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あいづちは日本語文化

人と話をするとき、聞いている方はあいづちをしますよね?
日本人にとってはなじみの“あいづち”ですが、
「相手が話している最中に言葉をはさむ」ような“あいづち”を行う言語は
世界的にみると珍しいようです。

【あいづちマナー】
例えば英語のコミュニケーションにおいては、聞き手が「はい」や「ええ」、「うん」などに相当する言葉を頻繁に挟むのは、
邪魔で失礼な行動だとされています。
相手の目を見てじっと聞くのが、よい態度でありマナーと考えられているからです。

外国人向けに日本語を教える日本語学校などでは、「あいづちの入れ方」まで授業として教えているそうです。
それくらい“あいづち”というのは日本語の「文化」とも呼ぶべき重要な要素なんですね。

【あいづちの衰退】
最近は残念ながら、“あいづち”は衰退してきていると言わざる負えません。
昔は、家族の団欒の中で子どもは言葉を覚えました。
コタツに足を入れ、ラジオ、テレビのある茶の間や居間で会話を重ねながら、
言葉を覚えてきました。
”集団の時代”の中で双方向のコミュニケーションを覚えたのです。

時代は”個人の時代”に代わると、テレビや電話が一家に1台から一人1台の時代になります。
すると、子どもはテレビから言葉を覚えるようになりました。
私も何を隠そう、テレビで言葉を覚えた人間です。
(まあ、私の場合は3歳から英語圏に引っ越したので、家庭以外で言語を覚えるにはテレビしかなかったのですが、、、。)

テレビで言葉を学習するのは一方通行です。テレビの中の話し手にあいづちを打つ必要はありません。
更にスマホによるメール文化がそれに輪をかけました。
言語は口を離れ、指で発する時代になってきました。
Lineであいづちをしようとすると、ずれたりしますよねw

現代の“あいづち”は“若者言葉”が蔓延しています。
「ウソッ」「ホンとに?」「ヤバくない」「マジ?」「それな」「たしかに」などと、
本来の日本語的なあいづちとはずいぶんとバリエーションが少なくそして短くなりました。

【大人のあいづち】
大人社会には、連綿と受け継がれてきた大人のあいづちがあります。
「ヤバくない?」「マジ?」「たしかに」の若者言葉のあいづちではマナー違反になってしまうのです。
今一度、“大人のあいづち(古くからある日本語のあいづち文化)”を学習しましょう。


■あいづちの「さしすせそ」
料理の基本に「調味料のさしすせそ」があることは有名です。
実はあいづちにも基本の“さしすせそ”があります。
それが↓こちら。 (あいづちの5Sと呼ばれるものもありますが、割愛します)

さ…さすが  (※)
し…実力ですね(※)、しらなかった
す…すごい
せ…絶対、センスいいですね
そ…そうなんだ、それで

※“上から目線”な印象を与えかねないため、注意は必要です。

このあいづちは、心理学でも話し手の“欲求”を満たすあいづちであると実証されています。

さ:さすが(承認欲求が最も満たせる相槌)
し:実力ですね(成功者と友人になれる相槌)
す:すごい(自己重要感を満たす相槌)
せ:絶対(是認欲求を満たす相槌)
そ:そうですね(人間関係の基盤をつくる相槌)


あいづちは“聞いていることを示すサイン”です。
話の流れにあわせ、タイミングよく、「あいづち」を打つことによって、
話し手は元気づけられ、“欲求”が満たされ、「話しても良い・話していると心地よい」と感じやすくなります。

■嫌われるあいづち
心理学でも実証された“良いあいづち”もありますが、
逆に“嫌われるあいづち”つまり話していると不快感を感じてしまうあいづちがあります。

〇繰り返す
「はい、はい、はい」など、同じ言葉を連発するあいづち
 「ほう、ほう、ほう、ほう」「フン、フン、フン」「ええ、ええ」など、同じ言葉を繰り返すあいづちは残念ながら耳障りと感じられることが多いです。
 また、聞き流されている印象も受けるため、「本当に聞いてる?」と思わせがちです。

〇なにさま?
「確かに」「なるほどですね」を連発する
 「自分は最初からそこに気がついていた」という「上から目線」を相手に感じさせて、あまり感じがよくないものです。
 たまに使う程度なら問題ないのですが、連発するのは避けましょう。
 
〇食い気味
「相手の話にかぶせて」あいづちを打つ
 相手の話を最後まで聞かずに、語尾にかぶせてあいづちを打ってしまうパターンです。
 これをやられてしまうと、相手はせわしない気持ちになってしまいますし、「きちんと話を聞いてもらえていない」と不満が生まれてしまいます。


■応用のあいづち
基本的にあいづちは“聞いていることを示すサイン”です。
ですが、自分の気持ちを表現するあいづちを応用的に使うことによって、
“共感してもらえた”と言う安心感を話し手に与えることができます。
また、会話の流れをコントロールすることも可能になります。


【確認】 そうですね / そうですか /...ということでしょうか
【同意】 私もそう思います / 同感です / なるほど / よくわかります
【同情】 それはお気の毒に / ひどい話ですね / お察しします
【感心】 さすがですね / 感心しました / 素晴らしいことですね
【喜び】 よかったですね / それはなによりです / うれしいことですね
【驚き】 本当ですか / 信じられません / 驚きました
【うながし】 それでどうなったのですか / とおっしゃいますと / 結果はどうでしたか


また、あいづちはクッション言葉としても利用できます。
以下は“否定的”な意味合いとも受け取れるあいづちです。
これらの言葉を使うことで、話し手を受け入れながら、自身の主張をスムーズに話し始めることができます。

【疑問】 まさか / それはなぜですか / どうしてでしょう
【転換】 それはそうと / 話は変わりますが / ところで
【反対】 そうでしょうか / そうは思えないのですが

<まとめ>
・あいづちは日本語の文化
・同じあいづちばかりにならないように、あいづちのバリエーションを増やそう
・話の合間に適度にあいづちを打ち、話しやすい雰囲気を作ろう
・あいづち力を上げて、相手の「話してよかった!」につなげよう


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