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教育の【常識】を疑ってみるということ

教育業界で働いていることもあって、教育についての書籍に目が留まることが多いです。

実際の教育現場である学校、

忙しい環境で働いている先生、

与えられた管理下で過ごしている子供たち。

民間の企業で働いているので教室を覗いているわけではありませんが、日々ご家庭と話していると教育についての悩みがつきない。そのように思います。

そんななか、非常に興味深いタイトルに惹かれた一冊があります。

これは、教育業界に務めていない方にもお勧めしたいですし、社会人の方にも響くビジネス書だと思います。

学校の『当たり前』をやめた。

生徒も教師も変わる!公立名門中学校長の改革

著:千代田区立麹町中学校長 工藤勇一

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皇居、国会議事堂、首相官邸が学区内にあり、日比谷高→東京大学の進学実績が多いと言われている麹町中学。

著者である工藤勇一さんは、山形での教員→東京都教育→目黒区、東京都、新宿区の教育委員会での指導主事、管理職を経て現在はこの麹町中の校長を務められています。

現在注目されているのは、公立中学で当たり前とされてきた学校活動の見直し、革新的な取り組みの数々です。ただ、この本で一番感銘を受けたのは、自律のための教育を大切にしたいという工藤さんの思い・考え方にありました。

・目的と手段を履き違えない

「勉強の習慣をつけるための宿題が、ただこなすだけのものになっている」

「自分の実力を試す定期テストを一夜漬けで片付ける。学校は通知表をつけるために実施している」

工藤さんはこうした教育現場の問題について、手段と目的のねじれと言っています。

本来の目的である子供の学力を高めて、学習習慣づけをすることが達成できておらず、宿題を提出すること・いい評価をもらうことという手段が先行している。

その課題を見直すため、現在麹町中では宿題、定期考査を廃止する代わりに、毎週の単元テストの実施、主体的に勉強に取り組めるようなプレゼン・ディスカッション式の授業、問題解決型のカリキュラムづくりをしています。

また、1クラス1担任による固定担任制も見直しており、学年の全教員で学年の全生徒をみる全員担任制を採用しています。

たしかに1人の先生が30人ほどのクラスを全て任されて、クラスの課題や悩みを1人で抱えてしまうのは先生が働くうえでかなり負担のあることだと思っていました。

複数名の教員による担任制は毎週の会議により連携、情報共有を行なって、それぞれの得意分野を活かしながら生徒の問題に全員が関わっている。

その取り組みは、患者に対して心のケアや専門性の高い処置を行い適切な医療をしているチーム医療型を参考にして、学年経営に取り込んでいるとのことでした。

その他、運動会のクラス対抗廃止や、旅行会社とのタイアップによる企画型の取材旅行、法律の存在意義を考える模擬裁判など、普通の学校ではなかなか実施できない革新的な取り組みをしています。一見トリッキーで賛否両論のある改革かもしれませんが、私はその全ての取り組みは

・目的と手段を履き違えず、本来の目的を達成するための手段を考え抜く
・トラブルから学びを得ることに重きをおき、教育の課題を見える化して解決策を決める
・子供たちには「世の中ってまんざらでもない!大人って結構素敵だ!」と思える環境づくりをしていく

以上のような工藤さんの思いから来ているもので、本当に教育の当たり前を見直して、スクラップ&ビルドを行なっている姿勢に非常に共感しました。

このことは、教育だけでなく普段のビジネス、組織体制、部下へのマネジメントにも活かせそうです。

普段、当たり前とされている会議は本当に今のままでいいのか(会議嫌いなわけではありません。。笑)

仕事のルーティンを振り返って、無駄な業務・指示はなかったか

事業の目的を達成するための本当にやるべき手段は何か

色々な悩みを抱えているビジネスマンにこそ読んでもらいたい一冊だと思いました。工藤さんが学校教育を見直したように、普段の生活をリデザインしてみるのはいかがでしょうか。

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