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AIと中小企業の話

昨今、世間は大変な状況下にありますが、2020年3月に「G検定」というAI活用の資格を取得しました。
今回はAIと中小企業における活用について書いてみたいと思います。

G検定について

G検定は「一般社団法人日本ディープラーニング協会」が主催している検定で、AIを事業に活用する人材を育成するための検定です。Gは「ジェネラリスト」を表しており、バリバリのAIエンジニアかどうかを判定する試験ではありません(エンジニア向けには別途「E資格」があります)。
試験は会場受験ではなく、ネット経由で自宅から受験します(日時は指定されています)。

2020年3月から日本中で様々なイベントの予定変更が行われており、各種資格試験も例外ではありません。資格試験が延期されることで、人材確保や転職市場への悪影響も懸念されています。

そんな中、G検定は影響を受けずに、予定通り3月14日に実施されました。最近世間ではリモートワークが盛んですが、「リモート試験」の有効性を意外なところで感じました。

ネット受験ならではの対応として、例えば一度解答した答えはサーバ側に保存され、ネットが切断されてもまたつなぎ直せば続きから解答できるようになっていたりします。通信が不安定な出先でも受験できるかもしれません(私はおとなしく自宅受験しました)。

また自宅での受験では、試験官の目が届かずに公正が保たれるのか?の疑問がありますが、そこは問題の物量を多くすることでカバーしています。問題はなんと220問程度出題されて、制限時間は120分なのでいちいち検索していたら時間が無くなるようにできています。分からない単語をGoogle検索して、表示されたサイトを読んで正解を探すなんてやっていたら1問2分はかかります。つまり120分で60問しか手が付けられません。合格ラインは正答率60%~70%と言われていますので、220問中140問程度正解する必要があり、とても間に合いません。

基本的に自分の頭を信じて解答し、一部だけ調べるという方法が有効です。実社会の業務でもすべてを完全に暗記して対応することは無いと思いますので理にかなった試験方法かもしれません。

AIと中小企業

さて、AIというとロボットを思い浮かべる方もも多いかと思いますが、物理的に動く機械はAIではなく、動作をつかさどる頭脳部分がAIです。下のイラストのロボット部分はAIではないのですね。

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AIは要するにコンピュータによる計算で、むしろロボット以外の分野に広く応用されています。中小企業診断士としては、中小企業でどう活用していくかを考える必要があると思っています。
まずAIは、
・数値予測
・画像認識
・音声認識
が得意というところに注目して、自社の業務で活用できるところはあるのか?から考えてみるとよいです。
例えば、画像認識の分野では、パン屋のレジに導入して、顧客がトレーに乗せたパンを撮影するだけでパンの種類と値段をレジで出力するシステムが販売されています。
また、数値予測の分野では、飲食店で適正な仕入れを行うために、天候や近隣の宿泊施設の客数より自店舗の来客数を予測する事例もあります。

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各社の個別業務をAI化する場合、システムは個別見積もりでゼロから作っていくことになり、なかなか難易度が高いかもしれません。今後、利用しやすいAIパッケージが出てきてから対応する、でも十分だと思います。

ところで、AIの中身は人間の脳の構造を模したニューラルネットで、人間の脳細胞の数が膨大であるように、AIも膨大な数の(場合によっては億単位の)パラメータから構成されています。

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このパラメータの調整がAIの肝で「学習」というのですが、パラメータが多すぎることでAIの出力結果の説明が難しくなっています。例えば、1億のパラメータリストを見せられて、学習の結果パラメータがこうだからこういう判断をAIは行います!など説明されても納得できませんよね。
つまり、中の仕組みは分からないけれど、AIが出した結果を信用して業務を行えるか?が重要になります。この点、意思決定が集中している中小企業の方がAIを導入しやすいのでは?という説があります。大企業の場合、AIの出す結果に対して何人もの上司を納得させるため稟議を回していたらとっくにビジネスチャンスを逃してしまった、なんてこともあり得ます。

今、世間と中小企業は大変な状況です。
現状ではAI導入などと言っていられない状況かもしれませんが、いつか戻るはずの日常に備えることも忘れないようにしたいと思っています。

IT系企業に所属する企業内診断士です。