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「決算書」の読み方と「経営分析」のポイント

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「5つの箱」で理解する! 貸借対照表、損益計算書の読み方とキャッシュフロー経営の実践、そして採算管理の基本までをマスター。生産性の高い企業であり続けるために大切なこと、経営分析の…
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2023年8月の記事一覧

第3章 「収益力」の高さはここに表れる

7.ビジネスの成果を「利回り」で評価! 「総資産利益率」は会社の総合力  これまで、「粗利益率」「営業利益率」「経常利益率」「当期純利益率」など損益計算書から収益力を見る指標を取りあげてきました。  最後に、「総資産利益率」で経営成果を総合的に評価しましょう。  総資産利益率とは、総資産(=総資本)をいくら投入して、どれだけ利益を稼いだかという成果を意味します。  会社経営にお金を投資した結果の「利回り」を表わします。  もしも、総資産利益率より外貨預金の利回りの方が

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

1.営業活動キャッシュフローが重要! プラスであるべき「営業活動キャッシュフロー」  キャッシュフロー計算書は、金融商品取引法のルールにより上場会社等に開示が義務づけられている書類です。  キャッシュフロー計算書では企業の経営活動を①営業、②投資、③財務の3つに区分し、それぞれの活動ごとの資金収支と資金増減額を表示します。     これら3つの区分のうち、まず、営業活動キャッシュフローをじっくり見ておきましょう。  営業活動キャッシュフローには、営業損益にかかる資金収支(

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

2.儲かっているのにお金がない、なぜ? 「利益」と「資金」は一致しない  損益計算書での「利益」と手許に残る「お金」が常に同額であるならば、利益管理だけで経営の舵取りは可能です。  キャッシュフロー計算書を作成する必要もない、ということですね。  しかし企業会計での収益や費用は、現金の出入りで記録する「現金主義」ではなく、会計的な事実の発生によって認識する「発生主義」により計上するルールです。  たとえば商品や製品を出荷すれば、売上代金の回収にかかわらず売上高が計上さ

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

3.「減価償却費」が果たす2つの役割 「減価償却費」の節税効果がキャッシュを生む  会社が事業供用している固定資産のうち、時間の経過や使用により価値が減少する資産を「減価償却資産」といいます。減価償却資産への投資額は、購入時には資産計上しておき、その後の事業年度に「減価償却費」を計上することで費用化されます。  減価償却費とは、「価値が減少する部分を償い却す費用」と書くとおり、固定資産の価値減少部分を、収益獲得に貢献する期間にわたって費用計上(償却)することで資産価値を減

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

4.「投資活動」と「財務活動」も見よう 固定資産取得支出が減価償却費を超えているか?  「投資活動キャッシュフロー」には、有形および無形固定資産の取得および売却、資金の貸付けおよび回収、現金同等物に含まれない有価証券および投資有価証券の取得および売却等にかかるキャッシュフローを表示します。  具体的には、次のような資金収入と資金支出が表示されます。 (1)有形固定資産および無形固定資産の取得による支出 (2)有形固定資産および無形固定資産の売却による収入 (3)投資有価

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

5.お金に執着しない会社がお金から自由になれる 「フリーキャッシュフロー」が大切  企業のキャッシュフローを見るうえで「フリーキャッシュフロー」という重要な概念があります。  フリーキャッシュフロー(Free Cash Flow、略してFCF)とは、企業が経常的な事業活動を行い、法人税等も支払った後に、資金の提供者である株主と債権者に自由に分配できる資金余剰額をいいます。  企業の将来の発展、成長のための戦略的な設備投資、企業買収、合併、有価証券投資のための原資となるの

第4章 知っておきたい「キャッシュフロー経営」の基礎

6.「キャッシュフロー経営」は企業体質の改善から 「企業財務」では会社をお金の塊と見る  「キャッシュフロー経営」では営業活動で多くのキャッシュを生み出し、そして、そのキャッシュを投資活動と財務活動で有効に活用することが大切であることを見てきました。  本業でより多くのお金を生み出し(回収し)、単に貯め込むのではなく、将来発展への投資と財務体質の健全化のために、「生きたお金の使い方」をする能力が要求されます。  「キャッシュフロー経営」を実践するとは、短期的な視点だ