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【真実の鏡】君の真実は見たいものの集まり

あるところに小さな貧しい村があった。その村では、毎朝早くから夜遅くまで村人が一生懸命働いていたが、村は一向に豊かにならなかった。村人たちは、その理由を仲の悪い隣の裕福な村が自分たちの利益を奪っているからだと考えていた。

ある時、そこに旅の行商人がやってきて、不思議な鏡を村人に売り、帰っていった。その鏡は、真実を映し出すということだった。その噂を聞いた村人たちは興味津々で、その鏡を見に行った。

ある若い農夫がその鏡の前に立つと、鏡の中には彼の姿が映っていた。しかし、鏡には二人の農夫が映っており、一方は裕福で豪華な服を着ており、もう一方は貧しく粗末な服をまとっていた。そして、粗末な服をまとった農夫こそ自分の姿だった。

「これは一体どういうことだ?」と若い農夫は驚いた。彼は貧しく、豪華な服を着たことなど一度もなかった。

その時、鏡の中の裕福な農夫が話し始めた。「お前がもし裕福な家に生まれていたらこうなっていた。裕福な家に生まれれば、先祖代々の既得権益で死ぬまで裕福に暮らせたのだ。」

一方、鏡の中の貧しい農夫も言った。「そして、お前は貧しい家に生まれたから、裕福な家に利益を奪われ続けるのだ。」

若い農夫はその言葉に強く共感した。

隣の豊かな村の人たちはいつも、この村の貧しさが努力不足の結果なのだと批判をしてきた。だが、実際は彼らが裕福な家に生まれたというだけで、我が物顔で我々から利益を取り上げているのが原因でなのだと確信した。

そして、村の他の人々も次々と鏡の前に立ち、それぞれの不平等な現実を目の当たりにし、隣の裕福な人間たちが自分たちを苦しめているのだと実感した。


あるところに小さな裕福な村があった。その村では、村人たちは自分たちの村がより豊かになるにはどうすればよいかを考え続け、それを実現してきた。そして、村人たちは、努力をせずただ自分たちの村を批判する隣の貧しい村が、ただ日々を送るだけの怠惰な存在だと考えていた。

ある時、そこに旅の行商人がやってきて、不思議な鏡を村人に売り、帰っていった。その鏡は、真実を映し出すということだった。その噂を聞いた村人たちは興味津々で、その鏡を見に行った。

ある若い農夫がその鏡の前に立つと、鏡の中には彼の姿が映っていた。しかし、鏡には二人の農夫が映っており、一方は裕福で豪華な服を着ており、もう一方は貧しく粗末な服をまとっていた。そして、豪華な服をまとった農夫こそ自分の姿だった。

「これは一体どういうことだ?」と若い農夫は驚いた。彼は生まれてから、そのような粗末な服を着たことなど一度もなかった。

その時、鏡の中の貧しい農夫が話し始めた。「お前がもし努力を怠る人間であればこうなっていた。苦しむような努力ができなければ、先祖代々の土地を奪われ、貧しく苦しみながら暮らしていたのだ。」

一方、鏡の中の豊かな農夫も言った。「そして、お前は実際に苦しむような努力を続け、走り続けてきたからこそ今なお裕福でいられるのだ。」

若い農夫はその言葉に強く共感した。

隣の貧しい村の人たちはいつも、この村の豊かさが隣の村から利益を奪った結果なのだと批判をしてきた。だが、実際は彼らが努力と改善をしてきたことで村が豊かになった。そして、隣の村が貧しいのは彼らの努力不足が原因でなのだと確信した。

そして、村の他の人々も次々と鏡の前に立ち、努力の大切さを目の当たりにし、隣の裕福な人間たちが貧しさによる嫉妬心から言いがかりをつけているのだと実感した。


鏡によって真実を知った村人たちは隣の村を批判した。彼らは自分たちを批判するが、彼らこそ間違っており、打倒すべき存在なのだ。

両者は瞬く間に言い争いになり、終わらない口論を日夜続け、両者とも歩み寄ることはなかった。

それから幾月が立って、鏡を売った行商人が再びあの貧しい村と豊かな村のあたりにやってきた。

行商人が次の目的地に向かっていると、道端で貧しい村の若者と豊かな村の若者が口論をしていた。二人は行商人を見つけると、どちらの鏡が真実なのかを聞いた。

行商人は答えた。「間違いなく、私はどちらにも真実の鏡を売りました。そして、真実というのは一面的ではない。鏡の言うことはいずれも真実であり、それだけが真実ということではないのだ。君たちは鏡の言う自分に心地いいことだけを信じようとしていたにすぎない。大切なことは多くの真実の中から、みなが幸福になれる道を見つけることだ。」

それを聞いた両者は自分の偏見を恥じ、ただ黙って行商人を見送ることしかできなかった。


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