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育休の振り返り(1)

下記の記事で書いたように,5月に子どもが生まれて育休をとりました。育休をとってみて感じたことや考えたことなんかをつらつらと書いてみようと思います。

1万字を超えたので,分割して投稿します。この記事では,次のようなことを書きます。


育休はとって本当によかった

いやこれにつきますね。自分がもしフルタイムで仕事をしていたらとか,育休が1週間とかで妻が1人で様々なことをその後していかないといけないとしたら(大学教員は働き方が一般企業勤めの方よりもフレキシブルな側面があるとはいえ),「まじで無理じゃね?」って感じでした。「二人いても大変だってお互いに思うときがあるわけだから,一人でなんて絶対に無理だよね?」っていう感じです。仮に自分が一人で子育てと家事(一部分担してもらえるとはいえ)となんてやらないといけないとなったら,確実に鬱になっていたと思います。

仕事しながらでもできるという人もいるだろうけど

別にフルタイムで仕事しながらでも家事も育児もやってきたし育休とらなくてもなんの問題もなかったけどね?っていう人も実際にいるんだと思います。そういう人は,鬼のような体力とメンタリティの持ち主で普通の人の参考にはならないか,自分がどうにかなったと思っているだけで実際にはパートナーが超人的体力とメンタリティ(と本人は自覚していなくても)を持っていたり,両親・義両親のヘルプを(当たり前のものとして)活用した結果,そういう認識に至ったんじゃないかなと思っています。

あとは,QOLの変化をどう受け入れるのかというのもあるのかもしれないと思いました。私や妻は,例えば子どもができたことによって,例えば

  • 掃除があまりできなくなって家が汚くなることは受け入れられない

  • 洗濯物が溜まっているのは受け入れられない

  • 食事は美味しく楽しく食べたい

  • 夫婦でゆっくり話をする時間も必要

みたいなのがありました。こういうのがQOLの重要な要素として認識されているっていうことですね。そういうのはまあ多少犠牲になっても仕方ないよねそれでも生活がとりあえず回っていればOKでしょうっていう人もいると思いますが,うちはそうではない,ということですね。こういうものを維持しようと思うと,生活家電は駆使しつつも,育休を二人でとるというのは合理的な選択だったと思っています(ちなみに,ロボット掃除機,ドラム氏洗濯機,自動調理器はすべて導入してます)。

取得時期と取得期間

結論からいうと,妻の退院予定日からでいいかなと思います(あたり前田のクラッカー)。私は何も考えずに出産予定日からにしてました。

これは里帰り出産になるかどうかも関係しているのかもしれません。里帰り出産の場合は,里帰りから帰って来るタイミングで取るのが一般的だと思うので,そうではない場合の話です。ちなみに,里帰り出産をするかしないかの決断というのにも,男性の育休取得可能性と,男性の家事・育児能力が関係してくると思います。もともと,なんで里帰り出産をするのかって,産後の妻のケアと家事育児を夫が担うことが難しいからっていう発想だと思うんですよね(調べてないので適当です)。もしも,夫がそれらを担うことができるなら,通いやすい自宅近くの産院での出産というのが候補に入ってくるのではないでしょうか(私の場合,無痛分娩ができる評判の良い産院がたまたま近くにあったというのもありますが)。よって,産院選びの段階から育休の取得時期について話し合うことも重要ではないかと思います。里帰り出産と自宅近く(あるいは自宅から通える近さ)の産院で出産するというときに,後者の選択肢を選びたいときに,「男性の育休が取れない」というのが理由でそれが不可能になってしまうのだとしたら,産後すぐの段階で(もちろん退院予定日からでしょうけど)少なくとも1ヶ月は取ったほうがいいと思います(そりゃ長けりゃ長いほうがいいですが,なぜ1ヶ月だと思ったかは後述)。

里帰り出産を「しない」という選択

里帰り出産をしないことは,子育てをほとんど同じタイミングでスタートできるという面で夫婦双方にメリットがあると思います。もちろん,産後退院するまでの間に女性は産院で沐浴指導や授乳指導などがあったり,母子同室であればお世話もスタートしているので,1週間のビハインドは男性側にはあります。ただ,これが1ヶ月から数ヶ月遅れというのと,1週間遅れというのはまったく違うだろうなと思います。1週間であれば全然キャッチアップできますが,数ヶ月をキャッチアップするのはおそらくかなり難しいでしょう。そうなると,どうしても「手伝う」止まりになってしまったりすると思います。

