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50〜100名規模の会社が人事データベースサービス(HRBrain)を導入した理由と実際に得られた効果

こんにちは!株式会社COMPASS 取締役の常盤です。COMPASSは「新しい学びの環境を創り出す」をミッションに掲げ、小中学生に対してAI型教材Qubena (キュビナ)を提供している会社です。

COMPASSでは長らく人材マネジメントの諸々をスプレッドシートを使って頑張っていたのですが、メンバーの数が50名を超えたあたりから徐々に苦しくなってきて、100名が近づくにつれていよいよパンク寸前になっていました。そこで2022年4月より人事データベースを導入することにしました。このnoteでは人事データベースの選定から実際に導入して得られた効果をご紹介したいと思います。同様に人事データベースの導入の検討をしている方の何かの参考になれば幸いです。

人事データベースの選定方法

人事データベースを選定するにあたり、当然"良いサービス"を選びたいわけですが、"良い"の定義は会社によって異なります。したがって、まず最初に人事データベースの利用目的を明らかにした上で、その目的を満たすことのできるサービスはどれか?という視点で選定を進めていくのが良いと考えました。


利用目的の確認

実際の検討資料

従業員体験(EX)を踏まえて、弊社の現状に照らし合わせると、入社・業務・評価、その中でも特に評価に改善の余地があることが見えてきました。評価についてはスプレッドシートでの運用ということもあり、ファイルが複数に渡っていて、誰がどういう状況なのか瞬時に把握することができておらず、以下のような声が社内から聞こえる状態でした。

・各メンバーのグレード一覧のマスターファイルってありましたっけ?
・まだレビューコメントつけてない人の一覧を出せる?
・人事データが見えないので、データをもとに思考することができていない
・責任者なのに部下の給与のレンジがわからない

そこでこれらの点を解決することを目的に人事データベースのサービスを選定することを決めました。


候補のサービスをリストアップ

人事データベースのサービス、またはそれに類するものは、数多くの種類が存在するため、まずは他社の人事やHRサービスの提供者などの知り合いにヒアリングをするところから開始しました。その結果、カオナビ・HRBrain・SmartHR・Talent Paletteの4社が挙がりました(資料上はPanalytも記載していますが、同社は人事データベースのデータを基礎にした分析の仕組み構築を持ち味とするサービスで、当時の状況ではデータベース構築が先決と判断し検討対象から外しました)。そこから簡単にリサーチをしていくと、Talent Paletteはもっと社員数の多い企業向けであることがわかったので、カオナビ・HRBrain・SmartHRの3社に絞って比較検討をしていくことにしました。


カオナビ・HRBrain・SmartHR の比較検討

まずは比較の視点の整理です。どの項目の優先度を高くおくかは企業によって異なると思います。COMPASSの場合は特に人事評価を改善したいと考えており、既にスプレッドシートを用いて運用していたこともあったので、その評価シートがツールの中で表現できて、ワークフローを回すことができるか、そしてその結果を様々な軸で分析することができるか、という機能性を最優先に考えました。

社内事情として、組織体制や人事制度の変更頻度が高い会社であるため、その変更にどのぐらい柔軟に対応することができるか、UIが直感的に使いやすいかというのも大事な項目でした。

一方で、今後弊社の社員数が500人規模、1000人規模になることはすぐには考えづらく、拡張性の優先度は落としました。他ツールとの連携についてもあれば良い機能ではありますが、機能性や柔軟性に比べると優先度は下がるため、こちらも「低」と設定しました。

こうした視点でカオナビ・HRBrain・SmartHRの3社を見ていき、以下のように評価をしました。

最初に候補から外れたのはSmartHRでした。SmartHRは2021年10月にオプション機能として「人事評価」がリリースされたところで、我々が導入検討をしていた2022年1月〜2月頃はまだ必要最低限の機能に絞られて実装されている状況でした。SmartHRを導入することで、人材マネジメントが一元管理できるようになっていく構想に魅力は感じたものの、機能性を最優先に検討をしていた為、今回は導入を見送ることにしました。※おそらく本日時点ではもっと機能開発は進んでいるだろうと推測します。あくまで当時のお話です。

というわけで、最後はカオナビ・HRBrainの2択です。この2つはトライアルアカウントを発行して頂き、実際に我々の評価シートを再現してみての比較検討を行いました。その結果、両社それぞれの特色が見えてきました。

カオナビで印象的だったのは柔軟性の高さです。会社によって異なる様々な評価シートにも対応できるように、カオナビ上でカスタマイズできる範囲が非常に広かったです。Slackや人事労務freeeとの連携も可能と、弊社で採用しているサービスが網羅されているところも良かったです。一方で、カスタマイズ可能な範囲が広いからこそ、その機能を使いこなすUIがなかなか難しいように感じるところもありました。

HRBrainは我々が運用している評価シートを実現できるだけの機能は兼ね備えていましたが、カスタマイズの幅はカオナビと比べると狭かったです。その分、カスタマイズを制限することで使いやすさを担保しているのか、直感的に操作ができるのはHRBrainだと思いました。他社サービスとの連携は、Slackは非対応、人事労務freeeは当時はこれから実装を行うという状況でした。一方で、担当者の方が我々のような中小規模の企業のニーズにも応えていきたいと仰られていて、将来的にサービスの拡張性を感じることができました。

