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真夏の方程式

あらすじ

 夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。
 翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。
 これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは——。

感想

 随分前に読んだ記憶があるけど、ガリレオシリーズを一通り読むために再読。
 他のガリレオシリーズ作品とは雰囲気が大きく異なる作品。これまでの作品は、草薙や内海などの刑事が湯川に依頼をし、事件を解決するというのが基本だったが、今回は殆ど草薙や内海の登場はない(基本的に、事件現場から遠く離れた東京での調査の描写のみ)。
 その代わりに登場するのは、少年・恭平。過去作品で子供が嫌いと公言していた湯川にとって水と油だと思われる存在だったけれど、意外といい関係性だった。化学にあまり興味がない恭平と、化学に興味を持ってもらおうと知恵を絞る湯川の攻防はとても楽しめた。

 科学の進歩が環境に与える影響などの問題定義もありつつ、終始ほのぼのとした雰囲気でありながら全ての謎が解けた時にはグッと心が重くなるような、不思議な魅力の詰まった作品だった。
 随分前に映画化されていたけれど見れていなかったので、機会があればそちらもみてみようと思う。

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