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強くなりたいと強く思う(腕力編)

強さにとてつもなく惹かる。
なぜなら、ザ・ファブルをみたから

岡田くん!強い。
木村文乃ちゃん!強い。
わたしだって強くなりたい!

ファブル並の強さがあれば、それこそ怖いもの知らずやん! と思う。圧倒的な強さを保持してないと怖いと感じる時が色々あるから。

それはわたしが女で、弱くて、かなわかった…悔しい経験があったから。
1番自分の非力さを痛感したのは22歳のあの日。

友だちと梅田のちょっと込み入った道を車で通っていた。
歩道も車道も境目がなく車が通ろうと人はどかないそんな道だ。そこで事件は起こった。

サイドミラーが横を通る男の人に手にかすってしまった。
徐行運転中でソロリソロリ。時速10キロも満たない程度ではあったがかすめたことには変わりない。

運転は友達。
わたしは助手席。
当たったサイドミラーは右側。

友達
「やってしまった…」
わたし
「わすがに音したな」

「とりあえず謝ろ」

即ざに車を路肩もないような細い道に停車させ2人でおりて平謝りに平謝り。

車 対 人

そりゃもう、こちらが完全に悪い。

だけどマジで、コツン以下の接触。
絶対なんもなってないやつ。

が、相手が悪かった。

その柄シャツはヒョウですよね?
ほんでもって最後の2個しかボタン閉めてないよね?
ズボンはテロテロよね?
セカンドバックもってるよね?
歯ちょっと少ないよね?
金髪に染めたのは半年以上まえよね?

よね??が全て当てはまってしまう。

それは…つまり…あなたはヤンキーですよね検定に満点で合格しちゃうややこしそうな人なわけだ。

案の定、すごい怒ってる。
いや、悪いよ。こちらが悪い。
だからこうして誠意をもって平身低頭。

が、怒りは全くおさまる気配をみせない。

元々何かに怒りを抱いていて、この出来事を、キッカケに怒りを放出しようとしてるみたいなもらい怒りをぶつけられる。

ぶつけられたということは自分も何かに怒りを発していたのだな…いまなら俯瞰して冷静に思えることだけど。
若かったから。
目の前の怒りから怒りしか読み取れなかった。

どんどんヒートアップして、しまいには一緒に謝るわたしは助手席におったから、
「お前は謝んな!お前はいいわ!」

怒りの矛先が運転していた友達に1点集中し始める。

まずい…。
友だちが可愛そうすぎる。
わたしも同乗していたので一緒ですからなんていいながらひたすら謝り続ける。少しでも怒りの1点集中を回避したい。

通行人はややこしそうなヤンキーVS若い女子…やっちゃったね?の視線だけを投げかけて我かんせずで避けるように通っていく。

警察を呼ぼうか?どうしよか?友達にコソッと言いかけたとき、
「病院代くれて!それで許したる」とヤンキーですよね検定満点の彼が言った。

あっ、お金欲しかったのね…ごねる理由を悟った。

為す術のなかったわたし達はお金を払うことでこの場から解放されるならといくら払ったか忘れたけど、2人ともいくらかを払って解放を選んだ。

解放の安堵から車に乗り込むとにかくこの場を離れたい一心で行先も決めず走り出した。

しばらく走って大通りまでてやっと少しほっとした。

いやーーめっちゃ怖かったな。
やばい人に当たってもうたな?
てか、警察呼べば良かったよな?
でももう怖すぎで、分からんかったわ。
うちらも悪いけどあそこまで怒るか?
あそこまでいったらいちゃもんやで!

目の前のヤンキーがいなくなると強気になって言いたい放題。

ほんで悔しいよな?
わたしら絶対舐められてたよな。
若い女なんか相手からしたらなんも怖ないもんな。
クソーーー

わたしが、ゴリゴリの強面のおっちゃんやったら、
ちやっと窓あけてさ、
「にーちゃん、えらい悪かったな、堪忍な!」で終わったんちゃう?

ほんまや!
それかわたしが、組長の娘やったらさ、
平謝りに平謝りしてる姿を組の若いもんがみつけて、お嬢どうしはったんですか?
と声掛けてきて、血の気の多い若いもんややこしいからだまっとき!とか言っておさめようとしてんのに、
ヤンキーがくどくどゴネてくるもんやから、
若いもんが
「このお嬢はどこのお嬢がしっとんかわれーー」
なんてことになったりさ。

悔しくてそんな妄想をして自分が強かったら!と切実に思った。

女。若い。弱い。非力。

女であるアイデンティティに違和感を感じたことも、女である自分を否定するような気持ちになったことはない。

だけど、自分の非力さに悔しいさ、怖さを感じながら生きてることは否定出来ない。

人気のない1人の夜道はやっぱり怖い。
公園のベンチで男の人が、昼寝してるみたいに無防備に寝れない。
暑いからと今上半身裸になる訳にも行かない。
旅先やどこかで急に野宿する勇気はない。
Tシャツ1枚着替たくてもその場で着替える訳には行かない。
エレベーターで背後にあかん雰囲気の男の人がいたら少し身構える。
真後ろをつめて歩いてい来る男の人がきたらどのタイミングで振り返るべきか迷う。

女である以上、小さい緊張感を忘れないことが危機から守る自衛の策だったりする。

でも、自分に圧倒的な腕力やそれに値する強さがあったら。
その気になればファブルにでてくる木村文乃ちゃんみたいに5秒で殺傷できる能力があれば。
どうだ?

実際に殺傷しないにしてもその力が自分にあれば、いざとなれば戦える自分であれば、無駄に怯えることはないと思うのだ。

だからわたしは強くなりたい。

ほけっーーとしてる42歳が、いつなんどき刺客に襲われようと、突然キレキレに動けて、戦えたらかっこいくないか?

いつも、映画や本にアホみたいに影響を受けてしまうクセ…なんとかならんでしょうか。


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