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小規模自治体のデジタルトランスフォーメーションに悩んでいる担当者の方へ

本当月日ってあっというまですね。函館で開催されたデジタルをみんなで学ぼうという趣旨のこのイベントも、すでに4年経ってました。この頃にはすでに「デジタル」という言葉がかなり世の中で使われ始めていたんですね。

さて、今回は小規模自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の話。その中でも自治体DX担当者に向けた資料を作ってたのでそれを公開するついでに、せっかくなので資料を作った思いを書き記しておこうという話です。

まず初めに、この記事において、僕がどのような人口規模の目線で話をしているのかを定義しておきたいと思います。現行制度の自治体のことを語る上では人口規模(できれば居住可能面積+管理面積も)が重要だと思ってる派です。

人口の定義
大規模自治体 5万人以上
中規模自治体  1.5 万~5万人
小規模自治体  1.5 万人未満

厚生労働省高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施調査による定義採用している

自治体のことなので本来なら総務省の定義かもですが、ちょっと総務省の人口規模定義は大きい感じがしているのでこの定義にしています。だって、僕の思う「小規模」とぴったりなんだもん。
これを踏まえて、以下どうぞ。


自治体のDX

デジタルトランスフォーメーション(DX)って一体いつまでやるんですかね?
これは流行りだから、次きますよ。GXですかね?ってことはもうそっちやったほうがいいですかね?

僕がよくお邪魔する中小規模自治体のDX担当の方の中で、たまにこんな声も聞いたり聞かなかったりしますが、大体こう言うことをおっしゃる方は相当疲れています(断言)
なにに疲れているかといえば、ふだんから、「多くのこなさなければならない業務」を抱え、目の前の積み上げ業務を片付けるのが精一杯。それに加えて「DXなんて考えることできないよ。」という状況で疲れていらっしゃいます。

流石に今時分DXってなんだっけ?と言われることは少ないですが、まあ、「DX」っていうのは、組織や事業の根本的な変革を指す言葉であって、単なるテクノロジーの導入ではなく、デジタル技術を基盤にして組織全体を再構築する取り組みであると定義されていることが多いです。
これは、国や立場に応じてニュアンスの違いは少しづつあれど、大体似たような雰囲気で述べられていることが多いです。

では、『自治体の皆さんが「DXなんて考えることができないよ」とおっしゃっているDX』とはどんなDXでしょう。

DXなんて考えられないよ

自治体におけるDXというのは、デジタル社会形成基本法により作成されたデジタル社会の実現に向けた重点計画をもとに、特に地方公共団体が重点的に取り組むべき事項を整理、具体的に示したものとして自治体DX推進計画があり、ここで明確に定義されています。

で、ここに定義されていることの中でも、大切だと言われているのは組織変革。例えば首長なんかに求められていることを抜粋するならば

DX の推進に当たっては、仕事の仕方、組織・人事の仕組み、組織文化・風土そのものの変革も必要となる中、首長自らがこれらの変革に強いコミットメントを持っ て取り組む。

自治体デジタル・トランスフォーメーション (DX)推進計画3.0版

とかね。とにかく変革していくんだ!!変革していくんだ!!という向きが強い。
ただ、この変革ってやつ、思えば、僕が行政に入ってから退職するまでの間、ずーっとやってきてた感じがします。ずーっと。
その都度、効率化だ、共同化だ、削減だ、事業整理だってやってるわけで、今度はデジタルか。

こんな状況の中、職員として思うのは、「これまでもやってきてたのはいいけど、なんか効果ってあったんだっけ?」という気持ち。なので、一刻も早く、今回のブームが過ぎ去ってくれて、それなりに時代が進むことでいい感じになってくれればいいんじゃないか。っていう本音もありそう。

表面的な問題として言われるのは?

総務省が2020年に実施したアンケートによれば、DXを進めることができない主な課題として、財源の確保、情報主管課職員の確保、デジタル専門人材の確保が挙げられていました。財源はまあわかる。どんな団体でも言ってる話です。次に人材確保。きっとこれは、前述の「今度はデジタルか」に追加して、「自分たちはデジタルの専門家じゃないからDXなんて考えてられないわ」っていう理由をつけたい意識の表れのような気もしてます。
ただしこれは悪いことでは無いとも思ってます。だってめちゃくちゃやることがあり過ぎて、やらない理由つけないと自分が壊れちゃいますよ。

そんな中で発生した「コロナ禍」。これで、否応なしに動かなければならない状況になり、いろんな自治体で取り組みを進めようとしている動きもある。でも、実際にやる気を出してやろうと思っても立ち塞がるのが

根強いアナログ主義

あの未曾有の社会問題が発生しても、小規模団体では、「なんも。ウチだっけそったらに人いねーから、大丈夫だ。」で、「なあなあ」になってしまったことも多いと感じます。
なのでとりあえず標準化・共通化だけはベンダーさんに任せておけばOK。それ以外については「なあなあ」でいける。ちょっと悪しき成功体験が生まれてしまったケースも多いように思います。さらには・・・

「ウチみたいな街なんて次の合併で無くなるんだ。だから大丈夫だ」

と言うような、考えまで生まれてしまう。
はい。ここまでをまとめて、『自治体の皆さんが「DXなんて考えることができないよ」とおっしゃっているDX』であると僕は定義しています。

本当に合併できるのか?

わりと小規模自治体の中で話を聞いていると、合併論ってよく出る話だし、みなさん近隣の市と「どうせ合併しちゃうんだよ」という印象を持っている方が多いように感じるのですが、僕は違う印象を持ってます。
だって、平成の大合併以上に疲弊している市町村だらけで、もっと人口も減少している。しかも人が密集してない。その状況で、市町村が合併しても、現在ある問題、その解決に向けた課題が解決するなんて到底思えない。
そもそも本当に合併できるの?って話です。
だからこそ、自治体は「今、ちゃんと考え直していこうぜ」と思うわけです。
「ちょっとやってみようと思ったけどうちでは無理だわ〜」ってなってしまった団体でも、もういっぺん、順序立ててやってみたら、もしかしたら次は行けるかもしれないよ!と思うわけです。

って、ことで、こんな感じの団体さんには、こんな資料でお話しさせてもらってます。


まとめ

DX推進には、多くの課題と障害が存在します。しかし、適切な計画と取り組みを通じて、これらは解決するこは可能だと思います。小規模自治体のDX担当のみなさんはかなり大変だとは思いますが、なんとか、職員の認識共有と機運情勢を図り、DXの基礎を固めていきましょう。

そして、この成功には全ての職員が一丸となって取り組むことが求められます。一歩一歩着実に進めていくことが大切です。

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