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本の紹介105冊目 『大分断』

こんにちは、TAKUです。

今日紹介するのは、エマニュエル・トッドさんの著書『大分裂』です。

この本は、歴史家で文化人類学者、人口学者でもある著者が、

これからの世界で起こりうる、
「教育がもたらす新たな階層化社会」
についてを綴った一冊です。

【著者のエマニュエル・トッドさんについて】

著者は、歴史家、文化人類学者、人口学者です。

ソルボンヌ大学で学んだのちに、
ケンブリッジ大学で博士号を取得しました。

各国の家族制度や識字率、出生率、死亡率などに基づき現代政治や社会を分析して、
ソ連崩壊、米国の金融危機、アラブの春、
トランプ大統領誕生、英国EU離脱などを予言しました。

主な著書は、『経済幻想』『帝国以後』(以上、藤原書店)、『シャルリとは誰か?』
『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』(以上、文春新書)、『グローバリズム以後』(朝日新書)など多数あります。

【日本の分断が大きくならない理由】

著者は、各国それぞれの文化的側面によって、
社会が階層闘争に向かうのか、
あるいは別の対立が起きるのか、
問題解決の道は異なると言います。

フランスでは、伝統的に階層同士の
真っ向からの対立が起きるからです。

例えばフランス革命の際には、
利得あさりをしていた人が断罪され、
斬首されました。

今のフランスでは、エリート層がフランス大衆と完全に分断した状態を作り出しています。

これと日本の状況は異なり、
日本は文化的側面から、
ヒエラルキーや序列を尊重する傾向に
あるので、日本というコンセプトで
ひとまとめにする傾向があります。

これは、戦国時代の農民たちの
直訴という文化が現代でも通じていて、
それが責任感を基盤としているためです。

各国の国民の文化的側面から、
社会が階層階級にわけられるかどうかの
境界も決まってくるのだと学びました。

【社会的分断と家族構造は関係している】

著者は、民主主義というのはある歴史の
軌道の一時点のことを指すといいます。

これは普遍的な軌道であり、
さらにもう一つ、識字率の向上とともに
表出してきた、ある地域、国、民衆の
思想的気質と家族構造の関係性があります。

また、著者は「民主主義は3つの種類に分けられる」といい、それが以下になります。

1.フランス、アメリカ、イギリス型
2.ドイツ、日本型
3.ロシア型

一つ目は、例えば、フランスのパリ地の農民、
つまりフランス革命が起きた場所での
家族というのは、核家族で個人主義ということです。

ここから生まれた価値観が自由と平等で、
大人になった子供たちが親に対して
自由という価値観があり、
兄弟間の平等主義という価値観もあるので、
識字率などが上昇していきました。

次に2つ目です。

日本を例にすると、
11世紀か19世紀の間に発展した
家族の形というのは、直系家族構造で、
そこでは長男が父親を継いでいくので、
親が子供を監視するという権威主義と、
子供がみな平等に相続を受けることができないという不平等があります。

なので、日本の識字率がある程度のレベルに
までいった時点で明らかになった価値観が、
権威と不平等であり、帝国主義のように
権威主義に基づいた形をとられたりします。

3つ目についてです。

まずロシアの基礎にある価値観は、
中国と同じく、権威主義と平等主義です。

ここに伝統的な宗教の崩壊が起きて、
共産党が生まれました。

このように、世界各国は文化や国民性が
違うので、これに応じて社会的分断および
家族構造も関係してくるのだと学びました。

【最後に】

本書は、歴史家で文化人類学者、人口学者でもある著者が、

今後の世界で起こりうる、
「教育がもたらす新たな階層化社会」
についてを綴った一冊です。

ぜひ、読んでみてはいかがでしょうか!

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