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【ライブレポ】BUMP OF CHICKEN be there アスティとくしま

3/9(木)気温は21℃
夜行バスで朝の6時半に徳島駅前に到着。流石に明け方は寒い。思ったよりも栄えている駅前の風景に関心するもこの時間に開いている店は多くない。冷たい風を防げる場所を探し、7時に駅前のTULLY’Sが開店したので逃げ込んで寒さをやり過ごしていたのだが、店を出る頃にはすっかり気温も上がり、SJジャケットは暑いと感じるほどで、Tシャツで過ごしていた。

この日の会場である「アスティとくしま」まではバスが出ているが、いかんせんこの立地のため、車で来たリスナーも多く居た。しかし、キャパ5000人の会場に対して駐車場は500台ちょっと、確定申告の時期も重なり12時ころには満車となっていたようで、会場近隣のコインパーキングも軒並み満車。せっかく車で来ても徳島駅に車を止めてバスや徒歩で会場まで来るリスナーも多かった(Google Mapによると駅から会場まで徒歩40分程度)。イベントがあるときはタクシーの予約も出来ないとのこと。駅前で貸自転車を利用するのが一番賢い選択か…?
ド平日にこんな交通の便の悪い会場を選ぶなんて、やってくれるぜBUMP OF CHICKEN。

そんなアスティとくしま、少し大きなライブハウス!とにかく距離が近い!と散々噂を聞いていたため、かなり期待に胸踊らせてやってきた。その期待は裏切られることはなく、会場に入った最初の感想はやはり「近い!」であった。
スタンド後方であろうが、出っ張りは“すぐそこ”である!

本来であればそんな会場で、BUMPの音楽を聴き、MCに胸を熱くして、最高の気分で帰路に着くはずだったのだが、最悪なことに隣席の男性が始めから終わりまで、終始カラオケのように大声で歌うカラオケマンであった。
藤くんがアカペラで歌唱しているところやファルセットを歌い上げているところでも構わず歌い、かなり殺意が芽生えた。途中何度殴りかかろうかと思ったことか。どうか声出し解禁の意味を履き違えないでほしい。高い金を払って、お前の汚い裏声を聴きに来ているのではない。
コロナ禍のライブは良かったなと羨む日がこんなに早く訪れようとは、席に着き、心躍らせながら開演を待つこのときの私はまだ知る由もなかったのです…。

定刻より少し遅れ、18時40分頃開演。
キラキラのイントロでメンバーが入場。大阪Day1同様、逆光で藤くんの身体のラインがスケスケになり袋モモンガみたいになってました。
藤くんがギターを持ち上げるときの気だるさは、有明Day1を100%とすると40%くらい。

そして1曲目「アカシア」の演奏が始まる。
歌詞変えもしっかりしていたが例によって覚えていないので補足コメントいただけるとありがたいです。
間奏での語りは以下のような感じ

こんばんはBUMP OF CHICKENです。
声が出せるようになったから、聞きに来たぜ徳島!
君の声を聞きに来たんだぜ?君と一緒に歌いに来たんだぜ!

そして、会場の全リスナーが注目の第二曲目は「グングニル」
ここ「アスティとくしま」は「北海道きたえーる」と並び、一日のみの単発公演となる会場である。そのため、Day1とDay2のセトリのどちらを演奏するのか、混合セトリならばどのようなセレクトになるのかと、リスナーの間で話題となっていたが、最初の入れ替え曲はDay1セトリであった。個人的にはこれまで参戦した有明大阪ともにDay1のため少し残念ではあったが、グングニルは大好きな曲だ。
楽しみな気持ちはDay2参戦までとっておき、次の入れ替えセトリに期待を膨らませる。

続く3曲目は「天体観測」は共通セトリである。
be thereはここ徳島で3公演目の参戦。もうパフォーマンスは知っていると気を抜いていたが、そんな思いを見透かしたかのように、ここで油断した度肝を抜きにくる。メンバーが2曲目の演奏を終えて3曲目の準備を構えると、あのイントロよりも先に藤くんの声が飛び込んでくる

「イマ」というほうき星 君と二人追いかけていた

リスナーがすかさず応える「Oh Yeah Hey Ahan」
Oh Yeah!と、リスナーのレスポンスに藤原基央が応えてイントロが始まる。

待ってました!!やはりライブの天体観測はこうでないと物足りない!有明大阪ではお預けだった、BUMPのライブの定番の一つ!コールアンドレスポンススタート!
こうして一つまた一つと、あの頃を取り戻していくことが実感できるのが飛び上がるほど嬉しい!新型コロナウイルス感染症による抑圧からの開放、今の時期にしか摂取できない栄養素がここにはある!!

