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力を貸してもらう力(1/4)『他人に頼るのが上手い人、下手な人』

 他人に頼るのが上手な人を見て、「いい性格だな」と感じた経験はありませんか?

 最近は随分と事情が異なってきましたが、私の大学時代は、授業に出ない学生がたくさんいました。そんな学生も、単位を落とすわけにはいきませんから、テスト前になると友人が増えたものです。
「ノートをコピーさせてほしい」
 これが、友人たちの目的です。

 悔しいのが、そんな要領のいい友人の方が、私より成績が良かったりするのです。
「私のノートをコピーして、私より成績が良いなんて」

 自分の力量不足を棚に上げて文句を言わせてもらえるなら、当時の先生にはもっとちゃんと評価して欲しかった。あまりにも理不尽です。

 私は、欠席したときのノートを「コピーさせて」と言えないタイプの学生でした。自分がノートを貸すことが多く、またテスト結果に理不尽さを感じていたからです。そのため、ごく自然に「コピーさせて」と言える友人を見て、いつも「いい性格だな」と思っていました。

 このように、他人に頼るのが上手い人は、きっと社会に出てからも世渡り上手で、苦労なく生きていくのだろうな・・・・・・。他人に頼るのが下手な私は、冷めた目で彼らの様子を眺め、心のどこかで羨んでいたのです。

 このモヤモヤした想いがスッキリと払拭されたのは、就職してから。「他人を頼る」ことと「力を貸してもらう」ことの違いを理解できるようになったことによります。仕事で必要なのは後者でした。そして、そのために大切だった「信頼を獲得する」ということ。都合よく、ずる賢く、要領よく相手を頼る行為は、相手を利用するに等しい行為。信頼を獲得することはできません。

 他人に頼ることが下手でも仕事はできます。相手を尊重し、興味・関心をもち、リスペクトし、そのことを相手に伝わるように表現すること。こうして築かれた関係性は、一人ではできない事柄(複雑な仕事など)を前に進める確実な力となるのです。

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