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きょうの金匱要略 12/22 嘔吐噦下利病脈證治 第十七(4)

嘔而脈弱 小便復利 身有微熱 見厥者難治 四逆湯主之
(嘔して脈弱、小便また利し、身に微熱ありて、厥をあらわす者は治し難し。四逆湯之を主る)

四逆湯方
附子七箇 生用
乾姜一兩半
甘草二兩 炙
右三味 以水三升 煮取一升二合 去滓 分溫再服
強人可大附子一枚 乾姜三兩

※冷えて小便が多く出る陰証には四逆湯や人参湯を使うことが多いそうです。

嘔而發熱者 小柴胡湯主之
(嘔して發熱する者は小柴胡湯之を主る)
小柴胡湯方
柴胡半斤
黃芩三兩
人參三兩
甘草二兩
半夏半斤
生姜三兩
大棗十二枚
右七味 以水一斗二升 煮取六升 去滓 再煎取三升 溫服一升 日三

※湯本求真先生は、熱が出た子供で嘔吐がある場合は小柴胡湯をよく用いたそうです。
嘔吐を太陽病を過ぎて少陽病に入ったサインとしていたとのこと。大塚先生は、それだけで見極めるのは難しい、と註釈されていました。

胃反嘔吐者 大半夏湯主之
(胃反、嘔吐の者は大半夏湯之を主る)
大半夏湯方
半夏二升 洗完用
人參三兩 白蜜一升
右三味 以水一斗二升 和蜜揚之二百四十遍 煮取二升半 溫服一升 餘分再服

※大半夏湯は、何か慢性病があって、嘔気がとまらないときに用いるそうです

食已即吐者 大黃甘草湯方主之
(食し已って即ち吐する者は大黃甘草湯方之を主る)
大黃四兩
甘草一兩
右二味 以水三升 煮取一升 分溫再服

胃反 吐而渴 欲飲水者 茯苓澤瀉湯主之
(胃反、吐して渴し、水を飲まんと欲する者は、茯苓澤瀉湯主之)
茯苓澤瀉湯方
茯苓半斤
澤瀉四兩
甘草二兩
桂枝二兩
白朮三兩
生姜四兩
右六味 以水一斗 煮取三升 內澤瀉 再煮取二升半 溫服八合 日三
※『外台秘要』では小麦(しょうばく)が二升入っているそうです。五苓散に似ていますが、五苓散は飲むとすぐ吐くのに対し、茯苓澤瀉湯は時間が経ってから吐くのが異なります。
※茯苓澤瀉湯の症例報告は少ないそうですが、小倉重成先生は胃痙攣などに用いた症例を多く発表されているとのことです

吐後渴飲得水而貪飲者 文蛤湯主之 兼主微風脈者頭痛
(吐して後、渴して水を得んと欲して飲を貪る者は、文蛤湯之を主る。兼ねて微風、脈緊、頭痛を主る)
文蛤湯
文蛤五兩
麻黃 甘草 生姜各三兩
石膏五兩
杏仁五十箇
大棗十二枚
右七味 以水六升 煮取二升 溫服一升 汗出即愈

※文蛤 ハマグリの殻

乾嘔吐逆 吐涎沫 半夏乾姜散主之
(乾嘔吐逆し、涎沫を吐するは、半夏乾姜散之を主る)
半夏 乾姜等分
右二味 杵為散 取方寸匕 漿水一升半 煎取七合 頓服之

病人胸中似喘不喘 似嘔不嘔 似噦不噦 徹心中潰潰然無奈 生姜半夏湯主之
(病人、胸中喘に似て喘ならず、嘔に似て嘔ならず、噦に似て噦ならず、心中に徹して潰潰然としていかんともする無き者は、生姜半夏湯之を主る)
生姜半夏湯方
半夏半斤
生姜汁一升
右二味 以水三升 煮半夏取二升 內生姜汁 煮取一升半 小冷 分四服 日三夜一服 止 停後服

乾嘔噦 若手足厥者 橘皮湯主之
(乾嘔、噦し、若し手足厥する者は橘皮湯之を主る)
橘皮湯方
橘皮四兩
生姜半斤
右二味 以水七升 煮取三升 溫服一升 下咽即愈

※奥田謙蔵先生は「胃部に停滞感があって、からえずきまたはしゃっくりが出る」症状に橘皮湯を用いていたそうです。


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