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皮膚運動の基礎

今回は皮膚運動学の基礎について書いていきたいと思います。
皮膚運動学の基礎を理解するとテーピングで関節の可動域を制限したり、広げたりすることが出来たり、筋の促通させたり、抑制させたりすることが出来ます。それではいってみたいと思います。

皮膚の構造

皮膚の構造

皮膚構造は大きく分けて表皮、真皮、皮下組織の3層からなっています。

表皮・・・皮膚の表面に一番近い部分のことで、この表皮には角質層を作る角化細胞、メラニンを作る色素細胞、免疫をつかさどるランゲルハンス細胞などがあり、これらは皮膚内部の保護をしています。
真皮・・・表皮の下層にある厚い層で血管、リンパ管、神経、皮脂線、汗腺などが分布しているのと、膠原繊維が豊富で弾力性があり皮膚の力学的強度を保つ組織になっています。

皮下組織・・・真皮の下の層で基本は皮下脂肪で構成されています。寒いときには断熱材として体の熱を外に逃がさないように維持したりと体温調整の一躍を担っていたり、エネルギーを貯蓄しています。また衝撃を和らげるクッションとしての機能も持っています。

浅筋膜と筋

次に浅筋膜です!浅筋膜は皮下組織と筋の間にある組織で、筋収縮のときに筋実質と皮下組織は浅筋膜を介して滑ります。これを滑走と言ったりします。
このシステムがあることによって、皮膚のみを指などで動かしても筋肉が同じ方向に動かないのはこの浅筋膜の存在のおかげでもあります。

関節運動と皮膚

関節運動が起こるとき皮膚は必ずある法則に従って動いていきます。少し堀下げてみましょう!手関節横から見た図を例に挙げて説明していきたいと思います!
こんな感じで関節付近の骨同士が近づく側の皮膚は皺が寄ります。

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もちろんこの状態から掌屈すれば腹側(掌側)面に必ず皺が出来ます。

次に皮膚の動きを見てみましょう!
手関節背屈時の前腕両側の皮膚の動きは↓の図のです。
背屈すると背側の皮膚が肘関節の方に動きます。

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次に掌屈時の皮膚の動きです。
掌屈すると屈側の皮膚が肘関節の方へ動きます。

画像4

まとめると皮膚は骨と骨と近づいて皺が出来ると関節から遠ざかるように動きます。また皺が引き延ばされると関節に近づくように動きます。この現象はどこの関節でも起こることがポイントです!

試しに関節付近の皮膚を手で皺の溝が深くするように誘導しながら関節運動をしてみてください。体感ですが筋収縮がしにくい感覚がすると思います。

先ほども書きましたが、筋が収縮する際浅筋膜のレベルで筋と皮下組織の間で滑走が起きています。この滑走運動は皮膚を他動的に動かしても生じさせることができ筋収縮をしなくてもこの滑走を生じさせることが出来ます。
つまり皮膚を適切な方向に誘導させると筋収縮をさせやすくなったり、逆方向に誘導すると筋収縮は起こしにくくなります。


筋の促通と抑制

筋の促通、抑制についてです。柔整師だと馴染みのない言葉ですがこれは関節運動の際、特定の筋収縮の発火を上げたり下げたりすることです。
ん?って感じですよね笑
言葉だとわかりにくいですが数値にするとわかりやすいです。
筋収縮の力を数値で説明します。

例 普段の肩関節外転時の三角筋の筋収縮を50%とする
  促通 50%→60%
  抑制 50%→40%

これを皮膚を誘導するだけで一時的ですが起こすことが出来ます。
まずは基本からです。筋は皮膚を停止から起始にかけて動かすと促通され、起始から停止にかけて動かすと抑制がかかります。

皮膚 筋 促通 抑制


皆さんは熱いところに行くと汗をかいたり、逆に寒いところに行く鳥肌が立ちと思いますが、これは皮膚が環境の状態を受信して脳からの反射で起こる反応です。受容器は環境にとても敏感で受け取った感覚にすぐ反応してくれます。これを利用してどれくらい皮膚と筋が反応するかを確認してみます。

1.まず三角筋のMMTを調べます。
2.次に三角筋中部を起始から停止に向かって軽く10回撫でてもう一度MMTを確認してみてください。MMTが落ちると思います!
3.次は同じく三角筋を停止から起始に向かって10回撫でてMMTを確認してみてください。今度はMMTが上がると思います!

※筋肉にあまり圧をかけずに素肌でやってみてください。強くやると効果が出ないことがあるので軽く撫でてくださいね!

やってみるとわかると思いますが、結構変わるのを感じると思います。
「そんな数%筋力変わったからってなんだっつんだよ!」
と思うかもしれませんが臨床ではこの数%が患者さんの症状を変えてくることが必ずあると思います。

ぎっくり腰の患者さんの起立筋はどうでしょう。
腱板炎の急性期で激痛の患者さんの三角筋はどうでしょうか。

おそらくその数%が症状を変えるきっかけになるはずですし、何気なく院内でやる軽擦法一つとっても理論立ててやると思います!

今回は皮膚についてつらつらと書いてきましたが皮膚運動についてはまだ法則性があります!骨の突出する場所についてや回旋させたときなどありますが、それは次回にしたいと思います。

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