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遠い過去の記憶を、ごぼうが語りかける - 炊き込みご飯パン

40歳が近づく。30代がこうも風のように駆け抜けていくとは思いもよらなかったが、きっと40代も同じように風のように駆け抜けていくのだろう。
そんなことを考えるにつれ、自分の中でやり残したことを一つ一つ整理していかなくてはならない、という急に駆られる。

人は生き急ぎ始めると、冷蔵庫の掃除を始めると言う。それはそうだ。冷凍庫なんて人々の忘れ去られた記憶の吹き溜まりなのだから。

そこで私はふと一つの見慣れない氷塊に気づく。

写真は割愛するが、水気が霜として抜けつつある、冷やご飯である。

我が家は炊飯器の保温機能を使わない。炊き上げたあとは電子秤でキッカリ200gづつ分けて冷蔵庫に保管する。冷凍はしない。したがって、これは私の管理を外れた裏ライスなのである。許されるわけはない。

とはいえ、米に罪はない。なのでこの米には再び日の目を見ていただこうと解凍したわけだが、その時に、これが炊き込みご飯だったことに気づく。

なるほど、面白い。

その日、焼きあがったのが、これ。

見かけは普通のごはんフランスパン。

何を見ても、パンにしてしまおうとする。ほんと、小麦に狂わされてますね、私。フラワーボーイ。フラワーボーイと呼んでいただいて結構。

すごく柔らかく焼きあがってしまうので、切るのが大変なのだが、切り口からゴボウのいい香りがふわっと上がってくる。今までフランスパンというカテゴリにおいて体験したことのない感覚。

ぱっと見はわかりにくいが、微妙に炊き込みご飯の具材が混じってる。

味の方は、ほんのほのかに炊き込みご飯ぽさを感じるものの、ゲテモノ感もなく普通にうまい。嫁さんから評判もよかった。

カレーを乗せて、焼いて食う。何カ国の文化を跨いだ1枚なのだろう。

しかしこの炊き込みご飯、いつから冷蔵庫に入ってたんだろう?多分まる一年以上入ってたんじゃないかなと思う。そんな冷蔵庫の中の聖遺物の活用方法として、パンにするというライフスタイル、良いなと思った。

これからも冷凍庫で新しい発見をしていきたい。

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