こうした状況を比較した上で、最終的にHRBrainを選びました。その理由としては、使いやすさの差が一番でした。人事労務部の人員が限られているなかで、全社員が使うであろうサービスだからこそ、なるべく社員からの問い合わせが抑えられるような直感的なUIであることに惹かれました。柔軟性や他サービスとの連携はカオナビに軍配が上がったのですが、やはりUIの魅力が大きかったです。


HRBrainを導入したことで得られた効果

さて、ここからはHRBrainを導入して実際に半年近く使用して感じている効果について紹介をしていきます。

人事評価制度の運用の効率化

HRBrainの人事評価サービスで表現したCOMPASSの評価シート

導入の一番の目的であった人事評価の運用は、特に評価を担当する責任者や管理をする人事の負荷を大きく軽減することができました。例えば、スプレッドシートで運用をしている頃は、評価シートのデータがHRBrainによって一元管理されていることによって、評価者はフィードバックが終わっている人・終わっていない人が一目瞭然になりましたし、人事からも期日が近づいてのリマインドなどの支援が簡単にできるようになりました。

また、評価項目に変更を加える場合は全社員分のファイルを編集する必要がありましたが、HRBrainでは大元の評価シートを編集するだけでよくなりました。こうして運用面での制度の可変性が高まったので、さらなるEXやエンゲージメントの改善に向けての施策がやりやすくなりました。人事評価制度という厳格な制度であっても、ユーザー(=社員ならび経営者)の声に耳を傾け、小さくスピーディーに改善を繰り返していきたいと考えています。


人的資本の定量評価と議論の活発化

Googleデータポータルでダッシュボード化

HRBrainに全ての人事情報を集約することによって、人的資本の定量評価ができるようになりました。HRBrainにもダッシュボード機能は付いているのですが、データをCSVで吐き出すことが可能なので、より自分達好みの分析ができるようにGoogleデータポータルを使ってダッシュボードを作成しています。

これによって、例えば以下のような論点を健在化することができました(※詳細な数字は非公開)。前々から感覚的には感じていたことではありますが、データを示すことができるようになったことで、経営会議などでもアジェンダとして扱いやすくなりました。

  • 会社の平均年齢が高まっており、20代の人材も少ない。このままだと組織の思考が硬化していってしまうのではないか。

  • 全体として女性社員の比率が高まるなかで、女性の責任者が少なく、ロールモデルや相談先が不足している。

  • 責任者レイヤーの兼任が複数箇所で発生しており、今後さらにマネジメント人材が不足するかもしれない。


志向性や強み・課題を基にした人材開発

筆者のHRBrainの社員名簿のページ

HRBrainの社員名簿は、生年月日やメールアドレスなどの基本的な項目に加えて、自分達で自由に項目を設定することができます。そこで、COMPASSでは、人材開発セクションと称して、短期・中長期のキャリアの希望やスキルの強みと課題などを記録する欄を作っています。

この情報があることによって、本人と上長の間での能力開発の方向性の認識合わせが円滑になりました。あわせて、社内転職や業務アサインなどの機会を上手く噛み合わせられるようになりました。例えば、プロダクト開発に関わるメンバーが「現場の理解やカスタマーサクセスの方々からのインプットなどを通じた情報収集をしていきたい」という希望を人事が認識することによって、フィールドセールスやカスタマーサクセスの人がプロダクト開発との接点を求めているときに、上手く両者を引き合わせることが出来るようになりました。


定常業務のオペレーションの効率化

弊社のSlackBot「ツルノップス」です

これは導入時には考慮していなかったのですが、HRBrainには開発者向けの公開APIが存在します。このAPIを経由して、社員のデータベースにアクセスすることが出来るため、人事労務領域の様々なオペレーションを効率化することができるようになりました。

例えば、上記のスクリーンショットはCOMPASSで働く有期の契約をしているメンバーの契約更新をリマインドしているSlackのメッセージです。これまでは契約社員、業務委託(エージェント経由 / 直接契約)、派遣社員のメンバーの契約更新は、契約種別や部署ごとにバラバラに管理をされていたため、契約満了の直前になって更新が必要なことが発覚してドタバタしてしまうことも珍しくありませんでした。そこを全ての情報HRBrainへ入力するようにし、APIを経由して毎月モニタリング、満了が近い人をリマインドするよう仕組み化しました。ここを起点に人事から各部へ契約更新の確認を働きかけることによって、十分な余裕をもって、契約内容を検討し、更新の手続きができるようになりました。

HRBrainのAPIは、正直なかなか癖のある仕様なのですが、公開して頂けてとても重宝しています。上記はあくまで一例で、情報の一元管理と自動化による効率化を積極的に行っています。


まとめ

以上、50〜100名規模の会社が人事データベースサービス(HRBrain)を導入した理由と実際に得られた効果、でした。この手のサービスは導入してからどのぐらい浸透させられるかが勝負で、そこにそれなりにパワーもかかるのですが、規模が大きくなってから浸透させる労力を考えるとこのタイミングで導入して大正解だったと感じています。人的資本の定量評価はHRの一つのトレンドでもありますし、今後さらに力を入れていき、継続的に改善を続けていくつもりです。また知見が溜まれば改めてnoteで紹介させてください。

最後にお決まりのものを。COMPASSでは引き続き採用活動を積極的に行っています。もしご興味があればご連絡を頂けると嬉しいです!!

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