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”トレーナー×コーチング”の重要性

日本ハンドボールリーグ所属アランマーレ富山でアスレティックトレーナーを務めている横川卓也(よこがわ たくや)と申します。

https://www.aranmare.jp/handball/

普段はSNSでトレーニング動画を中心に発信しています。
こちらのnoteでは、『考え方』の面でいろんなトピックを書いていこうと思います。

今回のテーマは『トレーナーにも”コーチングスキル”って必要じゃね?』って話です。
ぜひお付き合いくださいますと幸いです🙇‍♂️


そもそもコーチングって何??

○”コーチング”と”ティーチング”

”コーチング”とはスポーツ現場に限らず、ビジネスなどでも用いられる言葉です。
対極にある言葉として”ティーチング”もあります。

二つの言葉を端的に表すと、
”コーチング”=相手の主体性を引き出しながら課題を解決するようにサポートすること
”ティーチング”=課題に対して相手に答えを提示し、解決に導くこと

このように表されます。

もっと端的に言うと…
”コーチング”=教えられる側主体
”ティーチング”=教える側主体

と言えます。

スポーツ現場では、”コーチング”と”ティーチング”の両方を使い分ける必要がありますが、こと日本のスポーツ現場においては『ティーチングのみ』になってしまうことが多いのが現状です。(おそらくティーチングの方が結果が早期に出やすいためだと個人的には推察しています)

○コーチングに必要なスキル

コーチングを行う上で、必要になるスキルは大きく3つ。
①聴くこと(傾聴)
②受け入れること(承認)
③聞き返すこと(質問)

この3つを丁寧に行うことで、教える側と教えられる側の双方向でのコミュニケーションが成立します。

例えば、『聴くこと』ができていないと、そもそも教えられる側は話す気になれません。
「この人どうせ話聞かないしなぁ…」なんて思われた日には、話す気も失せ、双方向のコミュニケーションは崩壊します。
この『聴くこと』のポイントは、『話を遮らず・相手の立場になって・理解しようとする』ことです。
このポイントを押さえないと、相手にどのように伝わるでしょうか?
おそらく、「自分の話に興味ないんではないか…」となるでしょう。
相手の言葉が詰まったり、黙ってしまったりしても待つということがこの『聴くこと』の肝になります。

受け入れること』ができないと、相手は自分のことを見ていないように感じてしまい、教えられる側のモチベーションの低下の原因になります。
受け入れるということは相手を評価すること。
そのためには普段から相手を観察し、
その人を取り巻く環境・その人が何に挑戦しているのか・その人が何を成し遂げたか』に気づけるかどうかが重要になります。

聞き返すこと』は課題解決に直結します。
ここが1番スキルが問われる部分で、非常に難易度が高いです。
質問には、『オープンクエスチョン(相手が自由に答えられる質問)』と『クローズドクエスチョン(Yes or Noで答えることのできる質問)』の2種類が存在し、これを相手に合わせて使い分ける必要があります。
この質問をうまく織り交ぜると、相手は思考を整理しつつ、自分の意見を出しやすい環境を作ることができます。
(”質問”について、私が実際に読んで参考にした本がコチラ↓)

”コーチング”をトレーナー指導に応用する

○トレーナーという仕事の在り方

「なぜコーチングの話なのにトレーナーの仕事の在り方を話すのか?」
これは”トレーナーの運動指導”という観点からは避けて通れないと私自身が思っているからです。

トレーナーという仕事の種類・働き方は、現在多岐に渡っており、場合によっては「名乗ったもの勝ち」な状況にもなり得ます。
そんな不安定な職業でありながら、ほとんどの現場では『しっかりしていないと信頼されない』立場にあることが多いです。

例えば、
遅刻グセのあるトレーナーに「自己管理をしっかりしろ」と言われて素直に言うことが聞けますか?
話もろくに聞いてくれないトレーナーに身体のことを相談したいと思いますか?

トレーナーを職にするには、「その人がどう在るか?何ができるか?」というある種、自己啓発的なものが必要になります。
つまり、自分自身を深掘りした上で、丁寧に相手と接することができないと、信頼を得るのは難しいということです。

○まずは『セルフコーチング』

セルフコーチングとはその名の通り、自分自身をコーチングすること。
これを行うには、『コーチングを行う自分』と『コーチングを受ける自分』の2つの立場を作る必要があります。

ここでは、自分自身の主張や考え方を、主観を交えず客観視できるか?がポイントになります。
このためには”教養”が必要になると私は思っています。
自分自身の考え方だけでなく、いろんな知識・発想がないと客観視はできません。

したがって、トレーナーを職にして、継続的な仕事を得たいのであれば、教養をつけ、『自分がどう在るべきか』という点について思考を深める必要があると思います。(上記の理由に加えて、知っていることが多いほど、話を合わせられることが多いので、どの現場でも役立つと思います…。)

○トレーナー指導にコーチングを落とし込む

トレーナーとしての指導は身体のことに触れる分、『人対人』であることに特に気をつけなければなりません。
トレーナーとして、選手に関わることができる時間は1日の中でもせいぜいが2時間前後、つまり残りの時間は選手が自分で考えて行動しなければなりません。

このようなことを考えると、トレーニングやコンディショニングなどは、トレーナーが指導するだけでなく、『選手の動機づけ』が重要になってきます。
言い換えると、『身体に対しての選手のやる気』をどれだけサポートできるかを考えなければなりません。

選手の身体のことについてのやる気を引き出すために重要になるのは、
事実およびやってほしいことを端的に伝えること
変化に気づくこと
この2つです。

事実を選手に伝えることは、選手が自分自身を評価するために必要です。
最初は自分でわかっていないことも、他者から伝えられることで気づくことができ、徐々にわかるようになってきます。
また、やってほしいことを端的に伝えることで選手が自身の改善点を理解し、行動に移しやすくなります。
この時に「なぜそれをやるべきなのか?」を併せて選手が理解するとさらにポジティブに取り組むことができるようになります。
(”選手への伝え方”を学ぶならこちらの本が良いと思います↓)

また、『変化に気づくこと』は普段から選手をよく見て、どんなことに取り組んでいるか、コミュニケーションをとっておくことで気づきやすくなります。
この気づきは選手に直接伝えることで、よりモチベーション高く行動できるようになります。

さいごに

コーチングは選手の動機づけを行い、モチベーションを保つために非常に重要な要素です。
しかしながら、日本のスポーツ現場においては未だにティーチングが主に用いられていることが多く、そのほとんどが育成年代に起こっているように感じます。

近年では、コンプライアンスの問題もあり、『怒鳴る』や『暴力』などは減ってきました。
しかしながらこのコーチング・ティーチングの違いに気づかないまま指導を行なっていると、本質的には変わらず、指導者主導の自発性のない選手になってしまいます。

ましてや、トレーナーという立場からすると、身体のことを指導する以上、指導だけでは限界が必ずきます。
選手自身が自発的に取り組んでくれることで、初めて私たちトレーナーの知識やスキルは役に立ちますし、真に効果を発揮すると思っています。

だからこそ、トレーナーにもコーチングを学んでほしいと思いますし、それを各々の現場で活かしていきたいですね!!

以上、長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました!!
こんな形で今後、しっかり書くこともあれば、ラフに書くこともあると思いますので、ぜひ暇な時間に見てやってください🙇‍♂️

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