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美女と野獣

あらすじ

 田舎町に住む心優しき娘・ベル。いつまでも家に戻ってこない父親を心配した彼女は、夜遅く、ひとりで森に出かける。歩き続けたベルがたどりついたのは大きな城。そこには恐ろしい姿の野獣が住んでいた。

感想

 エマ・ワトソンがベルを演じる実写版ではなく1992年に公開されたアニメーション映画の方の美女と野獣。
 小さい頃に見たけれど、うっすらとしか記憶に残っていなかったので殆ど初見としてみる事ができた。
 野獣とベルの、それぞれが心変わりし愛し合っていくまでの描写がちょっと薄く、なぜ愛し合うに至ったかの裏付けが薄いかなとは思ったけれど、その点以外はとても楽しめた。

 また、映画『リトル・マーメイド』で多くの女性団体から抗議を受け、それに伴い今作のベルのキャラクターを「現代的な女性で、活動的なフェミニストにした」とのことだが、結局は性差別的な表現をしていると人権団体「New Internationalist」から以下のような指摘が出ているとのこと。

 この映画での「野獣」が、民話や原作と異なって乱暴な人物にされており、この荒れ狂う「野獣」が、ヒロインのベルの愛情によって「心を入れ替えていく」という内容に改竄されているとして、「これは若い女性への別の危険なメッセージです。ベルが現実世界の人間なら、彼女はほぼ確実に夫から虐待を受ける妻になるでしょう」と警告、批判を行っている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/美女と野獣_(1991年の映画)#性差別内容に対する批判

 確かに、DVをする男性を献身的に支えようとする女性的な側面は、本作のベルのキャラクターに感じ取ることはできた。野獣に対してだけでなく、父親に対しても自己犠牲的な行動を起こすこのキャラクター性は、1992年時点では分からないが、現代の感覚で見ると「現代的な女性」も「活動的なフェミニスト」もどちらも当てはまっているとは思えない。
 そして、見た目ではなく内面で相手を見るべきという、反ルッキズム的なメッセージがあるとは思うのだけど、結局野獣が美しい王子に姿を戻すところに、まだ外見至上主義的な考えが残っているのではないかと感じた。

 個人的に、まだ価値観が固まりきっていない子供に見せるべきかは考える必要があるとは思うけれど、そういう点を取り除けば面白い映画だとは思った。

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