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⑱新しい自傷行為

初めは食べ過ぎただけだった。食べ過ぎて気持ちが悪くなり吐いた。ここまでは誰もが経験していてもおかしくはないありふれた話だ。しかし私はそれに自分への罰という意味を見いだしてしまった。

過食嘔吐は、リストカットと入れ替わるように激しくなっていった。家にある食べ物を手当たり次第食べ、吐く。食べる量はどんどん増えて、3人分くらいは食べるようになり、食費は多いときで月に8万円を超えた。そして胃に食べ物がなくなるまで吐いた。時には緑色の液体を吐くこともあった。胃酸で歯はボロボロになった。それでも私は食べて吐いてを繰り返した。一瞬ではあるが、食べると不安が和らぎ、吐くと気持ちが楽になるからだ。

ところがこんな生活は長くは続かなかった。半年ほど過食嘔吐を繰り返したあと、突然吐くことができなくなった。お腹は苦しく、吐き気もするのに何故だか吐けなかった。しかし、過食の方は止まる気配はなかった。この頃になると、食べるものもだいたい決まっており、おにぎり、ハンバーガー、麺類、ポテトチップスなど、糖質ばかりを欲していた。こんな食生活では太る。わかっていても止められなかった。食べていないと不安で不安で気が狂いそうだった。食べているときだけが、唯一自分が自分でいられる。そうだ。リストカットしていたときと同じなのだ。自傷行為がリストカットから過食に変わっただけのことだったんだ。

サポートなしでも生きていけるので大丈夫です。もしサポートしていただけるなら、自分へのご褒美として、美味しいものを飲んだり食べたりします(人´3`*)~♪