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第5章 採算管理と損益分岐点分析

5.「損益分岐点」をおさえよう



損益分岐点では固定費と限界利益が同額

 「売上高-総費用=0円」となり、利益も赤字も出ない地点の売上高を「損益分岐点」といいます。

 損益分岐点売上高は、売上高と総費用が同額であり利益がゼロになる地点の売上高です。言い換えれば、限界利益で固定費をカバーし切れなかった、つまり、限界利益と固定費が同額になる地点の売上高といえます。

 限界利益こそが固定費を回収するパワーの源ですが、損益分岐点売上高では固定費を上回る限界利益を稼ぎ出せなかったということです。
 このことを応用すれば、損益トントンとなってしまう損益分岐点売上高を求めることができますね。


損益分岐点は限界利益と固定費が同額になる地点



 売上高に対する変動費の割合を変動費率といい、売上高に対する限界利益の割合を限界利益率といいます。
 売上高から変動費を差し引いた残額が限界利益ですから、変動費率が40%ならば限界利益率は60%、変動費率が60%であれば限界利益率は40%です。

 「いちご大福屋🍓」さんの変動費率は30%、限界利益率は70%です。

 損益分岐点売上高は、限界利益と固定費が同額である点を意味しますが、このときには売上高に占める固定費の負担率が、限界利益率と同じである、つまり、そこまで固定費の負担率が跳ね上がった地点ということです。

 売上高に対する固定費500の負担率が限界利益率と同じ70%であるため、固定費500を70%で割り返せば、損益分岐点売上高を計算できます。

 損益分岐点売上高は、固定費500÷限界利益率70%=715となります。


損益分岐点が持つ意味


 損益分岐点は、会社の状況によって捉え方が変わります。
 
 赤字のときは、現状よりも売上をどれほど伸ばせば黒字に転換できるか、という売上高を意味します。
 ここで売上高のアップは、数量と価格に分解して考えます。


売上高は数量と価格に分解して考えよう



 たとえば「いちご大福」が4個しか売れていない赤字の状況からは、
販売数量のアップで売上高を315超上げる、あと4個売れば黒字に転換」
または「値上げによる販売価額のアップで売上高が220超上げる、つまり、1個155円超で販売すれば黒字に転換」ということになります。
 

 黒字のときは、現状から見て、売上高がいくら下がると赤字に転落するかというギリギリのラインを表わします。
 ここでも売上高のダウンは、数量と価格に分解して考えます。


売上高は数量と価格に分解して考えよう


 たとえば「いちご大福」が10個売れていなる黒字の状況からは、
販売数量のダウンで売上高を285超下がる、あと3個売上が減ると赤字に転落」または「値下げによる販売価額のダウンで売上高が200超下がる、つまり、1個80円未満で販売すれば赤字に転落」ということになります。

 あるいは値引きをして受注しても、利益を確保できるかどうかの判断指標ともなります。

 図表のなかで限界利益率の線の傾きの高さが限界利益率を表わしており、青い限界利益の線と赤い固定費の線が交わる地点が損益分岐点です。限界利益が固定費を上回れば黒字、限界利益が固定費を下回れば赤字となります。

 損益分岐点のことを、損益ゼロの地点ということで、BEP(Break even point)とも略して呼びます。


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