天体観測を演奏し終えると出っ張りからメインステージへ戻る途中で「君たちは、このツアー始まって、俺たちがはしゃいでるって思ってるんだろ?そのとおりだよ(笑)はしゃいでるよ!楽しいからね!」と、出だしからテンションの高さを隠すこともなく自己申告。出っ張りから戻る間客席から様々な声が飛び交っていることを受けて最初のMCへと入る。

「君たちずいぶんと好き勝手に色んなこと言ってくれるじゃねえか。いいぜ、嫌いじゃないぜ。アスティ徳島5年ぶり…だからaurora arkの時は来てないってことか。それくらい久しぶりに来ました」
客席から「おかえりー」という声が飛ぶ。
「おお、いいな。いいぜ、俺たちここに家はないんだけどな、この後帰る家は無いんだけどな。だから帰ってきたって言う感じではないんだけど、そういうの、嫌いじゃないぜ。せっかくそう言ってくれるんだったら言わせてくれ、ただいま。
…どうする?始まったばかりだけど、ちょっと早いけど、ヒロいじっとく?ヒロいじってほしい人―?(拍手)ヒロいじってほしくないって人―?…あぁ、少しはそういう人も居るんだね(笑)
いつもヒロは一日目は昨日何食べたかって話をして、二日目はご当地のお菓子を聞いてたのかな?でもここ(徳島公演)は一日しかないから、お前言いたいことたくさんあるだろ?だからここでそれ全部言っていいよ」と、ヒロに話を振る藤くん。「え?えっと...おかえりー!」
「それはお前、俺たちが言われるやつだろ。お前が言ってどうするんだよ(笑)」と、突然話を振られて戸惑い発せられたヒロ節に突っ込む藤くん。
「俺がいつも言ってるようなことを、お前の言葉で言ってくれよ」と、助け舟を出しているところで客席から「ガンバレー」とヒロを応援するお決まりの声が上がる。
「頑張れっていうな!そういう事言うとこいつがピンチみたいだろ!まるでこいつが追い詰められてるみたいになるから、そういう事言うな!こいつの心はまだ平穏だから!」
「うん、俺の心は平常運転。えっと、徳島ひさしぶりに来れて嬉しいです。今日も楽しくライブができると思うんだけど、楽しい時間っていうのはあっという間で、一瞬で終わってしまいます。ほんと、信じられないかもしれないけど、瞬きする間も惜しいくらい…いや、瞬きは惜しくないか。瞬きするのは惜しくない。瞬きする位の時間はある」
「そうだね、ドライアイになっちゃうからね。いいよ、今んとこ大丈夫だよ、良いこと言えてる気がするよ」
「だからドライアイにならないように瞬きはしながら、この一瞬を楽しもう!」

おそらくあの場のリスナーの、誰もが思っていたと思うが、藤くんも「ありがとう、思ったよりもちゃんとしたこと言ってくれて安心した」との感想(笑)

「声も出せるようになったので、ヒロが言ってくれたように楽しんでほしいけど、一般的なルールはあるから、それは守ってください。急に隣のやつの腕とかつねったりしたらだめだからね。つねられた人もそれは我慢しなくていいと思うから。これはおれの腕だから、お前の腕じゃねえぞって言って、怒っていいから。他の人の迷惑にならないよう、うまくやって楽しんでください」と定番化しつつある注意喚起を行うと次の曲へ入る。

4曲目「なないろ」
チャマがステップ踏みながら演奏して、間奏に入ると藤くんとチャマで向かい合って、イチャイチャしながら演奏するのはこのツアーの見どころの一つ。

5曲目「透明飛行船」
ここでお待ちかねのDay2セトリ!
Day1では「才悩人応援歌」の曲順で、喉で力を込めて、”がなる”ように歌唱していたが、透明飛行船は力を入れない素直な歌唱であった。才悩人応援歌の殴りつけるように訴えかけるような歌唱はもちろん響くが、歌詞を、メッセージを届けるように、素直な丁寧な歌唱を生で聴くことも、これはこれで響くなと、どちらも捨てがたい。
後にTwitterで感想を見ていると、GGTでは技術が追いついていなかったのか、酷い演奏だったと酷評している方がいて、今回は上手に演奏していて安心したと感想を綴っていた。残念ながらGGTには参加していないのだが、こうしたところにもBUMP OF CHICKENの積み重ねてきた歴史が垣間見えるようだ。透明飛行船も誰もが一度は経験のある情景を描いた歌詞で、グサグサ刺さるのだが、それ故に大切に思うリスナーも多く、見る目も厳しくなるのだろう。
彼らに向けられる愛と期待とプレッシャーの大きさを改めて感じた。

