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1st EP「Anxiety」

20歳になった。大学3年生になった。
そんな僕の生活は常に不安を纏っている。

就活はどうするの。大学院には行くの。免許はいつ取るの。彼女はできないの。単位は足りるの。

追えないものは追わないようにした。そうすれば不安も減ると思っていた。それでも、僕の心の中には「満たされない」が溜まっていく。

みんなは忙しそうにしてる。みんなにはやることがある。

このまま何もせずに過ごしてていいのか。

いつになっても不安が拭えない。拭えば拭うほど不安が広がっていく。

高校生の時、不安に襲われた私がいつも行くのは海だった。中学校から歩道橋を渡って松林を抜けるとすぐそこに駿河湾が広がる。決して綺麗な海岸ではないが、海が見えるだけで十分だった。

特に誰が話を聞いてくれるわけでもないし、素晴らしい言葉をくれるわけでもない。

ただ波が寄せては返す。それだけで心が救われた。

九州大学芸術工学部。旧帝大の九州大のくせして芸大生風アーティスト気取りの人が集う大橋キャンパス。センスあるクリエイティブな人たちがすぐ隣にいる環境で、また不安に駆られる。

ただ音響の勉強がしたくて、静岡の田舎からわざわざ受験した。合格するために数学、物理、化学、英語を必死に勉強した。

ただ勉強が少しできるだけだった。だからこの場所は居心地が悪い。

僕はアーティストでもなんでもない。

「九大とは違う」とか「俺らは芸工だから」ほざいてる芸工生が多い。吐き気がする。死ぬほど勉強してたどり着いたのがこんなしょうもない場所だとは思わなかった。

さっさとこの場所から抜け出さないと。

就職について調べてまた不安は加速する。

学生時代に力を入れたことはなんですか

あなたの長所はなんですか

学生時代に成し得た功績はなんですか

やりたくないことから逃げて、目を背けた結果僕には何も残っていない。芸工の中でも意識の低い普通の人間だから、個性で戦える人間ではない。

武器がないまま就職できるのか。やっぱり大学院は行くべきなのか。

不安は大きくなってアパートの部屋は真っ暗だ。


真っ暗な部屋で青く光るTwitterの画面に映されるのは忙しそうで充実しているみんなの声と政治批判と知識をひけらかす自称評論家。

一人暮らしを始めて2年が経った。なんとか生きてるけど、毎晩沼津に帰りたくなる。

いっそ全て投げ出して帰ってしまおうか。

もし急にいなくなっても探さないでくれ。

放っておいてくれ。

1st EP「Anxiety」
1. Old Sea
2. I'm not Artist
3. Anxiety
4. Leave Me

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