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私の本箱No.1 〜ガダラの豚〜

初めまして。
「私の本箱」では、本屋さんを夢見る私が、皆様におすすめしたい本を紹介します。

初回は、中島らも「ガダラの豚」をご紹介します。
Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ巻と続く長編で、民族学者・大生部とその家族を中心に話は展開していきます。
私が特におすすめしたいのはⅡ,Ⅲ巻。民族学者・大生部とその家族はテレビクルーと共に、ケニア・クミナタトゥという呪術師の村へ取材に行きます。
そこで最大の禁忌を犯した一行は、最強の呪術師バキリとの因縁の戦いが始まるのです。

呪術師との戦いというとオカルト小説のようですが、呪術とは一体なんなのか、大生部の言葉を通して考察されており、学術書的な重みを感じます。
また、全てが終わった後、大生部と逸美が交わした言葉は、涙無しに読み進めることはできません。

バキリとの戦いは思わず目を覆いたくなるほどの凄惨さですが、アフリカの雄大なサヴァンナやラストシーンの情景は美しく、必見です。
文章だけでこれだけの映像を想起させることができるのかと震えます。

中島らもファンはもちろん、今まで読んだことがなかった皆様にぜひおすすめしたい一作です。

2022.1.23


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