6曲目「クロノスタシス」
もしかしたらこれまでもやっていたのかもしれないが、この日はやたらベースの音がよく耳に届いた。ベースの音の存在感に気づいてしまうとベースのアレンジのかっこよさに釘付けとなり、ベースの音が他の音に隠れてしまうと、もう一度出てくるのをまだかまだかと待ってしまう。
この日は完全にベースが主役の曲となっていた。

7曲目「Flare」
藤くんがジェスチャーを付けて力強く歌うの、すっごく好きなんですが、みんなそうですよね?「Flareの好きなところ」選手権しませんか?私は「息をしたがる身体」のところで胸元を掴んで服を引っ張るところが好きです。

SJ幕張からずっと思い続けていることだが、そろそろアウトロのフライング拍手問題はどうにかならないものだろうか…。ヒロくんのかっこいい見せ場なのだからどうか拍手したい気持ちを堪えて欲しい。できれば彼らがわかりやすくやってくれてくれるギターヘッドを下げる“締め”の合図をするまで拍手せずにいたら、不意の事故も防げるのに…。

8曲目「魔法の料理〜君から君へ〜」
二曲目のDay2セトリ!2021年のNHK SONGSで演奏されたときも改めて良い曲だなと思ったが、ライブで聴く魔法の料理はとても沁みる。アレンジが素敵なことに加えて歌詞変えが刺さる。

分かり合うために本気を出せるような が 僕らが音を出したら聴いてくれるような
基地ができるまで帰らないような
 が 今日ここで出会えたような

続けて出っ張りに出てきて演奏する9曲目「ベル」

話したいことは山ほどあるけど なかなか言葉になっちゃくれないよ
話せたとしても 伝えられるのは いつでも本音の少し手前

僕のことなんかひとつも知らないくせに

話したいことは山ほどあるけど 話さないと決めたこともある

伝えたいことが上手に話せず、言えない思いをそのまま連れてきたと歌う「魔法の料理」の後で、話したとしても本音を伝えることは出来ない。それどころか話さないことを決心して、知られることなく泣いたことを歌う「ベル」
「ベル」はDay1セトリなので、本来は並んで披露される曲ではないのだが、この組み合わせが本来正解だったのではないかと思わされるほどのフィット感にグッと来る。

そんな組み合わせにしんみりとしたところでMCパート
「ここ(出っ張り)に来ると俺の中の増川弘明が、心の扉を叩いてくるだ、俺にしゃべらせろ!って、現実の増川弘明は多分そんなことないと思うんだけど。俺の中の、この(手で斜め後ろあたりに円を描きながら)、この辺に居るスタンドみたいなヒロが、喋らせろって言うからね、だから、はい、どうぞ!」と、ヒロに話すように促しつつ、すかさずリスナーに対して「だから頑張れとか言うな、そう言うこと言うとまるでこいつがピンチみたいになるから、そういうこと言うな!」と牽制する藤くん。保護者か(笑)
「徳島はbe thereで初めて一箇所しかない公演で…あ、一箇所じゃない!一日!」
メンバー爆笑
「一箇所ってお前」「どこもそうだよ」「有明で終わってるぞそれ」と各々ツッコミを入れる。
「一日しかないから、すごく楽しみにして来ました。えっと、昨日はお魚をいっぱい食べました。お刺身と鯛めしと唐揚げと…カワハギ?あと…」
合ってる?と言うようにヒデちゃんを振り返るヒロ。ヒデちゃんが笑顔で、丸と、腕でサインを送り手助けする。
「あと、あれが…そば米汁?って、僕ら初めて聞いたんだけど、それが美味しかったです」
「名産って言ってたね」
「そう、名産らしいんだけど、初めて知って…。なんかこう…蕎麦粉みたいな、溶いて、蕎麦湯みたいにして…もし正解知ってるって人いたら...」とキョロキョロし始めたヒロに対して藤くんが慌てる。
「いいよいいよ!別にこの場で正解とか求めてないから聞かなくて!...ヒデちゃん今気抜いてたでしょ!?」
「え、なんで俺が悪いみたいになってんの!?」と、何故かとばっちりを受けるヒデちゃん(笑)
「分からない人はググって!あとは、後散策とかして…それは…」

