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ランニングは体に良い?悪い?②

 前投稿の①をもってして「ランニングは長生きしますよ!痩せますよ!」でOKとしたいのですが、まだ言われていることがあります。
 「ランニングは体が老化します!!」「ランニングは怪我をします!!」これについては、我々ランナーはしっかり気を付けなければいけないことがありそうです。
 それでは早速見ていきましょう!

1.ランニングは老化する?

 1-1.理由①:酸化ストレスが生じて体が老化する

 酸化ストレスとは、酸素を利用する際に出来る毒のようなものです。エネルギーを産み出すため、たくさんの酸素を利用するジョギングは、たくさんの酸化ストレスを生じると言われています。酸化ストレスは「体のサビ」とも言われ、体の老化の原因と言われています。
 具体的に体がサビて老化すると、免疫が低下したり、癌や心臓病・生活習慣病などの原因になると言われています
 ではジョギングは本当に活性酸素のため、有害なのでしょうか。

 実際に文献をみると、一般的なマスターランナーであれば、抗酸化力が強くて酸化ストレスが低くい、抗炎症力が強くて慢性炎症も低い、結果テロメアが長くて寿命が長くなることが予想されます。数キロのジョギング程度であれば大丈夫との文献もあり、全く気にする必要はありません。
 そして10km~20kmのランニングについては、酸化ストレスの文献はほとんどみられません。なので、その範囲であればさほど酸化ストレスは気にしなくてはいいものと思っています。
 ですが特にウルトラランナーについて、距離が長くなるほど酸化ストレスは強くなると言われています(50km<100km)そして特に抗酸化能力は1ケ月以上低下すると言われています

 逆に運動しなくても酸化ストレスは高くなると言われていますし、普段から運動をしていた方が、運動時の酸化ストレスを打ち消す効果が強いとの報告もあります

 そして酸化ストレスが生じたとしても、酸化ストレスによって生じやすくなると言われる癌は、ウォーキング・ランニング・水泳を中心とした運動習慣のある人はリスクが減ると言われていますし、生活習慣病・心血管障害も減るとの報告もあります。

 あまり気にせず、普段からコツコツトレーニングをして、時々身の丈にあったランニングイベントに参加する分には、酸化ストレスは気にしなくてよいと思っています。

 1-2.理由②:紫外線によりシワやシミができる

 ランニングに限らず、ウォーキング・ゴルフ・テニスなどで問題になりますね。これはランニングは大丈夫です!とは言えないのが実情です。

 ランナーは皮膚の紫外線の暴露が多く、ランニングイベントでは約半数が日焼けしていたとあります。そしてマラソンランナーは悪性黒色腫が多いとの文献もあります。
 日焼け・シワ・シミ・皮膚がんとも紫外線が原因です。肩にボツボツと太陽レンチギンという褐色のスポットが出来ている人は、もう十分に紫外線を浴びています。注意しましょう。
 対策は日焼け止めと、なるべく日陰にいること!です。サングラスや服・帽子では不十分な可能性があります(紫外線を通してしまうものも多いです)

 特に皮膚がんの多い白人の中で、ランニングの際の紫外線対策を啓蒙していこうという声が上がっています。我々も気を付けたいですね。

 1-3.理由③:老人のような体型になる

 ランニングをすると、速筋が減少、遅筋が発達して結果老人のような体型になるということです。これは・・・どうやったら調べられるのでしょうか(笑)。調べ方が分からないので持論です。自分はランニングコーチでもありますので(笑)。

 ランニングはフォームが悪いと無駄な力が入った走り方をしたり、ストレッチなどのメンテナンスが悪いと抗重力筋が緊張して硬くなって、「老人のような」と言われるような姿勢、走り方になったりします。

 ですが、しっかりフォームを学んだり、酷使した筋肉をしっかりストレッチすれば防げるものです。
 You Tubeにあるように、速筋が落ちて遅筋が発達して(中間筋が遅筋になってということでしょう)なるものではないと思います。 

 1-4.結論:老化のリスクはあるので、対策を!

