だから私は大げさに手を振る。
「わたし、仲良くしたい!って思ってる相手には、意識的に手を振るようにしてるの。」
今から3年ほど前。
同じ年の子どもがいる事をきっかけに、ずーっと仲良くしている友人のAちゃんに言われた言葉。
私は『手を振る』という行為を深く考えた事がなかったので、驚いた。
思い起こせば…
手、確かに振られてたな。そして私も嬉しくなって笑顔で手を振り返していたっけ。
そうか。私がAちゃんと仲良くいられるのは、一緒にいると嬉しかったり楽しいからなんだ。そしてそれは、きっとAちゃんの何気ない雰囲気作りが上手だから。
「なるほど。それ、良いね!私もやってみるわ!!」
コミュニケーションの一環として、私も『手を振る』ことを取り入れる事にした。
手を振る時って、どんな気持ちかな?
『あなたに会えて嬉しい。』
『仲良くしたいよ。』
『大好きだよ。』
『また次も会えたら良いな。』
『元気でいてね。』
『がんばって!!』
家族にも、友人にも、子どもの友達にも、知り合いのママさんにも…。ここには書ききれない、色々な気持ちで手を振る。
手を振る事で分かったのは、相手も意外と手を振り返してくれる事だ。
例えば
近所の子や、我が子の友達(主に単体で)にバッタリ会って「こんにちは」と挨拶する時。私の声が小さいのもあって、返事が返ってこなかったり、恥ずかしそうにササッと逃げられたりする事があった。
でも、目が合ったな~というタイミングで笑顔でヒラヒラと手を振る事にしたら、どの子も振り返してくれるのだ。
知り合いのママさんに会った時は会釈で挨拶をしていたが、会釈をやめて思い切って手を振ると、びっくり。
案外大人でも笑顔で手を振り返してくれる。
「うん。私は誰かに話しかけるのが苦手だけど『手を振る』なら、イケル!!」
このやり取りをする事で心の距離がちょっぴり縮まったような気がして、私自身とても嬉しい。何だか分からない手応えを勝手に感じたのだった。
しかし新型コロナウィルスが流行ってから、家族以外の誰かに会うことが激減した。
だから今は余計に、知り合いに会えたら嬉しくて。
少し離れたところにいた友人に、調子に乗ってぶんぶんと大きく手を振っていたら、ふと子どもの頃を思い出した。
夕方、大好きな友達と遊んだ帰り道。まだ遊びたくて、離れがたくて、お互い姿が見えなくなるまで大きく手を振り合った。
それはとても懐かしい気持ちで、何だが胸がきゅーーーっとなった。
手を振る相手がいるって良いね。
だから私は、色々な気持ちを込めて
少しだけ大げさに
今日も誰かに手を振っている。