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夫の育休、妻から見たら

10月に第二子を産み、夫が2ヶ月弱の育休を取った。

実際に「夫が育休を取る」という人はこれから増えていくと思うが、まだまだ少ない。質問をいただくことも多いので、夫の育休が妻にとってどうだったか率直な感想をまとめてみようと思う。

育休取得に悩んでいる男性や、夫の育休中をどう過ごすのがよいのかイメージできない妊婦さん等のヒントになれば嬉しいです。

そもそも我が家の状況

・都内に住む核家族。2歳になったばかりの長男に加え、今年の10月に次男が誕生

・私の実家は山口県、夫の実家は特急で1時間ほどの関東圏。コロナの影響もあり、行き来してのヘルプをお願いしづらい状況

・コロナや上の子の保育園事情から、都内で産むことに(第一子は山口県に里帰りした)

都内での出産を決めた時点で、産後の時期を夫と私のみ(両親のヘルプなし)で乗り切る必要に迫られた我々。そこで夫は育休取得を決め、社内に相談し業務調整をしてくれた。

夫の会社で男性の育休取得は初だったらしく、取るまでしんどかったと思う。もしかしたら復職後もしんどいかもしれない。そんな状況下で「育休を取ろう」と決めてくれただけでも、里帰りせず、第一子のお世話をしながら産後を過ごす不安があった私にはありがたかった。

取得に向けた、意外な悩み

具体的な取得の流れを夫婦で話した際、悩んだのは取得開始日だ。

多くの場合、出産予定日(妊娠40週目)ちょうどに赤ちゃんが産まれることは稀だ。正産期(いつ産まれても良いとされる期間)は妊娠37〜41週と幅があり、実際に長男は37週で生まれた。

私としては、夫の力が最も必要なのは、出産直後の入院中の長男のお世話と、退院後の1週間だなと考えていた。ただ、いつ産まれるかわからないのに「産まれた日から(急に)育休に入ります」ってのは会社としても困るのでは?

結局、37週に入るタイミングから産前の間は有給を取り、産後は育休に切り替える形で取得することに。出産予定日が10/29だったので、37週に入った10/11から、予定日1ヶ月後の11月末までを取得期間にしてもらった。

お腹の子は37週5日目に産まれてきたので早めから取得して本当によかった!(アドバイスいただいた労務の方、ありがとうございました)

夫が産前に休むメリットは?

産前からお休みしてもらったことは、結果的に凄く良かった。

産前6週間あたりで多くの妊婦さんはお休みに入るけど、そこから出産までにやるべきことは、実はたくさんある。入院時に病院に持って行く服などをまとめて「陣痛バッグ、入院バッグ」を作ったり、新生児の服を用意して洗濯したり、哺乳瓶やオムツの置き場を考えながら赤ちゃん部屋を作ったり。

これらのタスクを、パンパンのお腹を抱えてこなすのは結構(いや、かなり)大変なのだ。こうした準備を出産直前に夫婦で一緒に行うことで、妻の身体的な負担も減るし、いざという時に「何がどこにあるか」を夫が正確に把握できる意味でもメリットだと思う。

土日に一緒にやればいい話かもしれないけど、我が家みたいに上の子がいる家は、上の子のお世話で週末が終わりがち。出産前から男性がお休みに入るのは難しくても、有給を数日とって、夫婦一緒に赤ちゃんを迎える最終準備をやるのはオススメです。

産後の5日間が明暗を分ける

出産から5日間は私が入院で完全不在のため、上の子のお世話は夫がワンオペで乗り切った。こんなに長い時間ワンオペで過ごすのは、夫にとって初めて。かなり試行錯誤したらしく、退院した日に「こうやれば一人でもスムーズにご飯・お風呂・寝かしつけまで行ける」と開発したオペレーションを見せてくれた(笑)。

これは超良いスタートダッシュで、私としても「私が次男のお世話に専念しても、長男は夫がなんとかしてくれる」という安心感を持って、自宅での産褥期(※)ライフに入ることができた。

※産褥期・・・出産後の体が回復するまでの約6~8週間のこと。1ヶ月間は静養しろと医師や助産師の皆さんに念押しされる。

夫の一日の過ごし方

ということで育休中は、上の子の保育園送迎・朝夕のご飯・お風呂は、全て夫に託した。さらに退院直後の1週間は、私がほぼベットから動けないので、私のご飯の準備も夫のタスクに。夫は「毎日があっっっという間に過ぎるね……」と疲弊しながら頑張っていた。

産後1ヶ月の日々は以下の感じだ。

【朝】
・夫が長男のご飯や身支度をして、保育園に連れて行く。私はベッドで次男の授乳、夜間授乳による寝不足を解消するため二度寝
・(産後2週間目まで)保育園から帰宅後、私の朝ごはんの準備など
・夫は洗濯などを行う

【昼】
・夫婦でお昼ご飯、ちょっと一息(後述しますが、落ち着いて夫婦で話せる時間が持てたのは本当によかった)
・必要に応じて、買い物(産後2週間目までは夫。それ以降は場合に応じて片方が外出、片方は新生児を家で見ておく)
・夕飯やお風呂の準備(産後2週間目までは夫。それ以降は共同で)

【夕方〜夜】
・夫、保育園へお迎えへ
・夫、子どもの夕飯の準備をして食べさせる(私は新生児のお世話で寝室に)。その後、お風呂を嫌がる長男を説得しつつお風呂へ
・夫婦で長男の寝かしつけ。(次男がいきなり登場して不安な長男にとって両親とベッドに入るのが嬉しいらしく、夫婦で寝かしつけが定番化)
・高確率で両親ともに寝落ち

実際、夫婦だけで産褥期は乗り越えられるのか?