私たちの場合は里帰り出産ではなく,自宅近くの産院での出産でしたので,産後1週間で妻は退院して帰宅しました。産休は基本的に出産日(出産予定日)からの取得になるので(私の勤務先の場合,もし出産予定日より早まったら出産日,もし遅くなっても予定日からの産休で,繰り下げというのはなかったです),私は出産予定日からの取得ということで申請を出していました。結果的に出産予定日の1日後に息子が生まれましたので,生まれる1日前から育休がスタートしたことになります(実質的には,その前から研究以外の業務が免除されていたので,もっと前から育休スタートの気分だったのですが,それは私の特殊なケースなので割愛)。実際に生まれてからの1週間は,毎日面会可能な午後の時間に産院に行き,1時間という制限の中で妻と話をしたり子どもを抱っこしたりという感じで,それ以外に特にすることはありませんでした。育児に必要なグッズも出産よりだいぶ前にほぼ全て揃っていたので,私がその期間に買ったものといえば粉ミルクとオムツくらいでした。この2つは,産院で何を使っているのかがわかるのが生まれたあとなので(事前に聞けばわかるとは思いますが),それに合わせて産院と同じものを買うことになりました。
私の場合,アメリカ留学時のルームシェアも含めればトータルで6~7年くらいのひとり暮らし経験があり,なおかつ20歳くらいの頃から実家暮らしでも自分の飯は自分で作る,食材の買い物も自分でやる,という暮らしだったので家事スキルは偏差値75くらいだと思います。そういう私なので,普段から家事には妻と同様に参画していて,この時期に家事を覚えるとか慣れるとかそういう必要はまったくありませんでした。よって,最初の1週間は別に育休と言っても子どもの世話をするわけでもなく,もし仮に限られた時間しか育休が取れないのであれば,絶対にこの期間に育休は取らないなとあとから思いました。よって,育休は妻と子どもが産院から帰宅するタイミングで取るのがよいと思います(あたり前田のクラッカー2回目)。

取得期間

まず大前提で,一概にどれくらいがいいとは言えないなとは思います。職場の状況でどれくらい取ることができるかもあるでしょうし,どういう家庭の回し方になっているかというのも関係すると思うからです。妻の友人は,私が(実質的には育休ではない夏休みも含めて)半年くらいの育休を取るということを聞いたとき,妻に「そんなに家にいられても...そんなにいらない」というようなことを言っていたようです。大事なのは,時期にしろ期間にしろ,夫婦でよく話し合って,計画を立てておくことでしょう。私は公式の育休が7月31日で終わりましたが,もし仮にこのタイミングで100%アクセル踏んで仕事をしないといけない,となったら,結構しんどかったかなと思います。それは,育休中にしっかり仕事をしなかったから(言い換えればしなくていいように配慮してもらえた)というのもありますし,まだまだ子どもとずっとずっと時間を一緒に過ごしたいという強い気持ちがあったからです。

なぜ1ヶ月か

さきほど,育休は1ヶ月と書きました。その理由なんですが,私が経験した感じだと,退院後の1-2週間って,赤ちゃんはほとんど寝ていて,起きたらミルク,ミルク後にまた寝る,みたいな感じのことが多かったのでそこまで手がかからなかったからです。正直,最初のほうは割と朝にゆっくり仕事することもできていました。ただ,3週目から1ヶ月になる頃には,寝ていない時間は基本的に泣いている,という状態がやってきて,この頃が正直一番きつかったです。いわゆる「魔の3週目」とか「メンタルリープ」とかいうやつです。しかも,体も成長して泣き声のボリュームが数段レベルが上がっていて結構大きいわけです。オムツとかはもちろん確認するわけですが,まだ目もほとんど見えていないのでおもちゃであやせるわけでありません。抱っこしてトントンしてゆらゆらして歩き回って,とかだけでは全然泣き止まなくて,ひどい時には10分以上連続で,断続的に20-30分ギャン泣きが続くこともあり,この頃は結構疲弊してしまったいました。どうしても泣き止まないときもあるからそういうときは一旦離れましょうとかそういうアドバイスもありますが,泣き声って聞き続けて心地よいものではないですし,離れても泣き声は聞こえてくるわけです。特に,朝バトンタッチしてからとか,妻が昼寝をしているときにギャン泣きしてしまったりすると,寝ている妻を起こしてしたくなという気持ちもあって,「頼むからなるべく静かにしてくれ...」と思ってしまっていました。

