からアヒルや蛙まで、実にさまざまな動物を描いた、動物愛に満ちた画家です。 沼津で出会った猫 をモデルに描いたというこの絵は、猫の体による渦巻のような表現が無地に近い背景と相まって深みのある世界を作っています。 落款と猫の位置関係は絶妙なバランスを見せています。毛描きがまた素晴らしく、目の当たりにすると意外と大きなこの作品

ZOKU SHINGOは楳図かずおのシン黙示録なのではないか

大阪・あべのハルカス美術館で開催中の「楳図かずお 大美術展」へ。一部撮影可だったので、会場写真を散りばめた。 筆者の頭の中で凄まじい記憶として残っている楳図の作品は、『漂流教室』だろうか。テレビ放映を途中から見てはまったのだが、原作が楳図かずおだと知り、魅力が増した。 怖いのに凝視してしまう。それが楳図の漫画だ。細部まで、とにかく描きこむ。だから、凝視せざるを得なくなるのだ。 この展覧会は回顧展ではない。メインの展示は27年ぶりの新作『ZOKU-SHINGO 小さなロボ

異才は出会うべくして出会ったに違いないと思わせる、青木繁と坂本繁二郎の2人展

東京・京橋のアーティゾン美術館で開催中の「生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎」展(10月16日まで)、素晴らしく充実した内容でした。青木繁(1882〜1911年)と坂本繁二郎(1882〜1969年)の2人はともに福岡県久留米市出身、地元の高等小学校で同級生でした。よくもまあ、この名だたる異才2人が地方の高等小学校で同級生だったなあとも思いますが、展覧会を見渡すと、出会うことは運命だったとも思える内容でした。 ここでは、簡単に比べながら見ていきたいと思います。 洋

伊達政宗を探せ! 住友家の至宝を東京で見る絶好の機会〜泉屋博古館東京「古美術逍遥」展

東京・六本木の泉屋博古館東京で開かれている「古美術逍遥 東洋へのまなざし」展(10/23まで)は、普段は京都の泉屋博古館で収蔵されている東洋の古美術品の至宝の数々を東京でいちどきに見られる稀有な機会となっています。住友家はこんなに素晴らしいものを集めていたのだな! と改めて確認した次第です。中には伊達政宗が小さ〜く描かれた作品も。プレス内覧会に参加しましたので、遅くなりましたがこちらで報告いたします。学芸員の方に、ヴァーチャル・リアリティよろしく、絵画空間の中に入り込む極意を

珠玉の藤田嗣治コレクション! 軽井沢安東美術館がまもなく開館

10月2日に開かれた軽井沢安東美術館開館記念展のプレス内覧会に参加した。(開館は10月8日13:00) 藤田嗣治(レオナール・フジタ)の作品ばかり150点を展示。珠玉のコレクションとはこのことではないだろうか。個人コレクションなので小ぶりな作品が多いが、逆に親しみが湧く。「自宅にお招きするような空間に!」というのがコンセプト。代表理事の安東泰志さんによると、さまざまに旅を重ねながらも戦後はフランスに帰化せざるをえなくなった藤田の紆余曲折の人生を自らの人生に重ね合わせて共感し