少し話はそれるけど、私は新卒の頃「実家から遠く離れた場所で、親のヘルプなしで子どもを産んで育てる」なんて無理ゲーだと何となく思っていた。

実際に妊娠して「出産は全治三ヶ月の交通事故レベル。最初の1ヶ月は赤ちゃんのお世話以外せずに静養が必要」という時期(産褥期)があることを知り、ますます恐ろしく思えたものである。産後ヘルパーさんや家事代行などのサービスもあるけど結構お金がかかるし、里帰りせずに産後を乗り切れるのか不安なまま出産を迎えた。

しかし夫の育休に加え、家電(洗濯乾燥機、食洗機、ホットクックが三種の神器)、ネット通販(スーパーの宅配やAmazonメイン)の力を借りることで、想像以上に問題なく産褥期を過ごせた。

ちなみに夫はあまり料理ができるタイプではなく、一番の不安はご飯だった。夫婦の分は、生協の冷凍弁当やネットスーパーの惣菜・冷凍食品(Amazon連携しているライフはネットオーダーしたら当日届けてくれる)でクリア。さらに長男の分も、ホットクックで作れる簡単レシピを夫にレクチャー。退院直後、夫が野菜スープとおにぎりを作って寝室に運んできてくれて感動した(感動しすぎて撮った映えない写真↓)。

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まだ不安も多いけど、この数年の社会的な環境(夫の育休の一般化)と文明の進化(家電やネット通販など)で、核家族の育児は少しずつ良くなっている気がする。これから出産を控える同じ環境の人には、何とかなる部分もあるから安心してと伝えたい。

夫の育休における意外なメリット

私の場合、夫はすでにオムツ替えや調乳などのスキルを身につけていた(第一子がいるので)ため、よく言われる「夫が育休で育児スキルを身につけた」というメリットを感じることはあまり無かった。

私が感じたメリットは以下3点。(1)は前述の通り、そのために育休を取ったようなものだけど、(2)(3)は取得後に発見した意外なメリットだったかも。

(1)親の助けがない状況でも、安心して産褥期を乗り越えられる
子ども(我が家は特に上の子)のお世話、産後間もない妻のお世話を夫が一手に引き受けられる。特に産後1〜2週間は、ベッドから降りることすら辛いので、本当にいてくれてありがたかった。

(2)夫が、上の子を気にせず新生児と触れ合う時間を持てる
第二子以降の育休では、母が産まれた子に集中している間の上の子のお世話が、夫の大きなミッションになる。その分パパっ子になり上の子のいるときに夫が下の子を抱っこすると、烈火のごとく怒る!

育休により平日の昼に少し自由な時間が生まれ、その間に夫は新生児を抱っこしていた。夫が仕事を続けながら時短でサポートするという手段もありえたけど、それだと夫はほぼ新生児を抱っこせず終わっていただろう。

夫が新生児とゆっくり触れ合う時間が生まれたという意味でも、育休は凄く価値あることだったのではと(妻の視点では)思う。

(3)産後の余裕がない中でも、夫婦で話し合う時間が持てた
自分の体が思うように動かせない中、上の子は赤ちゃん返りをし、通常の家事や育児のオペレーションが大きく崩れ……と、産後は家族全員のストレスが増加しやすい時期。私も夫もお互い不満に思うことが増えてギスギスしたりすることもあった。

そんな中でも夫の育休のおかげで、上の子が保育園に行っている日中などに、夫婦で話し合う時間が生まれた。

「話し合い自体は、夫が働きながらでもできるのでは?」という意見もあると思うけど、夫自身が育児・家事に全力で向き合う時間をとることで、その大変さや調整すべきポイントを細かく把握できた意義は大きい。

実際長く話し合ったのは2回程度だと思うけど、今現在うまく行っていないことのすり合わせはもちろん、夫の復職後や私自身の復職後の育児・家事のあり方まで話し合うことができた。

おわりに

つらつらとまとまり無く夫の育休中の出来事を書いてみた。

”夫の育休”というと「育児に慣れるために必要だよね」と言われたこともあるけど、私にとって、第二子出産時における夫の育休は「妻が動けない状態で子ども2人の育児を滞りなく行うために必須」という感想だ。

加えて「夫が赤ちゃんと触れ合う時間」「出産後の新しい我が家のあり方を話し合う時間」にもなったことは、これから20年近く続く育児の土壌づくりとしても、大きな意味があったと思う。

私も仕事しつつ子育てして思うことだが、働いている限り、どこかで常に仕事のことを考えてしまうのは仕方ない面もある。夫も育休に入ってすぐ「仕事について考える必要がないことで、子どもに集中できるのが(育休と仕事をしながらの育児の)大きな違い」と言っていたが、まさに夫の育休は、夫婦がともに120%子どもに向き合える希少な時間になった。私たちは今後も共働きを続けるサラリーマンだし、こんなに育児と家事だけに集中して過ごす日々は、もうないだろう。

2022年からは、改正育児・介護休業法の施行で夫の育休はますます一般的になるだろうけど、実際のところ歓迎ムードじゃない会社も沢山あると思う。だけど声を大にして言いたい、夫の育休は、今後20年間の育児の土壌を作るため、我々夫婦にとって必要不可欠な時間になった。

家庭によって、様々な事情と選択があると思うけど、夫の育休が一層当たり前の選択肢として考えられる世の中になればいいなと思う。

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