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「決算書」の読み方と「経営分析」のポイント

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「5つの箱」で理解する! 貸借対照表、損益計算書の読み方とキャッシュフロー経営の実践、そして採算管理の基本までをマスター。生産性の高い企業であり続けるために大切なこと、経営分析の…
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2023年6月の記事一覧

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

2.「5つの箱」で決算書を理解する  決算書の大本は「5つの箱」です  決算書を読みこなすために、1枚の図形「5つの箱」を覚えましょう。    会社規模の大小、業種、業態、社歴に関係なく、経理の視点で会社経営を語るときのキーワードは「5つの箱」です。  「5つの箱」は、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」という5つの要素から構成されます。  会社が所有しているもの、会社が借りているもの、会社で起こる出来事、すべて資産・負債・純資産・収益・費用という5つの要素のいず

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

3.決算書は「5つの箱」で作られる 「5つの箱」の中身が増減する  決算書は、会社で起こるすべての会計的な「取引」を、記録集計することで作成されます。   会計的な取引とは、「5つの箱」(資産・負債・純資産・収益・費用)の中身(勘定科目)が、金額的に増減する出来事をいいます。  会計的な取引には、必ず「原因」と「結果」の両面があります。  すべての取引を、原因と結果の両面(複式)で捉えて記録するので、1つの取引について、必ず、2つ以上の勘定科目が同時に増減します。  こ

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

4.「5つの箱」に表れる理想的な経営 お金の使い方と集め方の両面で捉える  会社の経営活動を記録集計する「5つの箱」は、ビジネスに不可欠である「お金の集め方」と「お金の使い方」の縮図でもあります。  「5つの箱」の左側(資産、費用)を見ればお金の使い方にムダがないかどうか、右側(負債、純資産、収益)を見ればお金の集め方にムリがないか見えてきます。  左側の「資産」と「費用」はお金の使い方です。  資産は価値のあるプラスの財産ですが、定期預金をするのも、ツケ売りで回収を待

第2章 会社の「安全性」を見るポイント

1.「貸借対照表」を読みこなすステップ 貸借対照表を構成する5つのグループ  貸借対照表(Balance Sheet、B/S)は、財産を報告する日(=貸借対照表日)の資産・負債・純資産を一覧にした財産の残高(Balance)表であり、つねに貸借が一致(Balance)するお金の貸し借りの明細書でもあります。  さらに、資産と負債を流動グループと固定グループに区分表示するので、貸借対照表は「流動資産」「固定資産」「流動負債」「固定負債」「純資産」の5つのグループで構成されま

第2章 会社の「安全性」を見るポイント

2.1年以内の資金繰りは破たんしないか? 流動資産で流動負債を返済できるか?  先に見たとおり、貸借対照表は、「流動資産」「固定資産」「流動負債」「固定負債」「純資産」の5つの要素に区分して報告されます。  流動資産は、正常な営業活動循環内にある受取手形、売掛金、棚卸資産、1年以内に資金化される予定の資産です。  一方、流動負債は正常な営業活動循環内にある支払手形および買掛金と、1年以内に返済しなければならない負債です。  そこで、流動資産と流動負債の金額バランスを比

第2章 会社の「安全性」を見るポイント

3.社長にはちょっと酸っぱい「当座比率」 当座資産で流動負債を返済できるか?  流動比率をより厳しく補完する指標として「当座比率」があります。  当座比率とは、「当座資産で流動負債を耳を揃えて返済できるか」という視点で会社の当座の支払能力を見る指標です。当座資産が流動負債を超えているかどうかを左右のバランスでチェックします。  当座比率は「Acid-Test Ratio」(酸性比率)とも呼ばれ、あたかも「リトマス試験紙」のように当座の資金繰り状況を表わす比率です。  経