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交渉思考 〜麦わらの一味にも負けない仲間と歩むために〜

こんにちは。
職場の先輩に「これすごく勉強になるよ!」と教えてもらった本がとても面白かったので、紹介します。

武器としての交渉思考(瀧本哲史 著)

本書は、エンジェル投資家で京都大学の客員准教授として有名な瀧本哲史さんが書いた、どんな時にも役立つ交渉のマインドと術を学べる本です。
この本のメインターゲットはおそらく若手向けですが、30を超えるおじさんにとっても、ビジネスシーンから日常生活の些細なシーンで役に立つと感じました。

交渉のテクニックも色々と記されているのですが、それ以上に「なぜ交渉思考が大切なのか」「交渉思考を使って何を成すべきなのか」という、目的や背景の部分で、考えさせることが多かったです。


交渉思考とは


ロマンとソロバン

ロマンとソロバンを結びつけるのが交渉

複数の人間が話し合い、合意結ぶためには、はじめにロマン(夢や目標、目的)が必要。

その上で、そのロマンを実現するためのソロバン(金銭的裏付け、コスト計算等)が不可欠。

このロマンとソロバンが結びついた時、初めて交渉が成立する。

ソロバンを重視することはやや嫌らしい感じがするが、ロマンだけでは何も変えられないのが現実。
もちろん、そもそもロマンが無いと何も始まらないわけだが、その熱い思いに、ソロバンを結びつけることで、初めて社会を変える力が生まれる。

相手の利害

交渉の際は、こちらの立場を相手に理解してもらおうと考えるのは不適切。相手の立場と利害を見極めた上で、それを満たそうと考えるのが大切。

特に、継続的な関係性が築かれる際には、相手側のメリットを実現してあげることを重視し、その上で自分もメリットが得られるようにするのが、良い交渉と言える。

また、交渉はゼロサムゲームではなく、お互いの利害を分析できれば、双方の利益を大きくできるケースも少なくない。

そもそも交渉においては、「Win-Win」は当たりまえ
そこにあるのはBig WinとSmall Winであり、相手の利害を重視しつつ、いかに自分をBig Winに寄せられるか、思考を凝らす。

ただし、自分のBig Winを重視しすぎる交渉は、交渉決裂(Lose-Lose)になりかねず、結果的に自分の損失につながる恐れがある。

「バトナ」の重要性

「バトナ」とは ”Best Alternative to a Negotiated Agreement" の略で、「相手の提案に合意する以外の選択肢の中で、一番良いもの」を指します。

交渉において、バトナを持つことは超重要です。
バトナが良い選択肢であればあるほど、交渉も強気でできるようになり、交渉力が高まります。
そのため、交渉に臨む際には、より良いバトナを用意しておくことが大切です。

さらに、相手のバトナを分析すること、相手に自分のバトナをどう認識されているかを把握することも大切です。

非合理的な人間とどう向き合うか

人間は感情の動物です。ほとんどの人間は非合理性を持っていて、交渉においても、非合理な判断をする人が多いそうです。

非合理的な人間には以下のタイプがいて、それぞれに合った対応ができると、交渉がしやすいです。

私の分類では、こういう非合理的な主張をする人には、大きく分けて6タイプいます。
①「価値理解と共感」を求める人
②「ラポール」を重視する人
③「自立的決定」にこだわる人
④「重要感」を重んじる人
⑤「ランク主義」の人
⑥「動物的な反応」をする人

①「価値理解と共感」を求める人には、相手の価値観に合わせてあげる。
②「ラポール」を重視する人には、時間をかけて相手との信頼関係構築の努力をする
③「自律的決定」にこだわる人には、説得しようとはせず、判断のための情報提供を重視する
④「重要感」を重んじる人には、口だけでなく行動で敬意を示す。
⑤「ランク主義」の人には、高いランクのメンバーと共に接する。
⑥「動物的な反応」をする人には、相手の生理的感情に配慮し、時にはうまくスルーする。

これらの傾向も把握した上で、相手を分析することを忘れないことが大切です。

言葉は最大の武器

民主主義体制の社会では、銃と大砲で政府を倒す必要はありません。それは選挙というシステムを通じて、革命を簡単に起こせるからです。
私たちのいま生きる日本は、言葉の力で政府を倒すことができるのです。

ある分野でプロフェッショナルになるには、その分野の言葉を覚える必要がある。
そうした業界用語を「ジャーゴン」と呼ぶ。ジャーゴンを使うことで仲間かどうかが見分けられる便利な面もあるが、ジャーゴンに頼ると、外部とのつながりが生まれない

自分の外部にいる他者とつながり連携し協力するのは、外部で話されているジャーゴンを学び、自分の言葉を常に洗練させていく必要がある。

それができれば言葉は最大の武器になり、国を変える力を持つ。
きれいごとに聞こえるが真実。
但し、一人でできることには限界がある。

言葉を磨くことで素晴らしい仲間を作れる。
素晴らしい仲間と一緒なら、大きな変革も成し遂げられる。

気づき・考えたこと

仲間を作ることの大切さ

なぜ交渉思考が大切なのか、考えさせられました。
交渉によって素晴らしい仲間を作れれば、仲間と共に何か変革を成し遂げられる。
交渉とは、目の前の商談のためのテクニックというだけでなく、
もっと大きなことを成し遂げるための仲間づくりに必要な能力なんですね。

確かに、麦わらのルフィも、「一人では生きていけない自信がある」と豪語していました。
海賊王になるために、仲間の存在は必須であり、そんな仲間を惹きつけることができたのが、天性の交渉思考、だったのかもしれません。

恥ずかしながら自分は「将来何か成し遂げたい」と考えているのですが、
そのためには仲間が必要で、その仲間をどのように築くのか、どのように「何かを成し遂げる」のか。
何かを成し遂げようとするプロセスの全てで、この「交渉思考」が必須だと感じました。

また、世の中に良い交渉が増えれば、あらゆる合意により生まれる付加価値がもっと高まり、社会を豊かにする可能性も秘めているとも感じました。

小手先のテクニックが書かれた本かと思ったら大間違いで、
何かを成し遂げたい人、他者とより良い関係性を築きたい人には、
ぜひ読んでおいてほしい本です。


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