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元研究開発者の日々の情報:お酒に強い人・弱い人とアルコール依存症(2020年12月25日号)

(1)お酒に強い人・弱い人

現在、コロナ禍で外でお酒を飲む機会も減っているとは思いますが、自宅飲みをする人は結構多いと思います。

一方で楽しいお酒もありますが、お酒に含まれるアルコールによってもたらされる様々な影響が起きているのも事実です。すなわち、飲酒運転、未成年者飲酒、アルコール依存症、イッキ飲みなどの問題が起きています。

身体的にお酒に強さを考えてみたいとおもいます。

アルコールの分解に関する酵素は、アルコールを分解する酵素とアセトアルデヒドを分解する酵素の2種類があり、このうちアセトアルデヒドを分解する酵素は次の2種類があります。


①お酒の分解能力は遺伝する

お酒を飲んだときに発生する有害物質アセトアルデヒドは、体内の「ALDH(アルデヒド脱水素酵素)」によって分解されます。ALDHには、アルデヒドが低濃度のときに働く「ALDH2」と、高濃度にならないと働かない「ALDH1」があります。
「ALDH2」の活性が弱いか欠けていると、アセトアルデヒドが貯まりやすく、「お酒に弱い体質」になります。この酵素の活性は遺伝子によって異なるので、私たちは両親からお酒に「強い」か「弱い」かを受け継ぐことになります。ただし、アルコールで全身の臓器に障害をきたすのは、むしろ「お酒に強いといわれる体質」の人なので注意が必要です。 また、ALDH2が完全に欠けている人は、いくら訓練してもお酒に強くなることはありません(後に詳細を書きます)。

②アセトアルデヒド

アセトアルデヒドは、血液中のアルコールが肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によって分解された中間代謝物質。アセトアルデヒドは、次ににアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により分解されて酢酸へ、最終代謝産物として炭酸ガスと水になります。飲酒により生成されるアセトアルデヒドは、DNAやタンパク質に結合して付加体となり、様々な疾病(諸説ありますが発がん性と関連しているとの報告もあります)に関与しているとされます。

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③アルコールの分解

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お酒が強い人と弱い人の差は、このALDH2型の酵素の活性遺伝子の型によると言われています。

③ALDH2型の酵素の活性遺伝子の型

◆NN型
ALDH2型の正常活性遺伝子型(お酒に強い)

◆ND型
NN型の16分の1の活性しかない遺伝子型(ある程度は飲める)

◆DD型・・・・
ALDH2型の活性のない遺伝子型(ほとんど飲めない)

女性の場合は、女性ホルモンが酵素の働きを抑制するため分解力が弱くなるといわれています。

同じ量の酒を飲んだ場合の血中アセトアルデヒド濃度は、ND型はNN型の人の4~5倍、DD型はNN型の人の20~30倍になると言われています。

人類はもともとはNN型でしたが、数千年前シベリア地方(あるいは東アジア)で一人の人間の遺伝子に突然変異が生じ、結婚等によりこれが東アジアに広がっていったと言われています。

したがってヨーロッパ等の人種は殆ど全員がNN型でお酒に強く、モンゴロイド(蒙古系人種)に属する中国、朝鮮半島、日本、東南アジア地方の人種は一定の割合でND型あるいはDD型といったお酒にあまり強くない人がいると言われています。

また、モンゴル系でも、旧モンゴル系と新モンゴル系があって、新モンゴル系の弥生人の遺伝子を強く受け継いでいる人は弱く、旧モンゴル系の縄文人の遺伝子を強く受け継いでいる人は強いと言われています。

「ALDH2」不活性型の割合
日本人・・・・44%

中国人・・・・41%

韓国人・・・・28%

タイ人・・・・10%

フィリピン人・・・・13%

インド人・・・・5%

ハンガリー人 ・・・・2%

ナバホー人(アメリカ原住民)・・・・ 2%

ヨーロッパ系白人・・・・0%

ハンガリー人 ・・・・2%

アフリカ系人・・・0%

これも諸説ありますが、日本人は、縄文人系はNN型、弥生人系(大陸から日本列島に移住)はND型あるいはDD型が多いと言われていますが、その割合は、NN型56%、ND型40%、DD型4%と言われています(別説として、ALDH2型を持たない人が25%はいると意見もあります。)。

アセトアルデヒド脱水素酵素の欠損率が高く酒に弱い人が多いのは弥生系で、日本人の3~4割は、ほどほどにお酒は飲めるが、1割近くの人は訓練しても飲めるようにはならない(残りの5割強は強い)との説もあります。

縄文系と弥生系の見分け方(目安)
◆縄文系・・・・・
眉毛が濃くて起伏が比較的大きい顔の人。歯が小さくて裏側が平ら。
◆弥生系・・・・・
眉毛が薄くて割りに起伏が少ない顔の人。歯が大きくて裏側がシャベル状。

アルコール分解目安:

アルコール分7%の缶チューハイ(350m)
缶チューハイに含まれるアルコールの分解にかかる時間 ⇒ 約3時間

アルコール遺伝子ほか、様々な遺伝子解析は👇

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(2)アルコール依存症

日本のアルコール依存症者の数はおよそ100万人ですが、アルコール依存症疑い(約300万人)問題飲酒者(約600万人)を合わて依存症予備軍は推計900万人です。

また、これに生活習慣病のリスクを高める飲酒者(約1000万人)を含めた約1900万人の人がハイリスク飲酒者です。・

①若年女性

アルコール依存症は中年男性の病ととらえられがちですが、実際には20~30代の若い層にも多く、最近は若い女性が治療するケースも目立っているのそう。

原因のうち一定数は、ストロング系飲料の存在。飲みやすさとは裏腹にアルコール度数が高いため、気軽に飲み続けるうちに多量飲酒に移行しやすいと言われてます。

②アルコール依存症のイメージ

イメージ:貧相な服を着て酒瓶抱えて手をふるわせながら飲んでいる人

実態:10人依存症者がいれば9人は自分が病気だとは思わず、職場や家庭で役割を果たしています。

③アルコール依存症WHO(世界保健機関)チェックシート

http://alcoholic-navi.jp/checksheet/

クリニックで診るアルコール依存症 減酒外来・断酒外来

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引用:

1.社団法人アルコール健康医学協会資料

2.東京国税局税課

3.お酒の代謝能力の違い・人とお酒のイイ関係(アサヒビール)

4.厚生労働省

5.ストロング系の常飲はハイリスク? - ライブドアニュース

6.アルコール依存症治療ナビ

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