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作曲家・音楽関連の名前のバラ3-3

(冒頭画像 'Sibelius' Wikimedia Commons)

近代音楽 3

ジャン・シベリウス
Jean Sibelius

1865 - 1957 フィンランド

フィンランドの国民楽派を代表する作曲家。国民楽派の多くはロマン派音楽に分類されるが、シベリウスは年代から言ってむしろ近代音楽に分類する方が望ましい。
チャイコフスキーの影響から出発し「クレルヴォ」「交響曲第1番」を書くが、続く「交響曲第2番」は作曲家の独創性が色濃く現れた名作である。またフィンランドの叙事詩「カレワラ」をはじめ多数の民族的題材に基づく交響詩や管弦楽組曲、劇音楽、そして合計7曲の交響曲を書き、ドリア旋法を多用しながらも独特の和声や、北国の冷涼さを思わせるオーケストレーションを持つ作風を確立した。
夫人アイノ(カレワラの最初期の登場人物の名でもある)と一緒に、ヘルシンキ郊外の人里離れた湖のほとりの一軒家をアイノラと名付けて住んだ。後年になるとフィンランド政府から年金が支給され生活は安泰したが、年金生活に入ると作曲活動は停滞し、アイノラに引きこもった。幻の「交響曲第8番」は何度も書き直しては暖炉で燃やされたと言われる。そのような隠匿生活が30年ほど続き遂には世を去ったが、近年になってこの晩年の沈黙期の中で書かれた、2つ目のヴァイオリン協奏曲とも言える「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲」が発見された。

Sibelius - Symphony No. 2
シベリウス - 交響曲第2番

Sibelius - Symphony No. 7
シベリウス - 交響曲第7番

Sibelius - Violin Concerto
シベリウス - ヴァイオリン協奏曲

Rosa 'Kalevala'
バラ 'カレワラ'

フィンランドは北国であることに加えて、主要民族フィン族(スオミ族)の言語がウラル語族で他のインド・ヨーロッパ語族と大きく異なること、原始的な狩猟採集を営む少数民族サーミ族と国土を共有することなどから、キリスト教の伝来がヨーロッパでは最も遅かった。そのためキリスト教によらない異教の神話「カレワラ」が伝わり、国民的叙事詩として共有されるに至った。ただし多神教の世界観とはいえ、一神教の唯一神を連想させるウッコ、処女懐胎するマリヤッタなど、キリスト教の影響も随所に見られる。

シベリウスの創作においてもカレワラは多数引用されているが、膨大な物語であるため、物語全体を1曲の音楽作品にまとめることはしていない。カレワラの主要人物として、物語全体の狂言回し役で生まれながらに老人の姿の魔術師ヴァイナモイネン、英雄的若者レンミンカイネン、力持ちだが不器用な青年クレルヴォの3人(およびレンミンカイネンの宿敵イルマイネン)が登場するが、シベリウスはそのうちヴァイナモイネンを除いて、「クレルヴォ」「レンミンカイネン組曲」として、それぞれの登場人物にまつわる物語の部分を音楽にまとめている。

Sibelius - Kullervo Symphony
シベリウス - クレルヴォ

マーラー『大地の歌』と同様、本作品を交響曲とみなす記述もあるが、現在は交響曲と注記されることはなくなってきている。

Sibelius - Lemminkäinen Suite
シベリウス - レンミンカイネン組曲

36:17 - 第3曲「トゥオネラの白鳥」は特に有名。この世とあの世(死の国)とを隔てるトゥオネラ川(いわゆる三途の川)の白鳥を描く。

Rosa 'Aino'
バラ 'アイノ'

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(画像 simolanrosario.com)

作出: Pirjo Rautio (フィンランド)
作出年:2009年以前
系統:ガリカ(オールドローズ)

アイノはシベリウスの妻の名であるが、元々はカレワラの創世記の次の第2章に登場する少女の名である。生まれながらに老人の姿の魔術師ヴァイナモイネン(ワイナミョイネン)に言い寄られるが、裸で水遊びしているところを追い詰められた挙句に水の中に飛び込んで死に、水の精となる。
カレワラ最終章では、木苺を食べて処女懐胎し子を産んだマリヤッタにヴァイナモイネンが再び言いよるが、その赤子が立ち上がって喋り、かつてヴァイナモイネンがアイノを死に追いやったことを叱責する。ヴァイナモイネンは船で海を去っていき、物語が終わる。

アクセリ・ガッレン=カッレラ「アイノ」(画像 Wikimedia Commons)

Rosa 'Ainola'
バラ 'アイノラ'