説明をぶん投げるとチャマの方をちらっと見るヒロ。その様子を見た藤くんが続ける。

「そうだね、それじゃあチャマ!散策のことで話したいことたくさんあるんじゃない?」
「散策もそうなんだけど、それよりもね、このアスティ徳島はキャパがbe thereで一二を、争う…いや、どこの会場もそうなんだけど、いつも藤くんが言ってるように会場がどうとか、広さがどうとかじゃないんだけど、変な意味じゃなくてね、誤解がないように!事実として、事実としてね!この会場のキャパは!一二を争うほど小さい!会場がコンパクトだから!もうみんな大変!スタッフもこれ(花道)どうんのって、もうこれどうすんのよ!?って!すっごい慌ててた」
「走ってもすぐここ(出っ張り)まで出てこれちゃうもんね」
「その分みんなとも距離が近いから、すっごい楽しくて、みんなが楽しいのもすっごい伝わってきて。もう、この会場の気持ちは一つになってる!けど、今日のこのメンバーなら、もっと行けると思う!その先に行けると思う!」
「その先って何?どういうこと?どこ行こうとしてんの?」
「その先は、その先だよ藤くん!この(手で壁を作って)もっと向こう側!だからみんな一旦感情をゼロにしてほしい!」
「一旦だって、ゼロにするんだって」
「一旦ゼロ!無!うれしいとかムカつくとかそういう、喜怒哀楽の感情もなし!BUMP OF CHICKENとか一旦忘れて!」
「それは不本意だけど、俺的には忘れられるのすごく不本意なんだけど」
「藤くん!今、俺が喋ってるから!」
「あぁ、俺が悪いのか、ごめんな」
「みんなわかった?忘れてね、BUMPとかライブとか一切忘れて、無!そういう空っぽにするの!藤くんからもみんなに言って!」
「俺としては心外なんだけど、みんな一旦ライブとか忘れてください…。俺はお前がどうしたいのか今のところ全く分かってないんだけど、この話がどこに着地するのかすごく不安なんだけど」
「藤くん!俺が今喋ってるところだから!邪魔しないよ!!
みんなわかった?空っぽになった?そしたらみんな空っぽになったその心にたった一つ、アスティだけ持ってください。たった一つのアスティ。大丈夫?アスティになった?アスティになったら、今日一!いや、今までで1番でかい声でアスティーって叫んで!」
「こいつこれやるの本当好きだから」
「“ミキティー”のテンションでね!え、私ってこんな声出たんだ!?って自分でびっくりするくらい大きな声出してね!がっかりするようなのは聞きたくないから、出し惜しみとかしないでよ?がっかりしたくないからね、一発で(天井を指差しながら)この天井ぶち破って、会場いっぱいの、アスティーを聞かせてください!!」
「じゃあ俺動画撮るから、藤くん掛け声よろしく!」と、スマホを出しながら藤くんを掛け声係に任命するチャマ
「え、おれ!?おれが掛け声するの!?」と戸惑う藤くんを置いてカメラ構えながらそのまま花道の方へ歩いていくチャマ。藤くんガン無視(笑)
「俺が声掛けなきゃいけないらしいよ。それじゃ、いくよ?せーの」
「「アスティーーーー!!」」

戸惑いながらも発せられた藤くんの掛け声に合わせて会場中の、今日イチの「アスティー」に、うんうんと満足げなチャマ。
「それじゃここからまた心をBUMPのライブに戻して、ライブ楽しもう!」とのチャマの締めの言葉に戸惑い気味な藤くんが「…えっと、チャマです」と紹介(笑)

何だこの「ヒロかな?」と思わせるようなやりとりは。漫才か?(笑)

「それで」と、ヒデちゃんを指差す藤くん。同じようにヒデちゃんを指差すチャマ。真顔のヒデちゃん
「ヒデちゃんです。まだ1人だけアスティです(笑)」
「僕らヒデちゃんと一緒に、4人でここで演奏したくて、僕ら普段ここを“出っ張り”とか、“ドンツキ”とか呼んでて、向こうがメインステージでね、今回のツアーではメインとこっちで2つドラムセットを置いて、ヒデちゃんにも来てもらいました。今日は会場小さいから行けるんじゃない?地声でもみんなちゃんと聴こえるんじゃない?」
(ボソボソ)
「●●だそうです」(思い出せないので伏せ字。どなたか補足コメントください)
「なんで会場の小ささに合わせてお前の音量も小さくするんだよ(笑)」
「徳島に来れてうれしーありがとー」
「そういう感じのことを言うんじゃないかと思ってたよ(笑)」と笑うと、なんか別のこと言って的な注文をつける藤くん。
「楽しいー!」
「“楽しい”だそうです。同じような種類のが来ましたね、ヒデちゃんです。そして僕ボーカルの藤原です」
「ふじくーーん」と、アスティーの要領でチャマが叫ぶ。
「「ふじくーーん!!」」と、リスナーも続ける。

