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アメフト部での主将経験を振り返って

こんにちは。山藤(@santotakuto)です。
今回は上智大学アメフト部(以下、上智)で、私が2015年に主将を務めた経験の反省について書こうと思います。

現在の上智の状況は分かりませんが、今から述べることに現役が通じる部分があれば、今後のチーム運営に活かしてくれると非常に嬉しいです。

では本題に入る前に、当時(2012~2015年)の上智の状況と、私が主将を務めた2015年シーズンの結果について、簡単に触れておきたいと思います。

当時の状況

2012年に私がアメフト部へ入部したのと同時に、上智は関東1部リーグに昇格し、早稲田や日大などの強豪校と凌ぎを削っていました。
毎年の部員数も総勢100人を誇り、数だけで見ると大学アメフト界において指折りの規模を誇っていました。

しかし、私が3年生だった2015年に関東2部リーグへ降格。「即時に1部復帰」という周りの期待と、降格時の悔しさを胸に、私は主将としてラストイヤーを迎えました。

「昇格」を目標に全力で取り組んだラストシーズンでしたが、チームの最終結果としては、リーグ戦 全7試合中3勝4敗で関東2部リーグに残留。 
当初の目標は達成できませんでした。

本題

当時の自分を振り返ってみると、反省点はいくらでも挙げられます。

その中で強いて一つ反省点を挙げると、自分の価値観を押し付けすぎた。
言い方を変えると、メンバーのヤル気を最大化できず、組織を一つにできなかったことが一番の反省だと思っています。

以上のように考えた理由を述べる前に、まず当時の上智の組織的な3つの特徴を説明していきます。

<当時の上智の組織的な特徴>
 特徴1:様々な入部理由
 特徴2:絶対的権力の欠如
 特徴3:ラフな上下関係

特徴1:様々な入部理由

要は、アメフトをする動機や目的が人それぞれだったんです。
もちろん、それが悪いということではありません。

だから、当然怠ける人もいる。今はその理由に寄り添う観点がありますが、当時の私は(入れ替え戦で悔しい思いをしたのに)怠ける人間の心理が理解できなかったし、理解しようともしませんでした。そういう意味で自分の価値観を押し付けていました。

これは我々の新入部員の勧誘方法に大きく起因したと考えます。上智にはスポーツ推薦がなく、当時の私達はなるべく多くの新入生をとりあえず入部させ、数撃ちゃ当たる戦法で人材を確保していたからです。つまり言葉を巧みに使い、あえて入部の敷居を低くしていました。

結果として上述したような強豪校並の部員数を誇っていましたが、当時の我々は、アメフトや目標に対する動機や目的が一つになっていなかったと思います。

特徴2:絶対的権力の欠如

これは、性善説でチーム運営していたという話です。
まあ、それが理想ですが現実そうもいきませんでした。

特に我々は"特徴1"に加えて、チーム運営は学生主体でした。
もちろん、コーチ陣もいらっしゃいましたが、仕事と兼業して下さっていたので、基本的には4年生を中心にチーム運営していました。

なので、絶対的な顧問がいる組織と異なり、ある意味で主体的、言い換えればメンバーがそれぞれ独自に思考・判断し、アメフトに取り組んでいました。今思えば、毎日キツい練習を行っていたので、怠け始める人間が出てくるのも自然な流れだったのかもしれません。

「体育会なんて、先輩が絶対なのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、我々がそうではなかった理由を特徴3としてあげました。

特徴3:ラフな上下関係

つまり、学年間の風通しが良かった反面、仲良しチームだったということです。またアメフトという競技の特性上、専門外の他ポジションには厳しく指摘できないという制度的な原因もありました。

その一方で、明確な目標や客観的な判断基準がなかったために、指摘や意見する場合に学年の垣根を超えて、感情的になってしまうことが多々ありました。

ヤル気を最大化し、組織を一つにすべきだった理由

当時、私は上智の特徴には目を向けず、ただ強豪校の表面的な部分だけ真似て、勝つために必要だと思ったチームの理想像や自分の価値観を、メンバーに押し付けてました。

その結果、組織の気持ちが一つになりづらく、年間を通して、なかなか勝てずにチーム年間目標の「昇格」を達成できなかったのは上述の通りです。

しかし、今回私が言いたいのは、だから上智の特徴を変えるべきという話ではなく、むしろ活用するべきだったということです。

つまり当時の上智が勝つためには、メンバーのアメフトに対する動機や目的を一つの方向に導き、正しく相互評価やボトムアップをできる環境を作ることで、メンバーのやる気を最大化させて組織を一つにし、昇格を目指すべきだったと思います。

では、具体的にどうすればよかったのか?を以下に書きました。

<余談:上智としての弱さについて>
上智の伝統的な弱さとして、毎年チーム力に波があることを挙げる。
要は、戦力的に”当たり”世代で、運が良くないと勝てない。
原因はスポ薦が無いことや、次の代にノウハウが引き継がれないことで、毎年同じ失敗・反省を繰り返していることにある。
だからこそ、上智の伝統的なチームシステムを構築し、毎年活用することで、各代の失敗やノウハウを蓄積していくべきと考える。

