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デンマークの大学院修士課程受験記(オーフス大学、オールボー大学)

覚えているうちに大学院受験記を残しておこうと思います。
私は 2023 年度に以下のデンマークの 2 大学を受験し、いずれも無条件入学許可をもらいました。

  • Aarhus University, MSc. in Electrical Engineering

  • Aalborg University, MSc. in Engineering, Energy Engineering


出願方針

出願当時はフルタイムの会社員をしていたので、その中で何校も受験するのは難しいだろうなと思っていました。
海外大学院の受験校は多くても3校程度に絞り、全部落ちたら日本の大学院を受験することとしていました。

大学選びについては、下記のポストで書いた理由で「エネルギー工学を学ぶ」環境としてデンマークの大学院に興味を持っており、特にオールボー大学を第一志望としていました。
その前提で、他にどの大学を受けるかを決めることにしました。

その過程で、同じデンマーク国内でエネルギー工学を学べて、かつオールボー大学よりも受験時期が早い、という要件を満たすオーフス大学が選択肢になりました。

その他、デンマーク工科大学の MSc. in Sustainable Energy Systems も直前まで受験を考えていたのですが、オーフス大学と出願締切が同日で、かつ出願書類が多く準備が大変だったこともあり、無念ながら出願を見送ることにしました。

(出願準備は入念に…!)

デンマークの受験システム

デンマーク国内には8大学ありますが、いずれも「STADS(study administrative system)」というWEBプラットフォームから出願できるようになっています。

いずれのデンマークの大学も、少なくともエネルギー工学の修士課程の出願は書類提出のみで終わりました。
筆記試験はなく書類のみで審査が行われます。裏を返せば、書類の準備が全てです。

学部時代のGPAは覆せないので、GPAに自信のない方は残りの書類でアピールしていきましょう。

私は GPA に自信を持てなかったので、
卒業要件よりも多めに単位取って勉強してたので平均下がっちゃいました許してくださいという旨を(表現和らげて)書きつつ、これまでの仕事や研究実績をResumeやモチベーションレターでアピールしました。

オーフス大学 / Aarhus University

ここからは大学院と受験概要を紹介していきます。

オーフス大学はデンマーク第2の都市、オーフス (Aarhus) にある研究大学です。学生数は38,000人と非常に大きく、留学生もとても多いです。日本語学科もあり、日本の協定校からの交換留学も多いそう。

同大学院の MSc. in Electrical Engineering は電力システムの他にも半導体、通信、ロボティクスなどの選択科目が用意されていて、より幅広に電気電子工学を学ぶことができます。

日本の大学にある「電気電子工学科」とほぼ同じ構成と考えて良さそうです。

出願は非常にシンプルで、1. 学部生の成績 2. 語学証明(IELTS 6.5〜) 3. 学部の履修カリキュラムと英訳シラバス、履修証明 を出して、後は待つだけ。

1月15日に出願し、手応えは全くなかったですが、3月15日ごろに無条件入学許可をもらいました。

実は MSc. in Electrical Engineering 私の出願年度までは条件を満たしていれば合格がでる仕組み(Open admission)でしたので、競争があったかというとそれほどではないと思います。

淡々と書いていますが、当時は合格基準がわからず
ずっとソワソワしており、合否を見たときは
出張中の宿泊先で思わず叫んでいました☺️

しかし今年度から合格者数に上限を設ける「Limited admission」に変わるとのこと。今受験したら受かるかわかりませんね、、

Limited intake from summer admission 2025
From the summer admission 2025 the following will take effect. The Master’s programme only admits a limited number of students each year, meeting the admission requirements does not in itself guarantee admission to the programme.

Allocation of student places is based on an overall assessment. Allocation of student places is based on an overall assessment.

Aarhus University: ELECTRICAL ENGINEERINGMaster of Science in Engineering
https://masters.au.dk/electrical-engineering-msc-in-engineering 

オーフス大学の出願手順の詳細は、ヒグチさんの Note がすごく参考になります!!大変お世話になりました。

オールボー大学 / Aarborg University

オールボー大学はデンマーク第4の都市、オールボー (Aalborg) にある研究大学です。学生数は18,000人ぐらいで、留学生は25%ぐらい。
日本の協定校はあまりないみたいで、今期在籍している日本人は交換留学生数名、大学院生数名で合わせて合計10名いないと思います。

同大学院の MSc. in Engineering, Energy Engineering では、電力システムやパワーエレクトロニクス、水素技術など、エネルギー工学に特化した学びを追求することができます。

出願には、1. 学部生の成績・卒業証明書 2. 語学証明(IELTS 6.5〜) 3. 学部の履修カリキュラムと英訳シラバス、履修証明 4. Resume の提出が必須とされています。

オーフス大学と比較すると Resume があらたに加わったものの、あまりに心許なかったので、私は上記に加えて任意書類として 5. Letter of motivation 6. 推薦書2通 を併せて提出しました。

こちらは3月1日に出願し、4月22日に無条件入学許可をもらいました。
オールボー大学も同じ「Open admission」だったので、オーフス大学の合格をいただいた時点で大丈夫かな…とは思い始めていましたが、発表時期も遅いのでヒヤヒヤしてました。

提出書類の準備

提出書類の準備は結構時間がかかるので、早めに取り組んでおきましょう。

1. 学部生の成績・卒業証明書

卒業大学の学務へ英文の成績・卒業証明書が発行可能か確認しておきましょう。奨学金申請に利用するケースもあると思うので、依頼の際は複数部発行しておくと良いです。

2. 語学証明 (IELTS 6.5〜)