いつものようにすぐ次の曲に入るのかと思いきや――実際に一瞬曲に入りそうな動きはしたのだが――思いとどまり話し始める藤くん。
「明日もやりたいくらいなんだけど、徳島は一日しかないから、今日帰りたくないな…。
昨日散策していたらさ、大判焼き屋さんがあってね。美味しそうだなーって思ったんだけど、そのとき俺お金を持ってなくてさ、たったの90円すら。それで、買えないからさ、いいなーって思って、我慢してたんだけど、そしたらこいつ(ヒロ)が、えー美味しそうな大判焼き屋さんあるじゃーん(ヒロボイス)って言って走って行ってさ、俺はその背中を、遠ざかるこいつの背中をね、虹の向こうに消えて行く少年のような、そんなこいつの背中を見ながら、いいなー、羨ましいなーって思ってたら、その虹の向こう側からさ、眩しい向こう側からこいつがぱっと振返って、藤くんも大判焼き食べるー?(ヒロボイス)って言ってきてくれてさ。それで俺、おぉう、お前が奢ってくれるだったら(震え声)って言って、買ってもらいました。ヒロがおごってくれた出来たての大判焼き美味しかったです」
「さっきから出てくるそれは、声変わり前の、中学生の頃の俺なのよ」

幼馴染のほっこりエピソードを披露。いつもは喋らないところでわざわざ時間とってその仲良しエピソード話したかったの、おじさん可愛すぎませんか、どんだけ仲良いんですか、俺も藤くんに90円の大判焼き奢ってあげたい。

「もう一曲ここでやっていっていいですか?」と言って演奏するはおなじみ「新世界」
この日は“ばきゅん”が気持ち多かったように思う。「徳島アイラブユーだぜ!」もしっかり摂取。
この曲だったか記憶が定かではないのだが、藤くんが「声出せ!」って煽るために、おそらく花道で、背伸びして天井高く指差すようにしていたのがなんだかコミカルな動きで可愛かった。

演奏が終わり、定番化しつつある“延長戦”を2ラリーした辺りで一旦止める藤くん。何かと思いきやここでまさかの大阪Day1の続きを話し出す。

「大阪で手拍子の話をしてね…なんだよ、なんで笑うんだよ。君たち笑うってことは何の話したか知ってるってことだよね(笑)
俺は不器用で、思ったことをちゃんと伝えられていなかったので、昔はみんなの手拍子を止めた。それがなんか俺が怒ってるみたいに捉えられて、だから俺が手拍子嫌いな人みたいに思われてて、けどそれは本当は違うんだぞって話をしたんだ、大阪でね。それで、その日帰ってシャワー浴びたり風呂入ったりしながら、布団に潜りながら、ちゃんと伝わったかなって考えたんだ、そしたら、これじゃ伝わらないなって思った。ちゃんとみんなに言っとかないとまた誤解されると思った…(手拍子を叩きながら)小さく震える手にはマッチ…これだと、ほら…なんか、俺は民謡でも歌ってるんかって気分になって、これは違うって思ったんだ。これは歌いにくいって。だから手拍子をくれる時は表じゃなくて、できれば裏で欲しいって言った。けどそれも説明が足りてなくて、そうかあいつは裏で欲しかったのかって、次から全部裏でやらなきゃいけないんだなって思ってくれても、そもそもどの裏なんだっていう話もあるよな。4拍なのか、8拍なのか、それとも16拍なのか、どの裏なんだって。それに、そもそも裏ってなんだよ、そんなこと言われても分かんないよって人もいると思う。だから、こないだの俺の話は説明が足りていなかった。俺がこないだ言ったのは2と4で手拍子をくれって話だったんだ。だけど、いや待てよと、それも違うぞと。必ずしもその限りではない!裏じゃない時だってある!必ずしも手拍子は裏だけではないぞって気づいた!
ぱんぱん ぱぱぱん ぱんぱん ぱぱぱん〜(言いながら手拍子でつづける)Stage of the ground Yeah!っていうのもあるし、ぱぱぱん ぱぱぱん ぱぱぱんっていう曲もある。もっと言えば瞬間的に、この、この部分!ここでぱぱぱんってくれ!っていう曲だってある。俺たちの曲にはいろんなリズムの曲があるから、この言い方は正しくないな、この言い方だとちゃんと伝わらないなって、また、誤解される。このままだとこの人達、今後全部2,4で手拍子するなって、布団の中で寝るときに思ったんだ。だから今日、改めて言い直す。