妻ははそれに気づいて,逆に私に気を遣ってくれていましたが,気晴らしが大事だと言われても気晴らしに何したらいいんだろうっていう気持ちでした。

1ヶ月経つと妻も外出ができるようになったので,妻と相談して,どちから一方が外で過ごす,という時間を作るようにしました。具体的には,買い物とか,必要に迫られたこと以外の外出をするとか,お昼に一人で外食をしてくる,などです。例えば駅前のスタバに行って本を読んだりとか。家の中で部屋を分けて家事育児から離れるということもできなくはないわけですが,同じ家に住んでいる以上泣いていたら聞こえるし,家のことを何も気にせずになにかするのはなかなか難しいわけです。外に出る,ことは環境を変えて自分の頭の中をリセットすることにもなりますし,メンタル的にも何もしなくてもリフレッシュになります。というか,何もしないことがリフレッシュになるといったほうがいいかもしれません。

少し脱線しましたが,取得時期は育児レベルを夫婦で揃えられるように早めのタイミングがいいとなったとき,そこから1週間とかだと,別にそこまで大変ではない時期に育児をすることになるのではと思うのです。その感覚で仕事復帰すると,そのあとにある「魔の三週目」あたりでの子どもの変化を敏感に感じ取る事ができない上に,そこである種の混乱というか,今まで違うということに戸惑う妻と認識のギャップが生まれてしまうような気がしています。それくらい,私の中ではこの時期の変化に驚いて,「最初の1, 2週間は楽勝だったな...」と思ってしまいました。もちろん,ここから先,4ヶ月になる頃に,私は本格的に仕事がフル稼働になり,それ以降は今のように長い時間を子どもと過ごすことができなくなります。その期間にもきっとまた変化があるでしょうから,そこで妻と何らかの認識のギャップが生まれたりする可能性も十分にありえると思います。それはおそらくどのタイミングで育休を終えても,一緒なので,育休を終えても妻とのコミュニケーションを密にとって,できるだけギャップが生まれないように意識していくことは重要でしょう。とはいえ,1度「めちゃくちゃ大変」みたいな時期を妻と同じタイミングで経験しておくのとそうではないのでは違いがあるかなと思っています(次の記事で書く予定のシフト制の話と矛盾するようなこと言ってるかもしれません)。これは,「大変な思いをしないといけない」とか,「そうしていないのはだめだ」ということではありません。大変な思いなんてしなくていいならしないほうがいいと思っています。

個人差あるので一般論は難しいけど

もちろん,子どもは本当に一人ひとり違っていて,周りで見聞きする話も,ネット上にある話も,情報としては有益なことに間違いないわけですが,どの家庭にも当てはまる普遍的な話,みたいなことになると抽象度の上がった話にならざるを得ません(これは研究と実践の話とパラレルかもしれませんね)。また,子どもも日々成長しているし人間なので日によっても違います。よって,あるときにうまくいったことが別のときにはうまくいかなかったり,これまでうまくいっていたことがある時期を境にうまくいかなくなるなんていうことも日常茶飯事です。

2ヶ月とってよかったと思うこと

だんだんと目が見えてくると親と遊べるようになってくるので,これまではおもちゃを見せてもなんの反応もなかったのが,2ヶ月をすぎてくるとだんだんとおもちゃにも反応を示すようになってきますし,目でものを追ったりもします。手足が動くようになるともっとその傾向が強くなってきます。とはいえ,まだ手を認識し始める頃で自由に手を動かしたり物を掴んだりすることはできないので,親がそばにいてあげて遊びを「サポート」してあげたりすることになります。そういうタイミングでじっくり子どもと時間を過ごせたのは本当によかったなと思います。きっと仕事に復帰したら,もっともっと子どもと一緒にいる時間を作れたらって思うことにはなるんでしょうけれど,今の段階では満足しています。育休は7月末で終わりましたが,授業の始まる9月の下旬前までは家にいる時間を長く取れますし。

おわりに

さて,この記事では育休の取得時期や期間について書きました。次の記事では,育休中に気づいたことや金銭的なことについて書きたいと思います。


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