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(画像 simolanrosario.com)

作出:不明
作出年:2000年以前
系統:Hybrid Villosa (発見された種)

Sibelius - Finlandia
シベリウス - フィンランディア

フィンランドの第2の国歌として扱われている。

Rosa 'Finlandia'
バラ 'フィンランディア'

作出:Jan Kraats (オランダ)
作出年:1969年
系統:ポリアンサ

Rosa 'Sibelius'
バラ 'シベリウス'

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(画像 HelpMeFind)

作出:レンス(ベルギー)
作出年:1981年以前
系統:ハイブリッドムスク
色:ピンク、パープルシェーディング
香り:微香
日本での入手難易度:3(希少)
希少ではあるが、水谷農園のサイトで日本語のタグがついて販売されている。

アレクサンドル・スクリャービン
Alexandre Scriabin

1972 - 1915 ロシア帝国

ピアニストとして活動するも作曲家に転向し、ショパンの影響の強いピアノ曲から出発する。やがて神秘主義に傾倒し、「神秘和音」(ド、ファ♯、シ♭、ミ、ラ、レ)を発明して多用した。後期の作品は調性音楽の範疇を逸脱している。

Scriabin - Sonate pour piano N. 9 « Messe noir »
スクリャービン - ピアノソナタ第9番『黒ミサ』

Scriabin - Symphonie N. 4 « Le poème d’extase »
スクリャービン - 交響曲第4番『法悦の詩』

単一楽章で、オルガンを含む。神秘和音が多用され、全曲の最後になるまで和声の解決が現れない。日本語では「法悦」と訳されるが、原題のエクスタス/エクスタシーは性的絶頂を表している。

Rosa 'Ecstasy' (Dickson)
バラ 'エクスタシー' (ディクソン作出)

(画像 HelpMeFind)

作出: Alexander (Sandy) Dickson III (イギリス)
作出年:1934年
系統:ハイブリッドティー
色:イエローブレンド
香り:強香

Rosa 'Ecstasy' / 'Extase' (Kordes)
バラ 'エクスタシー' / 'エクスタス' (コルデス作出)

(画像 HelpMeFind)

作出:Wilhelm Kordes III (ドイツ)
作出年:1992年
登録名:KORazerka
別名: Ecstasy, Extase, Exstase
系統:ハイブリッドティー
色:ダークレッド
香り:強香(ダマスク)

Scriabin - Symphonie N. 5 « Prométhée - le poème du feu »
スクリャービン - 交響曲第5番『プロメテ - 火の詩』

ピアノソロがあり、またヴォカリーズ合唱も加わる。
最大の特徴は照明の指定があることで、照明の操作は「色光鍵盤」によって行われ、楽譜に記されている。
ほぼ全曲が神秘和音の組み合わせと移調によって成り立っている。
タイトルは、ギリシャ神話で天界から火を盗んで人間に与えた神プロメテウスに因む。

Rosa 'Fire of Prometeus'
バラ 'ファイア オブ プロメテウス'

(画像 バラの家)

作出:木村卓功/ロサオリエンティス(日本)
作出年:2021年
系統:シュラブ
色:赤
香り:微香(ティー)

安定した強健種であると紹介されている。

マヌエル・デ・ファリャ
Manuel De Falla

1876 - 1946 スペイン 〜 アルゼンチン

スペインの民族音楽を基とするが、フランスに留学し、ドビュッシーやデュカスと親交を結んだ。ファリャはドビュッシーに「私はフランス音楽が大好きでして」と持ちかけると、ドビュッシーはファリャに「私はそのフランス音楽というのが大嫌いでね」と返した逸話がある。母国スペインへ帰り創作活動を続けたが、晩年はフランコ政権を避けてアルゼンチンに亡命した。
同時代のスペインの作曲家グラナドスやアルベニスに比べると、ファリャはよりフランス印象主義の影響が強いが、それをうまく自分のスペイン音楽と融合させている。伊福部昭にも影響を与えた。

Falla - Noches en los Jardines de España
ファリャ - スペインの庭の夜

実質的なピアノ協奏曲で、ファリャの作品ではフランス印象主義の影響が最も強い。しかしながら冒頭をはじめ、いたるところでスペイン音楽の片鱗を聴くことができる。

Falla - El Amor Brujo
ファリャ - 恋は魔術師

Falla - El sombrero de tres picos
ファリャ - 三角帽子

ロシア・バレエ団(バレエ・リュス)のためのバレエ作品。初演寺はパントマイム作品だった。

Rosa 'Falla'
バラ 'ファリャ'