なんか良い感じの手拍子をちょうだい。

そもそもそういうのって。俺が裏をくれとか言うものじゃなくて、みんなの方から、自然発生的にくれるものだろ。そして俺はそんなみんなの手拍子も曲の一部だと思ってて、俺たち4人が演奏するのと一緒で、みんなと一緒に曲を作ってると思ってる。だから、君たちのくれる手拍子が、これは違うなって時は、これからも俺は君たちの手拍子を止める。だけどそれは君たちの手拍子が嫌いなんじゃなくて愛があるからなんだ、HateじゃなくてLoveなんだ。分かる?憎くて止めてるわけではなくて愛ゆえなんだ。HateじゃなくてLoveってことを分かってほしい。だからこれから先、俺が君たちの手拍子を止めたとしても愛ゆえなんだ、HateじゃなくてLoveなんだって思って付いてきてくれると嬉しい」

そこまでしゃべると、思いの丈を吐露した気恥ずかしさを隠すように、間を置かずに新世界延長戦を再開する。

「ベイビーアイラブユーだーぜー、ベイビーアイラブユーだーぜー(オペラ歌手のように)どうした?ニュアンスまで含めて真似してほしいぜ?ベイビーアイラブユーだーぜー(オペラ歌手風に)ベイビーアイラブユーだーぜ(しゃがれた老人のように)ふふ、努力は認める(笑)べい!びー!あい!らぶ!ゆー!だーぜー!ベイビーアイラブユーだーぜー、次の曲の用意始めるぜ〜、次の曲の用意できたぜ〜」

大阪では登場しなかった御老体藤原登場(笑)
大阪公演では言われずともニュアンスまで含めて真似して繰り返していたのだが徳島では恥ずかしさからか、おふざけパートに入るとリスナーの声が半減。大阪の土地柄だったのだろうか…?
そして本日も新世界の無駄遣いを行って準備を整えギターを構える。

次の曲「SOUVENIR」の演奏を始めるところで藤くんが「ぱんぱんぱぱぱん!」と力強く発声し、演奏を始める。
さっき言ったよな、お前ら、このリズムで手拍子くれよなの合図。

演奏に合わせて手拍子を始めるリスナー。有明Day1では完璧な手拍子でBUMPの演奏をリスナーが支えたが、大阪公演では無かった。やはりこれは手拍子ありが正解なんだなと思うもシンガロングの度にまばらになる手拍子。藤くんが手を叩く合図をするも継続はされなかった。有明Day1の、あの訓練された瞬発力と結束力の強さに恐れ入る。

13曲目「スノースマイル」
この日の徳島は気温が高く、会場では桜が咲いていたほど。聴く機会が多かった事もあり、ツアー中に「pinkie」にでも入れ替えられないかななどと期待していましたすみません。
曲の終盤で、アカペラで歌唱する演出かなり良かったです。暖かくなろうがスノースマイルのそれ別公演でもぜひお願いします!!

Day2セトリ3曲目「月虹」
aa振りに聴く月虹。aaではDay1の入れ替えセトリで、4曲目に披露されていた。当時は勢いのある曲なのでスタートダッシュ曲としての立ち位置だったが、後半のラストスパートに持ってくるのも良いですね。SJ tourの「Aurora」のように、前ツアーでスタートに演奏されていた曲がラストスパートで演奏されるのは、なんだか感慨深い気分になるのは私だけでしょうか。
演奏中なんかかっこいいことやってたんですが思い出せないのが口惜しい…。
月虹ではないのだが、これより前の曲の演奏中にチャマとヒロが出っ張りで向かい合って、ワルツを踊るようにくるくる回って演奏していたのが個人的ベストパフォーマンスでした。

胸の奥で際限なく育ち続ける
理由一つだけ抱えて いつだって 舞台の上

いつかその痛みが答えと出会えたら
落ちた涙の帰る家を見つけた 宇宙ごと抱きしめて眠れるんだ

そして毎公演期待せずにはいられない「GO」
とうとう前奏の歌唱が復活!!待ってました!
ばらりらぱらりらとか、パタリロパタリロって歌ってんのかと思ったら、どうやらpeople have the powerって歌っていたようです。

大阪公演で披露した、たらららたららで前奏のメロディーを歌唱するパフォーマンスも継続!さらに「人に説明できるような言葉に直ってたまるかよ、なあ?」と曲中に呼びかけも!
いいですよ!熟成具合が高まってまいりました!!

