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キャンベル2日目にして寄り道。発生生物学①

たれ

一昨日は『キャンベル生物学』の発生の部分を読み進めていこうとしていたのですが、説明があっさりしすぎていて方向転換しました。
行き着いた先はブルーバックスの『新しい発生生物学』。とはいえ出版が2003年なのでもう昔の話なのですが、学び直すならここからということで選びました。著者は浅島誠さんという東大の名誉教授で国際生物学オリンピックの日本の委員長もおつとめの方が書かれています。

発生は正直覚えることが多くて、苦手意識がありました。
なんて言ったって減数分裂の時の核相の変化とか内部状態とか毎回忘れるし、生物種によって発生の進み方全然違うし、三胚葉がそれぞれどの位置で何に分化するのかとか複雑だし、ホメオティック突然変異体とか見た目エグいし、ビコイド・ナノス・ペアルールとかmRNAの種類も多い。
それでもやっと全体を俯瞰出来て、ちょっと整理できて来た感じがあるのでまとめてみます。

まず、精子は卵に接近すると、先端から加水分解酵素を放出し、卵表面のゼリー層を分解する。次に精子は先体からアクチンを伸ばし、卵細胞膜表面の受容体に結合して、卵に貫入してゆく。これを先体反応という。
精子と卵の細胞膜の融合は膜の脱分極を起こし、別の精子による受精を防ぐ「早い多精拒否」という機構が働く。この反応は受精後通常1~3秒後に起こり、1分ほど継続する。

精子が卵に融合すると、卵細胞内のカルシウムイオン濃度が高まり、膜表面に存在する表層粒がエキソサイトーシスを起こし、細胞膜と細胞質の間に受精膜を形成する。これを表層反応という。
この過程を通して他の精子は進路を絶たれ、「遅い多精拒否」が成立する。

受精の刺激を受けると卵は活性化して細胞周期の停止を解除し、母性因子を用いて、発生に必要なタンパク質合成やDNA複製を行う。

受精が完了すると、受精卵は卵割を始める。
卵割の形式は生物種によっても異なり、機構は主に胚の栄養分である卵黄の量とその分布による。
例えばウニやヒトの卵黄は全体に薄く均一に分布している等黄卵なので、全割で等割。
カエルは植物極側に局在している端黄卵なので、分裂が不均一で不等割(全割ではある)。
鳥類や爬虫類などは、両生類よりも卵黄の量が多いので表割(ここから部分割)。
節足動物は卵黄が中心に寄っている心黄卵なので盤割となっている。

卵割は通常の細胞分裂と違い、G1期とG2がない。つまり細胞が成長しないまま分裂だけが進んでいる状態である。

受精卵が発生を進行していく上で肝となる出来事は、上記でも述べた精子進入、原腸陥入中胚葉誘導神経誘導である。
まず精子進入に関しては、ボディプランの形成、つまり体軸の決定で重要な意味を持つ。
カエルの例で言うと、まず卵黄の量が少ないため軽く、メラニン色素のために色が黒い動物極と、その逆の植物極が前後軸に対応し、精子進入点が腹側反対側が背側となる。(これにより左右軸は一意に決まる…?)
精子が進入すると一時間ほどで表層回転が起こり、動植物極の細胞質が混ざることで背側決定因子という位置情報が活性化される。

原腸陥入

胞胚期を終えた胚は、背側にある原口背唇部から内部に押し込む形でダイナミックな変形をしてゆく。そうしてできた管はのちに消化管となる。カエルは後口動物なので原口が肛門になり、その反対側が口となる。

中胚葉誘導

原腸陥入を終えて、内胚葉性の細胞が外胚葉性の細胞に作用して中胚葉を誘導することが分かっている。誘導因子はアクチビン。
(この部分についてはアクチビン発見者である著者の熱のこもった実験履歴を読むことができるので、興味のある方は参照されたい)

中胚葉誘導以降の分子実態は次回持越しで。

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