英語に自信のない方は早めに始めておきましょう。私も自信がなかったので、出願の1年半前からIELTSの受験を始めました。

Speaking が高かった時期は Cambly で英会話をやってたのですが、しばらく中断したら大変悲惨な結果になりました🥲 継続は力なり (逆もしかり) ですね、、

2022年05月 Overall 5.5 (R 5.5 L 6.0 W 5.0 S 5.0)
2023年05月 Overall 6.0 (R 6.5 L 6.0 W 6.0 S 6.0)
2023年08月 Overall 6.0 (R 6.5 L 6.0 W 6.5 S 4.5)
2023年10月 Overall 6.5 (R 6.5 L 7.5 W 6.5 S 5.0)

体感ですが、現地のデンマーク学生や留学生の多くはおおよそ Speaking 7.0 ぐらいある気がします。あと Listening 7.5 は出ましたが留学先ではいまだにみなさんの英語の2〜3割は聞き取れません。。

補足/ 2024年度受験からオールボー大学の IELTS 要件も少し厳しくなり、
Overall 6.5 に加えて各単元 6.0 以上が求められるようになったようです。
つくづく、2023年度に受験できたの本当に幸運でした。。

3. 学部の履修カリキュラムと英訳シラバス、履修証明

履修証明とは
出願要件に「線形代数や代数学で合計〇〇ETCS(European Credit Transfer and Accumulation System:欧州の大学単位)以上の単位をとっていること」など、修士課程の学びの前提となる科目の履修状況を答える書類です。

ETCSと日本の単位の互換は、どうすべきか悩ましいポイントでした。

交換留学の単位互換の換算式がWEB上に公開されている大学(早稲田大学など)は、その式を書類で示すこともできると思います。

私の場合はそのような書類を見つけられなかったので、母校のカリキュラムの1単位あたりの見込み学習時間と、ETCS1単位の見込み学習時間をWEB資料を引用して1.6 ETCS/単位で換算可能なことを主張し、各履修要件を満たしていることを示しました。

大学事務にもメールで単位互換ルールを確認したところ、
同じく1.6 ETCS/単位で換算しているとのことでしたのでそれに倣った形です

また、このプロセスで学部時代に履修した科目だけで満たせないという場合も、海外大学等の Supplementary Course(科目等履修)制度を利用して Certificate を取って履修証明に追加する、という技もできると伺ったことがあります。
ただ、この方法は数ヶ月ほど時間がかかると思うので、志望校や分野が決まっている方は早めに履修要件を確認しておくと良いと思います。

英訳シラバスについて
日本のほとんどの大学は英語シラバスなどないと思うので、これらの翻訳資料の用意が必要となります。

まずは「Webにシラバスが公開されているか」の確認が急務です。私の大学は幸運にも、過去の各授業のシラバスをWeb上で検索することができました。

「Webにシラバスが公開されている場合」だと翻訳作業が多少楽にできます。私は DeepL 有料版の Chrome プラグイン の翻訳機能に頼りました。各シラバスページを DeepL で英語に翻訳してから、PDFファイルで保存していきました。HTMLの仕様などで翻訳がうまくできなかった部分は、PDFの上書き編集で手直しして対応しました。

私は履修科目数が多めだったので、この機能にとても救われました😣

4. Resume 

いわゆる履歴書です。学校歴、社歴、スキル、資格、業績などを、大学のResumeテンプレに似せつつ記載しました。

デンマークのResumeは写真あり、笑顔okです。
真顔は少し印象悪いかも、と留学先で CV Photo を撮ってくれたお姉さんがおっしゃってましたよ!

LinkedIn のプロフィールを定期的に更新しておくと、いざという時に Rusume Builder 機能を通じてたたき台を簡単に作れるので便利です。

デンマークでは LinkedIn がよく使われているので、出願前に作っておいて損はないと思います。

5. Letter of motivation

モチベーションレターはとにかく進学のモチベーションと、そのために実行してきたことを、エピソードや情緒を含めながら記載しました。

これは読み物なので、提出前に自分以外の方にレビューいただいて、文章の読みやすさや心動かされ度などを高めておくと良いと思います。

6. 推薦書2通

推薦書は学部時代の研究室の先生と、勤務先の上司に描いてもらいました。大学院進学はかねてから計画していたので、お二方には度々計画の共有をしていました。
推薦書の相談は、IELTS6.5を出せた2023年10~11月ごろに対面でお願いしました。こちらも推薦いただく方のご予定があると思うので、早めに相談しておくと良いです。

受験してみた感想

受験や就活など幅広い物事にも言えますが、やはり本命へ出願する前に受験の手続きそのものに慣れておくことは大事だなと思いました。

また、2大学とも書類審査のみだったのでとにかく「卒業はできそうかな」と思ってもらえる履修証明と「入学させてみたら面白くなりそうかな」と思ってもらえるよう自己アピール資料を準備しようと心がけました。これも功を奏したかなと考えています。

一方で、学部時代のGPAや履修しておけばよかった単位など、覆せない内容についてアレコレ考えて反省してしまう癖があり、これは精神衛生上良くない過ごし方でした。

合否を出すのは私ではなく大学側なので、自分自身で不合格材料を並べて焦りを重ねるのではなく、出願要件を満たしていて出願可能なのであれば、あとは天命を待つ気持ちで臆せず申し込むべきかなと思います。


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