みんなが走って先急ぐ
サーカスが来たってはしゃいでる
なんとなく僕も走りたい
チケットも持っていないのに

とても素晴らしい日になるよ
選ばれなくても選んだ未来

涙と笑った最初の日

16曲目「ray」
出っ張りで演奏後、階段を降りて客席の柵にもたれかかるチャマ。そんな近くに来たもんだから周囲のリスナーが大興奮していると(スタンド席から眺めているしか出来ない私はただただ羨ましかった…)、俺じゃなくてギターソロ演奏中のヒロを見ろと言うように指差しジェスチャーしていた。
そんなヒロだが、大阪Day1のように出っ張りを降りるのかと思いきや、今日は演奏後そのまま突っ立っていました。あの日のあれは何だったんだ。ただ疲れちゃっただけ…?

本編最終曲「supernova」
僕らの唄は 君があって 生き延びた の歌詞変えは反則級の殺傷能力。

人と話したりすると 気づくんだ
伝えたい言葉が無いってこと
適当に合わせたりすると 解るんだ
伝えたい気持ちだらけってこと

本当のありがとうは ありがとうじゃ足りないんだ

演奏が終わると、メンバーはさっさと退場(笑)
そして残った藤くんが話し始める。

「これからも俺は君たちの手拍子を止めることがあると思う。だけど、それは決して君たちのことを嫌いなわけじゃないんだ、HateじゃなくてLoveなんだ、愛があるんだ。愛ゆえ止めているんだと言うことを覚えていてほしい。手拍子が違うなって思った時は、今日みたいに俺も手叩いて見せたりして合図したりする。今後も手拍子を止めることがあると思うけど、それは君たちを信頼しているからなんだ。Loveなんだ。どうかわかってほしい」

藤くん退場後会場が暗転するとすぐ、supernovaのラララでアンコールの呼びかけが始まる。be thereではアンコール割とすぐ出てきていたのだがこの日は再入場まで時間があった。

余談だが、翌日仕事のため、この後夜行バスで帰らなければならない私はこの辺りから時計をチラチラ見てソワソワした時間を過ごすことになる。確かこの時点で20時4,50分くらいだったか。
この時も、せっかく待望のラララでアンコールを呼べているのに、何やってんださっさと出てこいBUMP OF CHICKENとしか考えていなかった。

メンバー再入場。そしてお決まりのヒデ犬タイム(笑)
メンバーが楽器を準備している最中、客席では曲名が飛び交っていた。
「え、何?君たちアンコールでやってほしい曲を言ってるの?残念だけど俺たちの中でもう何演るか決めてっから。さっきそこ(舞台袖)で今日何演るか決めてからここ出てきてるから」とバッサリ切り捨てる藤原基央。
アンコールどうもありがとう!と言って演奏したのは「虹を待つ人」
アンコール1曲目はここまで各公演で日替わりだったため、今日は何演るのかと胸踊らせていたが、確定で入るアンコール曲であったため、正直少し残念な気分。

もう一曲付き合ってくれる?と言って演奏されたアンコール2曲目は「ガラスのブルース」
確定曲の2つでアンコール枠が埋まってしまった。
Day1Day2の混合セトリとしてはこれが正解なんだという思いも抱えつつ、やはり定番ではないレア曲を聴きたいと思ってしまうのはファン心理。

いつものように、メンバーで調子を合わせてギターのヘッドを下げていき、締めるタイミングを計っている。そうして演奏が終わるかと思いきや、ちゃんかちゃんか♪ちゃんかちゃんか♪と、阿波おどりのリズムを奏で始めた。
藤くんとチャマが笑いながら、その場でくるくるとそれぞれ回りながら演奏する。
客席でも、おそらく現地のリスナーであろう、しなやかな手付きで阿波踊りを舞う。
これが噂の阿波おどりアンコール。さすが徳島。これがご当地BUMPか。

演奏を終えると、ヒデちゃんはいつもながらさっさと退場。早い。
「ありがとう!楽しかった!帰りたくないくらいさみしいです」と言ってヒロが退場し、チャマも頭を下げて続いていく。
最後に残った藤くんがマイクの前に立って話し始める。

「27年バンドをやってきました。27年間ずっと同じようなことでどうやったら伝わるかな、こうして喋ったことが伝わったのかなとか、そんなことで二十歳そこそこの俺は夜眠れなくなったし、42歳になった俺も、結局また夜眠れなくなったりします。
じゃあそういうときどうするかっていうと、やっぱり俺は、君たちの前で、勇気を出して、本当に思っていることを、伝えることしか出来ません。それは20歳の頃も、40過ぎた今でも、一緒で、僕らは4人でずっと、そうやって27年間やってきました

