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世界一周ゼミを通して学んだ、コミュニティでの心理的安全性を育む7つのコツ

TABIPPOとしては初めての取り組みだった、完全オンラインでの50日間のコミュニティ #世界一周ゼミ が先日終了しました。世界一周ゼミとは「世界一周したい」という想いを持った人たちが集い、5日間の講義オンラインでのコミュニケーションを通して、世界一周のための準備や自分らしい世界一周のテーマをつくっていく企画です。これまで全12期までのゼミを行っていたのですが、今回の13期は新型コロナウイルスの影響で、初の完全オンライン開催となりました。

今回のnoteでは、初めてオンラインでのコミュニティを運営した中での自分なりの気付きや学びを、ノウハウとしてストックする意味で書き残しています。コミュニティ運営やオンラインサロン運営などに関わる人には何か参考になると嬉しいです。

最重要なのは「心理的安全性」

コミュニティにおいて最重要なのは「心理的安全性」だと考えています。

心理的安全性とは、「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という英語を和訳した心理学用語で、チームのメンバー一人ひとりが恐怖や不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態のことを指します。アメリカGoogle社のリサーチチームが「効果的なチームを可能とする条件は何か」を見つける目的で行った「Project Aristotle」というプロジェクトの研究結果として、心理的安全性が生産性の高いチームづくりに最も重要であることを発表して以来、国内外で心理的安全性が注目されるようになりました。

コミュニティ内での心理的安全性とは「参加者が安心して発言・行動できる状態」であり、心理的安全性が高まると「自発的なアクションやそれに対する承認行為が増える」「コミュニティ内でのコミュニケーションや対外的な発信が増える」ということが起こり、結果的にコミュニティへの帰属意識や参加していることに対して誇りが持てるようになって、エンゲージメントが高まっていくはずです。

それでは心理的安全性を高めるための7個のコツを紹介していきます。

1.参加スタンスを明確に示す

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今回の世界一周ゼミではこのような打ち出しで企画を出していました。その中でも「仲間」と「発信」については参加者の主体性が求められる部分で、運営から一方的に与えるだけだと難しい部分があります。そのため日々どんな姿勢やスタンスでこのゼミに参加してほしいかを初回のオリエンテーションで丁寧に説明をしました。

これ以外だと「Give&TakeのTakeだけを期待するのではなく、自分からGiveをしましょう」というメッセージは、最後まで参加者の方にも覚えて頂いていて実際にたくさんの方が実践していたので最初に明確に伝えてよかったなと感じています。

参加スタンスを明確に要求することで、コミュニティ内でのある程度の行動指針や模範ができ、これを言って大丈夫かな、こういう提案してもいいかなといった不安がなくなります。

2.テキストコミュニケーションを浸透させる

オンラインでのコミュニケーションはテキストがメインです。全5回の講義中も、ゲストや運営が全体でトークコンテンツを行うためなかなか声を出して全員に発言機会を平等に与えることは難しいため、zoomのチャット機能でどんどんコメントをするように促しました。

他にもメッセンジャーやFacebookグループを使ってテキストでのメッセージをたくさん投げかけました。どれだけマインドが整っていてもテキストコミュニケーションや利用ツールに対してのリテラシーがないとコミュニティは活性化しません。絵文字やスタンプの利用などもカルチャーによって分かれるところなので、そのコミュニティ内でのコミュニケーション手法を浸透させることも心理的安全性向上に繋がります。

3.運営は場作りに徹する

運営メンバーとして、コンテンツの提供や参加者のために何かをGiveしたりはもちろんするのですが一番注力すべきは場を提供し続けること。

作った場の中での具体的な行動などはあえて参加者の主体性やクリエイティビティに委ね、細かい管理はしない。

全5回の講義の場を作り、それぞれテーマやゲストを設定する。

参加者同士で議論やコミュニケーションをする時間をつくる。

FacebookグループやSlackといったオンラインコミュニケーションの媒体を用意する。

こういった場を用意することがコミュニティ運営者としての役割。「ここで自由に遊んでね」という遊び場を提供するイメージでしょうか。

「自由な場を提供する」は「自由な場所の範囲を制限する」とも言い換えられます。ある程度の制限をつくることでより心理的に安全な環境が生まれます。

4.ゲストにこだわる

毎回の講義に参加してもらうゲストは自分たちの意図や想いをしっかりと入れて「この人に任せたら参加者にとって絶対に良い」と思えるゲストをアサインします。TABIPPOの場合は幸いに色んなコネクションがあるので、知り合いベースでお願いできることも多いですが、ときにはTwitterなどでDMを送って新たなゲスト開拓なども泥臭くやります。

