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オウム返しのすごい力

対面・電話でのコミュニケーションには会話が必須です。
最近はスマホとSNSの普及により、会話そのものが”声による言葉”ではなく、”指による文字”で行われることも多くなりました。
前回は「あいづち」についてお伝えしましたが、今回は「復唱」についてお伝えします。
残念ながら、「復唱」もまた、あいづち同様に衰退していると言えるでしょう。

前回の記事はこちら  あいづちは日本語文化


【復唱(オウム返し)の力】
会話において、復唱をするには大きく2つの意義があります。
1)話を聞き洩らしたり、誤解しないための確認
2)”聞いている”と理解してもらうための意思表示

それぞれ詳しく解説します。

■1)話を聞き洩らしたり、誤解しないための確認としての復唱

例えば待ち合わせをするとします。
”指による文字”でのコミュニケーションは画面上にお互いに同じ言葉が並びます。
「渋谷ハチ公前に7:00集合」と文字で打てば、それ以上でも以下でもありません。

ところが、電話で伝えようとしたとき。
「シブヤハチコウマエニシチジシュウゴウ」
すぐにメモは取れますか?
ちょっと雑音が入ってしまったら、”7時”か”8時”か、自信はありますか?

”指による文字”のコミュニケーションに慣れてしまったせいか、
きちんと「復唱」して確認する人は少なくなったように思います。
ほんの少し確認すれば行き違いが防げたのに。
”言葉をオウム返しする”少しの手間をかけることでミスや誤解が減らせるのです。


■2)”聞いている”と理解してもらうための意思表示
単純に「渋谷ハチ公前に7時だね。わかった」と言ってもらえれば、
話し手は”伝わった”ことが解って安心できます。
そしてこれが、”復唱のすごい力”なんです。

相手のことばの一部(キーワードになる言葉)をそのまま投げ返し、相手に「聴いていますよ」という自分の関心を示したり、
相手が話を続けやすいようしたりすることができるのです。
この「相手の言葉の一部をそのまま返す」ことを”バックトラッキング”と言います。

できるだけ相手の使った表現そのものを返す必要はありますが、一語一句同じでなくてはならないというわけではありません。
「相手の感情」「起こった事実」「話の要約」こうしたポイントの言葉を拾ってオウム返しすることがポイントです。
バックトラッキングを行うと、相手は自分の話がよく理解され、受け入れられているという感覚を持ちます。

なぜか?

相手が言った言葉をそのまま返すので、相手は否定のしようがないからです。
相手がつかった言葉を活用すると、相手の無意識の中に「そうそう」「そうなんです」「そのとおりなんです」といった
「YES」の肯定的な意味の言葉が繰り返されることになります。

バックトラッキングを活用すると、否定や拒否といった違和感をなくし、安心や肯定感を感じてもらうことができるわけです。
それが信頼につながっていくのです。


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