作出:不明
作出年:1820年以前
系統:ハイブリッドスピノシシマ

マヌエル・デ・ファリャの生年よりも50年以上前に作出されている。

アルノルト・シェーンベルク
Arnold Schönberg

1874 - 1951 オーストリア〜アメリカ

初期には後期ロマン派の調性音楽の作風から出発したが、やがてその調性音楽に終止符を打ち、無調音楽とその統率の方法として十二音技法(ドデカフォニー dodecaphony)を提唱した、20世紀で最も重要な作曲家の一人。
ドテカフォニーは1オクターブ内の12の音を1回ずつ用いて一つの音列を決め、これをそのまま読む正行形、後ろから読む逆行形、上下を反対に読む反行形、反行逆行形という素材をそれぞれ用いる。短いピアノ小品から作り始め、大オーケストラ曲やオペラに至るまで応用した。
シェーンベルクの弟子の中でも特に高名な2人、アルバン・ベルクとアントン・ヴェーベルンとを合わせて、新ウィーン楽派(第二次ウィーン楽派)と呼ばれる。ベルクはドテカフォニーと従来の調性音楽を折衷した作風を好み、ヴェーベルンは極小形式と呼ばれる短い音楽の中に緻密なドテカフォニーの構成を織り込む作風へと発展させた。これらの思想は、戦後のダルムシュタット楽派によってトータルセリー技法へと発展していく。

Schoenberg - Verklärte Nacht
シェーンベルク - 浄められた夜(浄夜)

後期ロマン派様式の作品。原曲は弦楽六重奏で、弦楽合奏版もよく演奏される。
単一楽章の作品だが、一つの巨大なソナタ形式として多楽章的な性格を持っており、それは「室内交響曲 第1番」などを経て後年の作品へと繋がっていく。
リヒャルト・デーメルの同名の詩に基づく。月夜に男女がいて、女が言う。「私のお腹には赤ちゃんがいて、それはあなたとの子ではありません」女はその男と出会う前に見知らぬ男に身を委ねた罪を告白するが、男は「僕のためにその子を産んでおくれ」と言って女を赦す。
前半の和声は極端に解決を引き伸ばし、メロディは楽節の後半を何度も繰り返しながら悶えるように曲が展開するが、全体の後半でニ長調になって幸福な曲調となる。この繰り返し書法(ゼクエンツ)はブルックナーやワーグナーに影響を受けており、さらにその源流を遡ればウェーバーに辿り着く。

Schoenberg - Pierrot lunaire
シェーンベルク - 月に憑かれたピエロ

十二音技法を提唱するより前の作品で、「自由な無調」で書かれている。歌い手は通常の歌声のほか、シュプレッヒシュティンメSprechstimme(語り声)またはシュプレッヒゲザングSprechgesang(語り歌い)を使い分ける。
歌、フルート(ピッコロ)、クラリネット(バスクラリネット)、ヴァイオリン(ヴィオラ持ち替え)、チェロ、ピアノの編成。
ラヴェルやストラヴィンスキーにも影響を与え、それぞれ同様の編成で作曲をおこなった。現在も若手作曲家のための作曲コンクールの定番として、この編成がよく指定される。

Arnold Schoenberg - Piano Concerto Op.42
シェーンベルク - ピアノ協奏曲

厳格な十二音技法によって作曲された作品。

Arnold Schoenberg: A Survivor from Warsaw
シェーンベルク - ワルシャワの生き残り

ナチス・ドイツによるユダヤ人の虐殺から生き延びた男の体験をナレーターが語る。十二音技法による無味乾燥とした音楽が殺戮行為の冷酷さを表現している。

Rosa 'Schönberg'
バラ 'シェーンベルク'

(画像 HelpMeFind)

作出:Bettina Reister (ドイツ)
作出年:2012年
系統:シュラブ

名称はフライブルク近郊の山に由来すると書いてあり、作曲家個人に献呈されたものではないと思われる。

アルバン・ベルク
Alban Berg

ドデカフォニーを用いながらも、それと従来の調性音楽との融合を目指した作風をとった。

Alban Berg - Wozzeck
ベルク - ヴォツェック

Alban Berg - Lyriche Suite 
ベルク - 抒情組曲

短2度から増4度までの(それらを反転すれば転回音程も得られる)全音程音列が用いられた作品。瞬間ごとの縦の響きには協和音も多用される。

Alban Berg - Lulu
ベルク - ルル

未完作品。フリードリッヒ・チェルハが補筆した。

Rosa ‘Lulu’
バラ ‘ルル’