ゲストからのインプットはいわば「起爆剤」のようなもので、運営と参加者だけでは与えられない刺激的な体験や情報を提供してもらえます。それによって参加者のモチベーションやエネルギーが生まれます。

5.参加者に役割を与える

今回の世界一周ゼミでは飲み会担当、イベント開始&終了の掛け声担当を指名させて頂きました。それ以外にも自然発生的に各プロジェクト内でリーダーや担当者が生まれたり、暗黙の了解として「この領域ならこの人がリードしている」という状態がたくさん生まれました。

こうやって参加者がコミュニティ内で役割を持つことで帰属意識や承認欲求が生まれたり、活躍の範囲をコミュニティとして保証することで安心安全に言動が生まれやすくなります。

6.暗黙のルールを浸透させる

今回の世界一周ゼミでは、毎回の講義が終わったら感想をコメントする、次の講義までにnoteを書くといったルーティン課題を出していました。毎回同じ課題を出すので、それが暗黙の了解として少しずつコミュニティのベーシックルールっぽくなっていき、少しずつそれに乗っかって実際に行動してくれる人が増えました。

講義の開始30分前からzoomをオープンし続けたり、講義終了後にラフに雑談をするフリータイムをつくったりなど、特にルールとして決まっているわけではないものを暗黙の了解として浸透させていくことによって心地よいリズムが生まれたと感じています。

じゃあルール化すれば?となると「全員にしっかり周知させる」という必要性が生まれ、発信側も受け取り側もストレスになります。「何も決まってないけどなんとなくこんな感じなんだろう」という空気を読んで行動できるほどよい余白もコミュニティには大切。

7.運営としての目標や意図を発信する

今回のゼミでは講義や参加者チャット、自分のnoteなどを通して、もともと運営として考えていた目標や企画の意図をどんどん発信しました。今回のnoteもそれに近く「こういう意図でやってますよ」というネタバレをあえてやっています。

「実はこんなことを考えている」という発信をすると、これまで表面的な依頼やお願いのように見えていたコミュニケーションが「なんだそういう意図があったのか」と理解してもらえるようになります。

また運営の意図がわかることにより「この行動だったら変に場を壊したり運営の意図に反する行動ではないな」というNGチェック機能にもなり、変に気を使ったりまわりの目を気にしたコミュニケーションを取らなくとも主体的に動けるようになります。

まとめ:自由は自由ではない

コミュニティマネジメントにおいても、組織やチームのマネジメントにおいてもよくあるダメなパターンが「自由に何でもやっていいよ」という状態。

これは言わば無法地帯であり、全く見ず知らずの面前でステージに上げられ「さあ好きなことをなんでもやってみなさい」と言われているもの。それは誰だって怯えてしまうし何をすればいいのか混乱します。

そこに司会者がいたり、会の目的が共有されていたり、BGMや照明がコントロールされているからこそ、その場に合わせたクリエイティビティを発揮できます。

コミュニティにおいて本当に自由で自発的な行動を促進したいのであれば、ある程度の制限や自由に動ける範囲を指定してあげたほうがいいです。

「ほどよく範囲や行動が決められてるが、その中のことであれば難癖つけれられることなく自由に言動が認められており、さらに称賛や承認が多い。」

こんな状態が本当の意味で心理的に安全なコミュニティと言えるのではないでしょうか。

最後に

今回のオンライン世界一周ゼミは最初から最後まで試行錯誤の中で進んできました。運営として、プロとして、そういう発言をすることに抵抗もありましたが、一緒に作っていきたいという想いがあったのであえて未完成感を意識して伝えてきました。

そんなまだまだ未熟な運営チームと一緒に素晴らしいコミュニティを作り上げてくれた13期生のみなさんには、感謝しかありません。僕個人としてはこの春から社内でのポジションも変わり新しいチャレンジだったので、大きな成功体験としてすごく自信になりました。

オンラインでしか会えなかったのは寂しいですが、また世界のどこかで会えることを楽しみにしています。SNSなどでも気軽に絡んでいただけると嬉しいです!色んな事情であまり積極的に参加できなかった人も、今回の縁を大切にしてこれからもいい関係を作っていってもらえるといいなと思います。

50日間ハードでしたが、みなさんお疲れさまでした!

2020/07/14
浦川 拓也/TABIPPO

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