具体的にどうするべきだったか

メンバー全員のヤル気を最大化するにはどうしたら良かったのか?
私なりに以下の3つの施策を考えました。

<メンバー全員のやる気を最大化する3つの施策>
 STEP①:チーム目標をOD・ポジション・個人へ落とし込む
    STEP②:①で出た目標を、
数(時間・数値)に落とし込む
 STEP③:
①②を部員同士で相互評価する

STEP①:チーム目標をOD・ポジション・個人へ落とし込む

要は、チームの年間目標を定めるだけでなくだけでなく、その目標を
ODとして、ポジションとして、個人としてシーズンが終わった時に、どういう姿でありたいのか?どうなりたいのか?まで落とし込むということです。

ここで重要なのは、全員がそれぞれの目標を、納得するまで主体的に考えること。抽象的で構わないので、それぞれの目的・やる気に即した、夢や理想像を年間目標とするということです。

例)チーム年間目標が「昇格」で、Oリーダーの QBに落とし込む場合
 O⇨  (昇格するために)リーグ最強のオフェンスになる
 QB⇨  (昇格するために) ポジションとしてPass成功率リーグ1位になる
 個人⇨(昇格するために) 個人としてPassingでリーグ1位になる

このように、チーム目標を個人レベルまで落とし込むことで、各メンバーが主体的に目標に対し取り組めると考えます。

STEP②:
①で出た目標を、数(時間・数値)に落とし込む

では抽象的な、"STEP①"をどう判断・実行していくのか?
そのためには目標達成までの年間スケジュールを定め、いつまでにどこを目指すか?のフローチャートを具体的に定めます。

ここで重要なのが、数(時間・数値)まで具体的に落とし込むことです。

例)施策①の例で5月の目標決める場合
 O⇨ (リーグ最強のオフェンスになるために)
      5月中にベースプレイのみで練習試合で2回勝つ
 QB⇨  (ポジションとしてPass成功率リーグ1位になるために)
      5月中のPass成功率、練習中90%・練習試合70%
 個人⇨(個人としてPassingでリーグ1位になるために)
      5月前半の個人Pass成功率、練習中100%・練習試合90%

これを日々の練習まで落とし込みます。闇雲に高い数値目標を設定したり、数をこなすだけでは意味がありません。また、設定した数値目標が年間目標に基づいていることが重要です。とにかく結果にフォーカスして、目標をコミットすることが非常に大事です。

STEP③:①②を部員同士で相互評価する

つまり、コミュニケーションを頻繁にとり、チームとして、個人として各々がどこを目指しているのか?それに則して行動できているのか?を、学年関係なく常に相互評価します。

例えば毎週の幹部MTGでも、年間目標から逆算して自分たちがチームとして現在どこにいるのか?状況がいいのか?悪いのか?ということを、STEP①②に基づいて客観的に判断します。また、日々の練習レビューでも個人まで目標を落とし込んでいるので、それを基準に指摘・改善します。

ちなみに我々はこれが無かったがために、幹部MTGや試合のレビューでも精神論に陥ることが多く、議論が効果的にできませんでした。

<余談:根拠付けの大切さについて>
練習メニューを考える時や、練習中の指示や試合レビューの内容は、ただ目にしたことを伝えるのではなく、そもそもの目的や理由も一緒に考えて伝えた方が良い。そうすれば無駄な練習をせずに済むし、人は納得するから。
その為にも、練習や試合毎などのテーマ数値や目標を定めておけば、それが行動・評価基準となり効果的にレビューできる。

最後に

今回は、チームメンバーのやる気を最大化できず、組織を一つにできなかったことを、私の主将としての反省として書きましたが、結果で強引に組織を率いることも、リーダーとして人を動かす上で大事な要素だと思います。

つらつらと偉そうなことを書きましたが、今もリーダーとは何か明言できません。人によってリーダシップの取り方は違うし、組織の規模や状況によっても求められる資質は異なるからです。ただ、全部に共通しているのは
組織の目指すべきビジョンを掲げて結果を出し、仲間を尊敬し信頼することだと思います。

ちなみに今回提唱した施策を調べてみたところ、OKRKPIという形でGoogleやFacebookはじめ、シリコンバレーでは当たり前のように用いられているマネジメント方法みたいです。さすが・・・

では最後に、いつもの参考文献です。
というより、当時の自分に読ませたい「推薦図書」でしょうか。。。

<参考文献>

人を動かす-D・カーネギー著, 山口博訳,創元社,2016年
 ⇨人を動かす基本は、人を尊敬すること
  主将としての反省がある分、主体的に読むことができた

1分で話せ-伊藤羊一著,SBクリエイティブ(株),2018年 
 ⇨コミュニケーションとは、相手に何を伝えてDoさせるか
  今もだが、当時は特に人に何かを伝えるのが下手だったな。。。

イシューから始めよ-安宅和人著,英治出版(株),2010年
 ⇨仕事とは、いかに最大公約数で取り組めるかが重要
  当時のアメフト部は"犬の道"を突っ走ってたな。。。

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