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ボイリング・ポイント/沸騰

あらすじ(公式サイトより転記)

 一年で最も賑わうクリスマス前の金曜日、ロンドンの人気高級レストラン。その日、オーナーシェフのアンディ(スティーヴン・グレアム)は妻子と別居し疲れきっていた。運悪く衛生管理検査があり評価を下げられ、次々とトラブルに見舞われるアンディ。気を取り直して開店するが、予約過多でスタッフたちは一触即発状態。そんな中、アンディのライバルシェフ・アリステア(ジェイソン・フレミング)が有名なグルメ評論家サラ(ルルド・フェイバース)を連れてサプライズ来店する。さらに、脅迫まがいの取引を持ちかけてきて…。もはや心身の限界点を超えつつあるアンディは、この波乱に満ちた一日を切り抜けられるのか……。

感想

 90分ワンショット、編集なしCGなし——この手の映画を見る時(きっとそういう見方をしてしまう人は少なくないはず)、どうしても『どう撮影したんだろう』といったことを考えて見てしまう。
 そのためこの映画も、今見ている映像の後ろにいるカメラマンや音響等の動きを想像しながらみ始めたのだけれど、5分程見たところでそんなことを忘れてしまった。リアルな会話からスクリーンの中の空気感に没入しその場にいるような感覚になり、シーンが途切れないので観客側としては集中力を途切れさせる事ができない。とにかく、90分間夢中でスクリーンを見ていた。
 とんでもなく劇的なことは起きないし、1つ1つの出来事はどこかのレストランで実際に起きているような事なんだろうと思うけれど、どこかスリリングで緊張感がある。こういった点の説明として、ゲームクリエイターの小島秀夫さんが本映画に寄せた以下一文がぴったりの表現だと思う。
店内を動き回る戦場を思わせるワンショット撮影!臨場感、緊張感はアクション映画を上回る!そして映画のレシピたる従業員達にもドラマが味付けされている!アドレナリンと嫌な汗がまさに沸騰しそうになる90分!本作の監督(シェフ)によるコース料理は絶品!

 とにかく、リアルでスリリングだったという表現しかできないのだけど、映画館で見て本当に正解だった。配信されたらまた見ると思うけど。

(以下、軽いネタバレ)
 ゲイバーを経営する彼氏のいる男性のウエイトレスが女性にお尻を触られ、その後若い女性のウエイトレスにそれを愚痴ると、「私なんてそれが毎日だよ」と返されるといったシーンがとても印象に残った。
 こういった、見る人によっては投げかけともとれるシーンがいくつもあるところも、この映画の好きな要素の一つだった。

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