作出:ヴィルヘルム・コルデス2世(ドイツ)
作出年:2001年
系統:ハイブリッドティー

Rosa ‘Lulu Kordana’
バラ ‘ルル コルダナ’

作出:ティム・ヘルマン・コルデス(ドイツ)
作出年:2011年
系統:ミニアトゥーラ

コルデスのミニバラ「コルダナシリーズ」のひとつ。日本語での検索は見当たらないが、輸入されている可能性も否定できない。


Alban Berg - Violinkonzert »Dem Andenken eines Engels«
ベルク - ヴァイオリン協奏曲『ある天使の思い出に』

ベルクの絶筆作品。マーラー夫人のアルマがマーラーの死後、バウハウス建築を提唱した建築家ヴァルター・グロピウスとの2度目の結婚(のちに離婚、3度目の別人ヴェルフェルと再婚。ベルクはヴェルフェルの姉と不倫していた)の際にアルマがもうけた娘マノン・グロピウスの18歳での死に際し、ベルクがルルを中断して作曲した。しかしベルク自身もこの曲の作曲の後すぐに、単なる虫刺されが悪化して腫瘍となり50歳で死去した。
3度音程を堆積し、最後の4音は全音音階となる音列 Sol - Si♭ - Re - Fa♯ - La - Do - Mi - Sol♯ - Si - Do♯ - Re♯ - Mi♯ (全て上行形であり、一種の旋法や「和音の場」とも解釈できる)を用いており、全体的には調性音楽としての響きをも多分に持ち合わせている。第2楽章ではバッハのコラールが引用される。

Rosa ‘Manon’
バラ ‘マノン’

ジュール・マスネの項を参照。

アントン・ヴェーベルン
Anton Webern 

ドデカフォニーをさらに突き詰めて極小形式に辿り着き、戦後のダルムシュタット楽派のトータルセリエリスムに影響を与えた。

Anton Webern - In Sommerwind
ヴェーベルン  - 夏風の中で

調性音楽時代の作品。

Anton Webern - Passacaglia
ヴェーベルン - パッサカリア

調性を保っているが、その度合いは希薄である。

J. S. Bach / A. Webern - Ricercata
バッハ / ウェーベルン - リチェルカータ

バッハ『音楽の捧げ物』の編曲だが、一つの声部の旋律の途中で受け持ち楽器が変わる「音色旋律」を採用しているのが大きな特徴である。

Anton Webern - Six Bagatelles
ヴェーベルン - 6つのバガテル

バガテル(取るに足らないもの)という小品集のタイトルを借りて、極小形式としてそれぞれの最低限の音の動きが最大限に曲全体の中で意味を持つ。

Rosa ‘Bagatelle’
バラ ‘バガテル’

(画像 Helpmefind)

作出:スペール&ノッティング(ルクセンブルク)
作出年:1909年
系統:ハイブリッド・ムルチフロラ


Anton Webern - Symphony
ヴェーベルン - 交響曲

極小形式によっており、必要最低限の音素材だけで書かれた9分の交響曲である。

オットリーノ・レスピーギ
Ottorino Respighi

1879 - 1936 イタリア

イタリア近代の作曲家で、青年期はロシアやドイツでヴィオラ奏者として活動し、イタリア以外の音楽への知見を広めた。管弦楽法はロシア五人組の特に直接師事したリムスキー=コルサコフからの影響、近代的な和声法はフランスの印象主義音楽やイタリアの同時代のヴェリズモ・オペラ(マスカーニ、レオンカヴァッロ、チレア)の影響が見られるが、イタリアのルネサンス(イタリア語ではリナッシメントrinascimento)やバロック音楽を研究して再評価しており、新古典主義に位置付けられる。

Respighi - Pini di Roma
レスピーギ - ローマの松

第3曲『ジャニコロの松』の終盤では、録音したナイチンゲール(サヨナキドリ、イタリア語でウシニョーロ usignolo)の声が使われる。初演当時はSPレコードと蓄音機による再生音が用いられた。西洋音楽における最も早い録音の使用例と言える。
第4曲『アッピア街道の松』は、組曲の中でも特に人気曲である。今も2000年前そのままの姿で残るアッピア街道を、古代ローマ帝国軍が遠くから歩いて進軍してくる様子を壮大な曲想で描く。
個人的な話になるが、筆者のローマ滞在時は徒歩30分弱のところにアッピア街道州立公園があり、ジョギングの定番コースであった。イエス・キリストの十二弟子の一人である聖ピエトロ(ペトロ)がイエスと再会した場所だというドミネ・クオ・ヴァディス教会(「主よ、どこへ行かれるのですか」の意味)の前からアッピア街道に出て、しばらくすると松並木に2000年前の石畳がそのまま残されている一本道が現れる。イタリアカサマツの木は日本の松ともスイス以北の松とも全く違う独特の樹形をしており、その並木道と遠くまで広がる草原の姿は壮観であった。