今まで徳島にも何度か来ることがありました。君たちは「おかえり」って迎えてくれました。
27年間、俺はきっと新しい方法も沢山覚えたはずなのに、未だに完璧にはなれなくて、本当に伝えたいことは、心の全部を君たちに開いて見せることしか出来ない。その方法しか俺は知らないし、今夜だってそうだった。心を開いて、思ってることを伝えるためには歌うしかなくて、そういうのが膨れ上がって、曲が出来ていって、それを聞いてくれるあなたがいたから続けてこられた。また徳島に来ることが出来た。君たちがこうして会いに来てくれた。また会いに来るから、会いに来てください。

…もう一曲やってもいい?もう一曲やったら怒る人いる?」
キョロキョロと左右や上の方を見て(おそらくスタッフの顔色を伺いつつ、ギターを手にする藤原基央。
客席から曲名が飛び交うが「今何やろうか俺の記憶のアーカイブが…どこまでめくったかな」と舞台袖をチラチラ見ながら演奏を始める。

まさかのWアンコール「リトルブレイバー」

怒らないけど困る人はここに居るー!!(笑)
最後にこんなサプライズを与えられるとは。
この時点で21時を過ぎていた。帰りの時間が気になろうとも、落ち着かないまま聴く羽目になろうとも、途中で帰るなんてできやしない。大阪に引き続きWアンコールに立ち会えて、なんて運が良いのだろうか。

「BUMP OF CHICKENです。君たちがいたから続いたバンドです。また来るからな、また会おうな。
マスク、しんどかったろう?家帰ったら外して存分に深呼吸してくれ。そんで風呂入って、暖かくして寝てくれ。俺もそうすっから。
ありがとな、ばいばい、おやすみ。大好きだぜ」

気持ちが抑えられなくなったのか、タオルを客席に投げる藤くん。しかし翻ってステージ手前で落ちてしまったため、拾って投げ直す。

「タオル投げる時にそこ(機材)の上乗っちゃったんだけど、そこのハコみたいなやつに乗ったの初めてだわ。後で怒られるかもしれない。誰かから俺怒られるかもしれない」と慌てたあと一瞬呆けた顔をして
「…あ、もう話さなくていいんだった!じゃあなっ!」と手を振りながら退場していった。

21時10分ころ終演。

なんというか、まるで大阪Day1の続きという感覚になる公演であった。
演奏は大阪Day1とは異なり、変に力が入っていない自然なパフォーマンスなのだが、とにかくテンションが高い。冒頭に自己申告していたが、大阪Day1同様、やたらとはしゃいでいる。MCの喋りで特に顕著にそれが伝わってくる。

それになんと言っても、手拍子に関する話を再度持ち出したこと。それも、ただ同じ話を繰り返すアナウンス的なものではなく、より深く、自分の思いを正確に伝えるために、紡いだ言葉。

それを思うと、混合セトリの選曲についても気づいたことがある。
言えない思いを育てないまま連れてきて(魔法の料理)、
それでも言わないと決めて一人泣いた夜(ベル)。
そんな思いを抱えたまま、舞台に立ち続けることを選んだ未来に(月虹)、
とうとう涙を流しながらも笑える日が訪れた(GO)。
伝えたかったのは”言葉”ではなく”気持ち”だったのだ(supernova)
涙を流して笑える日とは、まさにリスナーを信用して、長年抱えてきた思いを、心を開いてぶつけた今日この日だったのではなかろうか。
新世界後の藤くんの話に重なる選曲だなと、帰りのバスに揺られながら考えていた。

何度も何度も、HateじゃなくてLoveなんだ、そこにあるのは愛なんだと繰り返した藤原基央。
これを書いている数日前、SJ tour final Zepp Hanedaの配信が行われた。その最後のMCで、メジャー・デビューやタイアップ、テレビ出演など、新しいことを始める度に変わっちまったと誤解され、悔しかったという話をしていた。それも今回の手拍子の話と、本質的には同じ話であろう。
都市伝説的に語り継がれる昔のエピソードをこれまで本人はどういう気持でやり過ごしてきたのか。これまで胸に抱えたまま吐露できなかった思いを、恥ずかしさや恐れはあるのだろうが、それでも目の前のリスナーにぶつけることができる。
BUMPは歳を重ねて丸くなったという声もよく聞く。もちろんそういう一面もあるだろうが、これまで積み上げてきた歴史が、BUMPとリスナーとの相思相愛ぶりを強くしてきた。

過去最高の評判名高いaurora arkを越えるのではないかと予感させられる、そんな公演であった。

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