・酸化ストレス対策
 酸化ストレスに対する抗酸化力を育てながらトレーニングすることです。一番いいのは、定期的に決まった距離を決まった速さで走るのが一番よいと思います。
 ただそれでは面白くないと思います。が、普段から適度に走ること、ランニングイベント・大会では身の丈にあった距離・強度のものを選ぶことを心掛けたいですね。
 忙しくて練習時間が取れなかったのにフルマラソンに出たり、月一ゴルファーならぬ月一ランナーは酸化ストレスが溜まってしまうのではないでしょうか。

 そして食事は、運動後だけではなくて普段から抗酸化食品を摂取することです。走行距離の長いほど運動強度が強いほどEPAは不足します。普段からEPAやDHAなどのω3脂肪酸とビタミンD+Eを摂取すると、運動後の酸化ストレスマーカーや炎症性サイトカインを下げたとの報告があります。赤血球膜も安定するとのことですので、貧血が気になるランナーにもいいかもしれませんね。

・紫外線対策
 これはなるべく日中や日向を避けること、日焼け止めを使うことです。サングラスや帽子・服も効果あると思いますが、紫外線カット率の高いものを選びましょう。分かっているとは思いますが、黒いだけではダメです!

2.ランニングは怪我をしやすい?

 2-1.理由:ランニングはアメフトより怪我をする

 「ランニングによる怪我は37~56%でアメフトよりも多い、性別年齢とか関係ない」You Tubeより
 出典はおそらく1992年のオランダからのこの文献ですね。アメフトより怪我をするとのことですが、アメフトをやるような屈強な人たちの怪我する割合と、運動初心者や高齢者までがするランニングの怪我する割合を比較するのは意味がありません。さらには調査方法の違う別の研究の数字を比較するのも、意味がない事です。

 2-2.結論:水泳と同程度

 しっかりとした競技間の比較をした文献をみてみましょう。2009年のフィンランドの報告で、水泳とクロスカントリースキー、長距離走、サッカーの傷病発生率を比較した文献です。これはトップランクのアスリートを対象としているので、おおよそ年齢や運動・競技強度などが近い母集団で比較していると思います。

 上の表のようにサッカーよりも怪我の割合は低く、水泳と変わらないというところでしょうか。実は自分も一時フットサルをやっていたのですが、メンバーが次々アキレス腱を断裂していくので、怖くなってやめた過去があります。
 とはいえ、やはりランニングも怪我はつきものです。しっかり気を付けたいものです。2007年のランニングの怪我のレビュー論文では、特に過去に怪我した経験があり、週間走行距離が64kmより長い男性は危ないと言われています。
 また今年1月の文献からですが、エリート持久力ランナーにおいて最も負傷率の高かったのはRR遺伝子のランナーで、そのRRランナーはアキレス腱の負傷の割合が高く、RXランナーは膝、XXランナーは鼠径部が多かったとのことです。RRランナーは最も能力の高いと言われるランナーですので、能力のあるランナーほど怪我しやすいということもあるかもしれません。

3.結論:ランニングは体に良い?悪い?

 世間では「ランニングは体に悪い」という意見が多くみられます。
 文献を見る限りは体によいし、痩せるし、長生きします。世論に流されずに、ランニングを楽しんだ方がよいと思います。
 ですが・・・

 自分は22歳の時に初マラソンに参加してから、25年間もランニングイベントに参加してきました。最近のランニングは、競技としてもレクリエーションとしても大きく発展しました。SNSを通じて、ランニング仲間とつながり、成果を讃えあうようになりました。結果、以前と比べてのめり込み度が大きくなり、やり過ぎてしまう人が多くなったように思います。

 「ランニングは体に悪い」はそんな人に向けての警鐘であり、程よくランニングを楽しんでいる人や、これから始める人への忠告ではないと思っています。

 ランニングは基本的に体によいものです。良い所を享受するために、普段の食事からトレーニング内容、走ったあとのメンテナンスまでしっかり考えてましょう。

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