(アッピア街道州立公園 筆者撮影)

Respighi - Fontane di Roma
レスピーギ - ローマの噴水

Rosa 'Fontana di Trevi'
バラ 'フォンタナ ディ トレヴィ'
(トレヴィの泉)

(画像 Lubela)

作出: Magda Kobelt / Lubela(スイス)
作出年:2015年
系統:フロリバンダ
色:白、黄色の蕊
香り:微香
花弁:ダブル(17-25枚)
花序:大きい房咲き

Respighi - Feste Romane
レスピーギ - ローマの祭り

Respighi - Antiche Danze e Arie per Liuto (Suite 1-2-3)
レスピーギ - リュートのための古典舞曲とアリア (第1, 第2, 第3組曲)

第3組曲第3曲『シチリアーナ』は、特に有名である。

イーゴリ・ストラヴィンスキー
Igor Stravinsky

1882 - 1971 ロシア

初期の傑作として、ディアギレフ率いるロシア・バレエ団の委嘱による三大バレエ「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」が挙げられる。特に「春の祭典」は、その前衛的な響きから初演時に観客が大混乱となり、拒絶反応と絶賛の二手に分かれて乱闘騒ぎにまでなったが、翌年の演奏会形式(バレエなしオーケストラのみ)での再演では好評価で受け入れられ、新しい世代の作曲家として一時代を切り拓いた。しかし第一次世界大戦を経て、終戦直後にオーケストラ団員が集まらなくなると、小編成の「兵士の物語」「プルチネルラ」などを書き、バロック以前の音楽を新しく解釈した新古典主義へと傾倒していく。その後も作風を次々と変え、「結婚」「オイディプス王」ではオスティナート(短い楽節を延々と繰り返す技法)、「ダンバートン・オークス協奏曲」ではジャズの影響を取り入れ、晩年の「七重奏曲」では以前は批判していたシェーンベルク流のドデカフォニーすら使いこなした。

Igor Stravinsky - L’Oiseau de feu
ストラヴィンスキー - 火の鳥

34:17 - 「魔王カスチュイの踊り」が特に有名。

Rosa 'Firebird'
バラ 'ファイヤーバード'
(火の鳥)

(画像 HelpMeFind)

作出:コルデス(ドイツ)
作出年:2005年
登録名:KORdruber
別名:St. Pölten  ザンクト・ペルテン(ウィーン郊外の街の名前)
日本での入手難易度:5(別名?)

Stravinsky - Petrouchka
ストラヴィンスキー - ペトルーシュカ

複数の調性が同時に響く「複調性(多調性)」、複数のテンポを持つ楽曲が同時に進行する「複層時間軸」などの技法が使われた斬新な作品である。とはいえまだそれほど従来の音楽からかけ離れた響きではなく、初演は支持と不支持に分かれたが拒絶反応は見られなかった。

Igor Stravinsky - Sacre du printemps
ストラヴィンスキー - 春の祭典

『ペトルーシュカ』で試された複調性の響きを全編にわたって用いた作品である。機能和声が一切回避されるが、ドビュッシーが試みたような機能和声とは別の文法を持った協和音の連続ではなく、作品全体が徹底的に不協和音で埋め尽くされ、さまざまに形を変えながらそれぞれ原始的なリズムで強調される。特に終盤の「生贄の踊り」は2, 3, 5, 8といった細かいリズムが頻繁に入れ替わる変拍子で書かれているが、これらのリズムには拡大や縮小などの規則性があり、メシアンは「リズムの登場人物」、ブーレーズは「リズムの細胞」と名づけて、それぞれ独自の分析を試みた。
初演は大混乱に陥り、大多数の拒絶反応と一部の支持者に分かれた聴衆同士で乱闘騒ぎとなった。

(film) Chanel and Stravinsky
(映画)シャネルとストラヴィンスキー
(冒頭)

(映画フィルムをヨーロッパ放送規格PALでDVD化しているため、ピッチが約半音高い)
「春の祭典」初演の動乱を描いている。ストラヴィンスキーとココ・シャネル(当時の世界第一級のファッションデザイナー)の不倫を描いた映画。

Igor Stravinsky - Oedipus Rex
ストラヴィンスキー - オイディプス王

Igor Stravinsky - Septet
ストラヴィンスキー - 七重奏曲

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