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赤ちゃんが泣くのもコミュニケーションの一つ

 急患の病院たらいまわしが問題になっていますが、要保護児童も施設と児児童相談所の一時保護とでたらいまわしになっており、学校でさえも受け入れたくないという裏の現実も知ってしまい、すごくショックを受けているコミュ力なしカウンセラーのタカタです。気分が悪くなります。

 今回は、精神科医滝川一廣先生の「子どものための精神医学」を勉強しながら、少しだけ共有しようと思います。かなり分厚い本ですが、内容は濃いです。一読の価値ありです。

 テーマは、「赤ちゃんの社会性」です。

1.ほほえみと泣くは赤ちゃんのコミュニケーション

 人間の精神発達は、ほっとけば成長するわけではなく、また植物のように単調に進むものでもありません。あくまで、養育者との交流によって進むものです。

 では赤ちゃんは交流しているのでしょうか?泣いているのは、私たちを困惑させるためのモノなのでしょうか?

 世の中に出てきた赤ちゃんは、初めての刺激にさらされ、不安でいっぱい、不快な思いをたくさんしています。そして自らその不快を取り除くことが出来ません。よって、赤ちゃんは”泣く”というコミュニケーション手段で、不快であることを知らせます。赤ちゃんができるコミュニケーションの一つです。養育者に助けを求めるのです。ここで不快感を取り除くことによって、満足するのです。

 また最初は不快ということはわかっていても、どんなことで不快なのかはわかりません。養育者が、赤ちゃんが泣きやむまで不快感を取り除こうと試行錯誤します。「空腹」「寒さ」「痛さ」…最初は分からなかった感覚が、養育者との不快感を通してのコミュニケーションによってわかってくるのです。

 また生後間もない赤ちゃんのほほえみ。これも赤ちゃんは最初の方は無意識に笑っています。ほほえみにより、養育者との温かいコミュニケーションが得られることを生理的にわかっているんでしょう。

 このように赤ちゃんも”ほほえみ”や”泣く”ということで、コミュニケーションをとろうとしているのです。

2.”マザリング”から”なつく”

 ”ほほえみ”や”なく”に養育者が応えます。このことをマザリングと呼ばれます。

どういうことか。

 「なんで泣いてるの?」「なんで笑っているの?」と感じ、それにこたえることを”マザリング”というのです。

このマザリングから何がもたらされるのでしょうか。

①能動的な力の感覚
 泣くことで不快感が取り除かれる、この経験の積み重ねにより、行動すれば世界が動くということを学習するようになります。
②護られている感覚
 不快感が取り除かれる、抱っこされる、などまわりへの安心感が芽生えます。
③身体感覚の分化
 現在の感覚が「痛い」のか「寒い」のかが分かってきます。

  滝川先生は、アタッチメントは学術用語であれば「愛着」ですが、「なつき」に近い語だと主張しています。つまり、子どもからの「なつき」「くっつき」ということでしょう。

 しかし、難しいこととして。動物と違い、人間のアタッチメントは、子どもからの一方的な接近では成り立たず、親の側も接近して初めて成立することがあげられます。子どもが近づきたいと思っていても、親が無関心であれば、アタッチメントは成立しないのです。

 例えば、赤ちゃんでは、泣くことで不快感を取り除くこと、微笑むことで抱っこすること、この交流が大事だというのです。

 つまり、”マザリング”こそがアタッチメントの形成にとって、最初であって一番重要な行動ということです。

 (マザリングというネーミングは、母親が行うこと、という風にとらえがちだが、決してそんなことではなく、父親、母親が協働することが重要だと思います・・・)

 

 育児は大変です。しかし、「なんで泣いてるの?」「なんで泣き止まないの?」と悩み、試行錯誤して赤ちゃんと接することだけでその子のためになっていて、親子の絆が強まる秘訣だということです。

 これが一番言いたいことでした。

分からないこと、しんどい時は周りに頼りながら、赤ちゃんからのコミュニケーションに応えていきたいですね。

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