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20240403 頭蓋骨、ポストの宇宙

 11時に予約していた美容室に行った。洗面台に重たい頭を預けて初めてヘッドスパをしてもらったら、「こんなに硬いとは」と言われて「何がですか…」と聞くと「指が入っていかない」と、頭皮が凝り固まっているらしかった。頭上には桜が咲いていて、冷たい雨も降っていた。傘を広げ、気持ちよさの余韻を味わいつつ隣の郵便局に入ってゆうパケットポストminiという規格の封筒を20円で購入した。メルカリに出品した、ソフトドリンクを運ぶトラックのミニカーが売れたので彼を封筒に入れて名前も住んでいる場所も知らない人のところに送り届けるのだ。
 プチプチの梱包材で包んだミニカーを入れると、封筒は歪な形に膨らんだ。宛名を書かずにポストに封筒を投函するのは不思議な感じがした。ポストの中にまだ誰も到達したことのない宇宙が存在していそうだった。ミニカーが自分の手を離れてしまうと、やるべき仕事が終わった感覚になって力が抜けた。雨の中ふたたび家へ戻ると鏡の中にベリーショートになった自分が見えた。

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