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ノー・シャーク

あらすじ(Amazon Prime Videoより)

 ある種の苦悩を内面に抱えつつも、「サメに食べられる」という夢を叶えるためにニューヨークのビーチを放浪する女性・チェイス。そんな彼女の独白を12話から成るエピソードで綴ったダーク・コメディ。

感想

 Twitterなどで話題になっていたので、見てみました。
 『サメの出ないサメ映画』と紹介されていたけれど、まさにその通りで、2時間近くずっとモノローグのみ。そして吹き替えもないので(確か日本語字幕もファンが有志でつけたとか)、ひたすら画面下の字幕を読み続けるしかない。

 正直、見る前は『飽きるんじゃないか』とか『コンセプト頼みのつまらない映画なんじゃないか』と思ってしまったけれど、そんなことは一切なく、サメに食べられて死にたいという彼女の、ウィットに富んだ——と表現するのが正しいのか分からないとにかく歪な、毒に満ちた独白が心地よくのめり込んで見てしまった。

 自らのことを「私は本来は書籍化、ドラマ化、映画化もされる、それだけの価値がある人間だ」と語り、目につく人の殆どを下に見ながらも時折抱えたコンプレックスが顔を出す彼女を、映画を見終わる頃には愛らしいと思えてきていた。

 後半の展開がすごいとも聞いていたのだけど、そんな前評判を上回るほどの展開で、ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、見る人によって解釈の分かれるような内容であったが、個人的にはこれ以上ない終わり方だなと思った。
 そしてエンドエンドロール終盤に表示されるメッセージも含めて、とてもいい余韻を感じる事ができるとても好きな映画だった。

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