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NICOと私と(3):別れ

これまでのお話

Diverという楽曲に救われ、NICO Touches the Wallsというバンドに惹かれていったことで、私の目の前にはそれまで想像もしなかったような世界が広がっていきました。大好きな、大切な存在ができたことで、私自身も少しずつ変わっていきました。

でも、何事も永遠には続かない。今回はそんなお話です。

別れ

NICO Touches the Wallsを好きになってから、それはもう毎日のようにNICOの曲を聴いていました。そんなのちっとも似合わなそうな私が、ライブに行くようにも、出るようにも(軽音部ってだけですが)なりました。

好きな音楽、やりたいバンド、人様の前で歌う曲などなど、私の音楽ライフはNICOを中心に回っていました。友達や軽音部の間で、NICOといえばたまご、たまごといえばNICOぐらいになっていたんじゃないかなと思います。

そんな私でしたが、大学時代の留学中に一切の日本的なものを封じるという謎にストイックな生活を送った結果、NICOの曲を聴きまくる生活からは少し離れていきました。

あんなに毎日のように聴いていた曲たちも、今はとにかく英語に集中!という理由で自分のプレイリストから外れていきました。(とはいえ、留学の終盤はどうしようもなくなってまたNICOの曲に救われていたんですけどね。本当にこの人たちには敵わない…と思いました。)

こうしてしばらくの間NICOのない生活を成り立たせてしまっていたからか、帰国してからも前みたいに毎日のように聴くということはなくなりました。あれだけ行っていたライブにも行かなくなり…。

だんだん聴いたり聴かなかったりみたいな感じになっていき、ニューリリースの曲を聴いて、「あれ、NICOってこんなだっけ?なんか変わったなぁ…」なんて思うこともありました。(今その曲を聴くと、いやいや、これめっちゃNICOやん!と思うので不思議…。)

ちょっとのブランクを経てもうついていけなくなっちゃったのかな…という感覚があり、すごく好きだっただけにそれを感じるのが悲しくて、余計に離れ気味になっていきました。何にせよ以前ほどの熱量はなくなっていたのです。

でも、それでも、ふとした時に聴いてみるとやっぱりいいなと思うことに変わりはなくて。帰国から2-3年ぐらい経つと、またリリースされたCDをちょこちょこ買い集めるようになりました。しばらく留守にしていたけれど、結局帰ってくるのはここなんだなと…。

ライブやフェスの出演情報なんかも気になった時に覗くようになっていて、ご無沙汰だったけれど今度フェスかライブがあったら久々に行ってみようかしら…とか、ぼんやり思い始めてもいたのです。


ところがその矢先…。


忘れもしない2019年11月15日。


昼間に一通のLINE通知。
「NICO Touches the Wallsが写真を送信しました。」

ライブかなんかのお知らせかな?後で見よ。
と思いつつ、何となく画像1個だけという通知に心がざわざわする自分もいる。

しばらくしてから、やっていた作業を一段落させて恐る恐るLINEを開くと、そこにあったのは…

NICO Touches the Walls活動終了のお知らせでした。


え………?


あまりに突然の知らせに、悲しいとか嫌だとか思う間もなく、ただ呆然としていたと思います。

いわゆる終了ライブ、解散ライブみたいなものも何もなく、たった1枚の通知で急に終わってしまった。こんなの突如置き手紙で振られるようなもんじゃない?(知らんけど。)

何より、またNICOを追いかけ始めようとしていた矢先だったことが悲しさ、虚しさに拍車をかけました。また行こうかなとか悠長に構えている間に、向こうがいなくなってしまったわけです。

なぜもう少し早く彼らのもとに帰らなかったのか、会いに行こうとしなかったのか。やり場のない悔しさが膨れ上がるばかりでした。

そして、そういう気持ちは後から後から波のように押し寄せてくるもので。

ふとした時に曲を聴いたりDVDを観たりしては、
「そうだ、もうこの人たちのライブには行けないんだ。」
「もう直接聴くことはできないんだ。」
と当たり前のことを何度も思っては寂しさ虚しさに浸る。その繰り返しです。

活動が終わっても今までの曲があるというのはそなのですが、ライブのあの感じとか、新しい作品が出るときのあのわくわく感とか、そいうのはもう味わえないのです。

終了から時間がたってからも、「はぁー、みんな今頃どうしてるんだろ…。」とか、友達かよって感じで急に懐かしんでみたり。

「いや、あの人は音楽なしじゃ無理でしょ」とか全く勝手な決めつけで心配し始め、急に「光村龍哉 今」とか検索し始めたり。
光村龍哉の音楽がないと無理なのは自分の方なのにね。

ずっと続くものなんてない。どんなものもいつかは終わる。いくつものバンドが解散やら何ならしていくのを見てきて、そんなことは分かりきっていたはず。

でも、そんな強がりを言い聞かせてごまかそうとしても、思いはこじれるばかり。NICOに限ってはそんなことはないと。そう信じたかったのです。

「ねぇ、みんなどこ行っちゃったの。お願いだから戻ってきてよ…。」
本音はずっとこうだったのです。

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