しょうもない言葉ばかり吐いている

「私は困っている」

「私は迷っている」

「私は悔やんでいる」

「私は優れている」

しょうもない言葉ばかりを吐いている。
言葉は自分の内側から生まれてくる。だとしたらこの言葉たちは自分の一部のはずだ。

それなのに。

「私は泣いている」

「私は笑っている」

「私は傷付いている」

「私は仲間を探している」

彼らは何者だ。
私の内側から生まれてきたはずのこの言葉がこんなにも他人のように感じるのは何故だ。

そんな言葉ばかりだ。
堅苦しい文章で自分を偽って、あたかも自分が周りの人間よりも高尚になったと勘違いしたのか。
所詮、ライター気取りの一般人だ。

文章を書くことで誰かを救おうとでも思ったのか。
その実、自分すら救えず言葉に溺れて己の輪郭も見失ったじゃないか。
お前は何者だ。
私は何者だ。
これは自問ではない。

「私は幸せだ」

「でも私は満たされていない」

「でも私は理解されていない」

「でも私は私を理解していない」

そんなことがあなたを形作る言葉たるだろうか。
私たちは誰かの承認欲求を満たすために生まれたわけじゃない。私たちが生んだ言葉もそうだ。

私たちは凶器を手にしているのだ。
言葉で人を救える。
言葉で人を殺せるから。

もっと本心を見せてほしい。
どんなに醜くて危険なものでも
その言葉には全てを覆す力を持っている。

「私は死にたかった」

「私は傷付けたかった」

「私は憎かった」

「自分さえ良ければ他はどうでもよかった」

死ぬまでまだ時間はある。少なくとも1秒は。
そのとてつもなく長い1秒に全てを乗せるのだ。
私の言葉を。
あなたの言葉を。

どうせ人生は美しいのだ。
どんなに醜い言葉でも構わない。
自分を見失うな。


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