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セキオ・イシカワの時代 溺れる者は藁をも掴む
* 本編は、上記エントリーの続編です。
入学した普通科の公立高校は旧制中学の名残がかなりあり、重要文化財のような木造校舎の上階が一年の教室となる。正門に面する車寄せのある中央エントランスはまるで「日本の一番長い日」に出てくるような荘厳な佇まいだった。
担任はその後「ヨシコ」と呼ばれることになった現国の中年女性教師で、家庭が本業で教師はパートタイムじゃないかと思ったくらいで、遅刻魔で頻繁に
セキオ・イシカワの時代
ケンヤは覚えているかな。
高一の夏休みの最後に部活の仲間でキャンプに行ったことを。
夏休みもあと二三日で終わるというタイミングで、弓道部のショウメイから電話があった。部活の仲間でキャンプへ行こうと。
このタイミングでキャンプとかおかしくない?と思ったけど、別に断わる理由もないし、夏休みの終わりに遊びに行ってはいけないという決まりもない。
夏休みの部活は締め括りの地獄イベント「道場千本雑巾が
バスのベンチシートからドイツ製スポーツカーへの道程
インフルエンザの予防接種に行ってきた。
効果は疑問視しているのだけど、感染予防措置は最低限の社会的責任ということで。
個人内科に予約して行ったのだけどやはりかなり待たされて、でもそれはいい。問題は自分勝手で公共性のない患者たち。
会社員風だったり主婦や子供らの感冒患者とおぼしき人々はマスクをしているのだが、老人たちは素面のものばかり。感冒患者でなければいいのだが、と危惧していたの
マイノリティーとしての矜持
南の島から転校してきた東海地方の小学校は陰鬱に感じられて息が詰まりそうだった。
そこには明るい色というものが無かった。
木造瓦葺の校舎の光を反射しない暗い瓦の色。
水泳の授業。空挺部隊のようにみんな次々と飛び込んでいく。順番が来て意を決してプールに飛び込こむと、そこは暗緑色の世界だった。パニックで泳げなくなった。
クラスにKという女の子がいた。Kの顔は鮮明に覚えている。少女時代にしか存