AI専用チップってなんだ?~次世代の計算用チップについてまとめてみた~【初心者向け】
はじめに
近年ではAIがめちゃくちゃ流行ってますね。それに伴ってここ4年くらいでAI専用チップの開発が流行っています。
そう言われても
「AI専用チップっていったいなんなんだ…?なんかGPUとかいうのが計算に使われるんじゃなかったのか??」
となったのでこの記事ではAI専用チップの概要、用途、開発状況についてまとめてみます。
ざっくりどんな感じ?
・AI専用チップはGPUよりもAIの計算に特化した計算チップ。
・現在はNVIDIAのチップが最強。しかしGAFAに加えてベンチャー企業も自社開発をすすめている。覇権を握るのはどこかは現在不明。
・iPhoneのチップにもAIチップが搭載。顔認証などに用いられている。
AI専用チップってなんやねん
AI専用チップ。まあ言葉の通り、AIに使われるための計算用のチップなんだろうな、というのは想像が付きます。
疑問となるのは、これまで計算に使われていた
「CPUやGPUと何が違うのか?」
ですよね。
これらとの大きな違いは、
「計算精度を落とすことにより、消費電力・コストが削減した計算チップ
であることです。
計算精度を落とす??大丈夫なの??ってなるかもしれませんが、AI用であれば実は問題ありません。AIの技術であるディープラーニングでは実はかんたんな足し算や掛け算が大量に行われているだけであり、計算精度が大きく求められていないんです。
AI専用チップってどこで使われるんや?
そんなAI専用チップはどこに用いられるんでしょうか??
一番身近なのはスマホです。iPhoneの計算チップにもAI専用チップが搭載されています。顔認証なんかがスマホであるので、その計算を行うためのものです。
他に大きな市場が車ですね。自動運転のためにはAI専用チップがかかせません。どこか遠くのサーバで計算させれうよりも、車に積んだAI専用チップで運転経路をばしーんと計算できた方が高速ですよね。こういう身近で使われる用途をエッジ用途のAIチップとよびます。
このエッジAIチップで最も重視されるのが消費電力の少なさです。車やスマホに搭載するので小さい方がいいのはいうまでもありませんよね。しかし小さくしすぎると計算で発生した熱がたまってしまいます。スマホや車では、冷却するための装置をあまり大きくしたくないですよね。
なので、スマホや車では消費電力が少なく発熱の少ないAIチップというのが必要になってきます。計算能力はほどほどでいいから、発熱の少ないチップがいいってことですね。
一方で、データセンターなどに使われるサーバ用AIチップというものがあります。こちらは主にディープラーニングの学習に用いられます。学習には膨大な計算量が必要となってきます。そのため、サーバ用AIチップでは計算の速さが重要視されます。データセンターなどでは冷却機構もつけ放題ですからね。
ふつうのチップを開発すればええやん?
とまあAI専用チップがAIの計算に特化したものだということを記してきました。
わざわざAI専用チップを開発している経緯として、AI開発が流行っていることの他にもう一つ理由があります。
それは通常のチップ開発が微細化の限界にきているからです。
どゆこと?って感じですね。簡単にいうと、半導体は小さく作れれば作れるほど、良い性能がだせるようになります。そのため、業界のたゆまぬ努力でこれまで18ヶ月に1/2の大きさになるように進化してきました。いわゆるムーアの法則ですね。やばい進化です。
しかし、最近ではこれ以上小さくするのが原理的に難しいのでは?というところまできてしまっています。原子の大きさ的にこれ以上小さくできないんですよね。どれだけ小さいんだって感じですが。
やべえじゃん、進化止まっちゃう。となった半導体業界が打ち出した方針が
「各用途に特化した半導体を開発しよう!」
というものです。汎用的なチップは限界に近いから、用途ごとに能力を特化した設計にすることで性能をあげようということですね。
AI専用チップというのもこの流れの一つです。これまでは「より小さくするためにはどうすればいいか?」を考えていたのですが「計算精度は落としてもいいから消費電力を少なくすることはできないか?」と考えて開発することで、これまでにない技術開発がされているんですね。
それでいまどんな感じなん?
いまAI専用チップ開発で最強となっているのはNVIDIAです。もともとディープラーニングが流行ったのもこのNVIDIAのGPUをディープラーニングに適用したのがはじめでした。
それ以来、今度はAI計算にも特化したGPUを開発したりしてずっとトップを走っているようです。
しかし、現在AI専用チップを開発している会社は非常に数多くあり、群雄割拠の時代です。GAFAのすべてが自社開発を行っており、ベンチャー企業もひしめいています。
この開発競争の激化を示す指標として
「シリコンバレーにおける半導体への投資額」
が挙げられます。反動他業界は2010年代前半は冬の時代で投資額が低迷していました。しかし、17年に5億ドルだった投資額が18年には27億ドルに跳ね上がっています。これは、AI専用チップを開発する各社に投資が集まったのが大きな要因です。
現在はNVIDIAが最強で他にも様々な会社がひしめいています。数年で淘汰がすすみ覇権を握る会社がどこになるかが浮き上がってくると考えられます。
終わりに
AI専用チップって聞くとなんかきな臭い感じがしますが、実は単なる計算チップです。ただ、その性能がAIの計算に特化しており、これまでと違った開発がなされているのがポイントです。
AIが実用化されるにつれ、生産数も増加すると考えられます。現在でも多くの会社が多額の投資をしており、今後の動向が気になりますね。
参考文献
エッジAI史 【AIチップ年表付き】 〜エッジAIは今ここまで進んでいる〜(500円だけど買っちゃった…)
https://note.com/m__sb04/n/n364dcd8c74b8
エコノミスト-GAFAも開発に参入 AIチップの8兆円市場
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200204/se1/00m/020/053000c
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?