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ロシア・ウクライナの戦争に人生の価値を考える|お金が価値を失う

ロシアとウクライナの戦争によって、世界各国からの経済制裁が厳しくなる一方で大きな問題が現地の人々をも襲っている。

現地通貨の価値崩落だ。

ロシアのお金「ルーブル」の価値が下がり続けていることを受け、今のうちに手持ちのルーブルを高価で価値の安定している物に交換しようと、日本製の家電製品や車などの購入を検討する人が増えているそうだ。

日本製の車の販売価格はこの数日間でもほぼ2倍に膨れ上がるインフレが始まっている。

トヨタのディーラーではたった1日で「トヨタ・RAV4」が30台も売れたという。

家電製品はすでに3割、生活必需品などは5割ほどの値上げが始まっている。

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お金の価値が暴落している。

僕たちが当たり前のように思っているお金の価値というのは、実はそうではなくて実際のチャート(ルーブル円レート)を見てわかるようにロシアの通貨ルーブルの価値はこの4ヶ月でほぼ半分の価値に変化してしまった。

実際には1ヶ月で40%下落している。

速やかな停戦とウクライナからの撤退がない限り、ロシア経済は遠からずインフレからハイパーインフレションの段階に移行するだろう。

その先に行きつくのは通貨危機だ。

お金が価値を失う。

ソ連邦崩壊後の1992年には年間インフレ率2,000%をはるかに超えるハイパーインフレに見舞われた。

だが、すでにソ連邦時代末期には自国内ですらルーブルの信用は完全に失墜。

すると価値を失う国内通貨に変わって米ドルでの取引が国内でも始まった。

しかし一般市民が米ドルを入手することも難しく、その当時はタバコ(マルボロ)がお金の代わりを務めたことすらあったようだ。

(ああ、なんだかカンボジアもそんな感じだったなと思い出した。現地通貨のリエルを出すと嫌な顔をされるし、損をする。米ドルを出すとスムーズに進む。というよりカンボジアはすでにほとんどのものが米ドル表記だ。)

現代的にいうと、そのソ連時代のマルボロの代わりがビットコインなどの暗号資産だろう。

国のお金が価値を失うかもしれないことによって一般的な通貨に信頼ができないから、自分達のネットワークで互いに管理し合おうというのが暗号資産の価値の形成方法だ。

平和な国、日本に生まれ育った僕はこうした現実を受け入れて理解するのは容易ではない。先月まで1万円だと思っていたものが5千円の価値しか持たなくなるんだ。

日本人的な感覚ではお金を大事にする、貯蓄こそ大切だと考える人が多いと思う。

それはお金の価値(日本円)があまり大きく変わらないからこそ成り立つ思考ではないだろうか。

果たして、そのお金の価値が保たれないとなったら日本人はどういう行動をするのだろうか。何にお金の価値を変容させていくのだろうか。

僕の答えは経済的な豊かさではなく、人間としての豊かさに移行するのではないだろうかと思う。本当の豊かさとはなんだろうか。本質的に自分を豊かにしてくれるのはなんだろうか。

それは自分の好きなことに打ち込む時間を大切にしたり、健康に暮らすことではないだろうか。

事実、この新型コロナウィルスによるパンデミックで健康に対する考え方には大きな変化があったのではないだろうか。

ロシアでは、お金を車という世界的に平均的な価値を持つものへ変えるという動きがあるようだけれど、それも時期に終わるだろう。

物がなくなるし、高騰しすぎて購入する人自体が減ると思う。台数がなくなったからといって国外から輸入するにも制限は多いし、輸入コストも大幅に高騰している。現実的ではない。

物がなくなった先に、ロシアの人たちは何を求めるのだろうか。

いや、それ以前にこの戦争が終わりを迎えることを願う。

先がわからない時代。

お金すら価値を失うことが現実的な時代。

あなたは何を大切にしますか?

何があなたの人生においてあなたを豊かにするのだろうか。

先日の震災の話もそうだし、このロシアとウクライナの戦争もそうだけれど、もしこれが自分の身に起こったらどうだろうか。

いま平和で健康に過ごしているうちがチャンスだと思うんだ。「自分に」対して素直になって生きるというのが、何よりも人生の価値であり、豊かさではないだろうか。

《余談》

ソ連崩壊のきっかけもアフガン侵攻などの軍事費増大で一般予算を圧迫し軍人や治安維持部隊、公務員給与の支給が滞ったりした事によるものであった。

今回のウクライナ侵攻は短期的に見ればロシアの勝利になるのかもしれませんが、長期ではプーチン政権崩壊、故にロシア崩壊のきっかけになる可能性は十分あるかと思います。

現在のロシアの平均所得が5万円といわれる中で12億円の資産(これも現在は6億円の勝ちに暴落。経済制裁の影響はこういうふうに現れている。)を持つといわれるプーチン大統領。

共産主義や社会主義というのは「平等」を追い求める思想であるはずが、その実態はこういうものだからこそ現実は厳しい。その格差が平等な機会を与えた結果であるのであれば良いかもしれないが、誰しもにチャンスがあるわけではないはずだ。

そして、ルーブル暴落がプーチン大統領を生み、今回の戦争による経済制裁が再びルーブル暴落を生み出し、プーチン政権を崩落させるだろうと思うとなんとも皮肉なのかもしれない。

(経済危機に対処できなかったエリツィン大統領は1999年12月に引退を宣言し、ウラジーミル・プーチン首相(当時)を後継者に指名した。)

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