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Fnatic VS RedRams → REJECT 大決戦レビュー Apex机上の卓論#9

初戦から大怪獣バトル勃発

本日はALGSプロリーグ初戦、過疎集落で発生したFNC VS RRの3on3からRCWが介入した一戦を書きなぐる。普段競技シーンのトッププレイヤーたちを書きなぐっていることもあり、ランクマッチプレイに活かせる面は少ないところもあろう。この一戦は普段のプレイにおいても参考になるかもしれないぞ。見どころ満載のハイレベルバトルだった。
舞台はワールズエッジの過疎集落(展望はずれのあそこ)、ポイントと物資回収のために展望を回ったRRは洞窟を抜けようとするFNCを発見する。集落でカットすることを選択したRRに対し、FNCは正面からのファイトを選択。APACNを代表するチーム同士の3on3がいきなり幕を開けるも、そのファイトに王者RCWが反応した……という感じでどうだろうか。

不利を瞬時に理解したRR、有利を即座に抑えたFNC

洞窟から抜けたFNCは、L字屋上(過疎集落で一番強いポジション)を即座に全員で抑える選択。
先を越されてしまい不利になったことを瞬時に判断したRRは、整えるべく動く。

あらかじめ述べておかなければならない。RRは初動ファイト(件の事件による影響)対策にライフライン構成だ。対しヒューズ構成のFNCは当初より構成差でアドバンテージを獲得している。ヒューズは相手のスペースが限定された状況で輝き、ライフラインは味方間の距離が近くなければ有効に働かない。当然限られたランドマークで物資も潤沢ではない。一人一つのランドマークが漁れるFNCとは、雲泥の差だ。ポジションで有利を獲得したFNCは、それを生かすべく仕掛けていく。

FNATICファイト心得 ~其のいち~
・まずは有利なポジションを全員で確保するべし

獲得した屋上を使いカバーアングルを通すFNC。
RRが抑えていた家屋にヒューズUltを用いてプッシュする構えを見せる。
対しRRは屋上のYukaFを抑えるカバーアングルはあるものの、家屋へ介入は難しい位置。

Lykqのスキャンで位置を確認したのち、ヒューズUlt(チートスキャンオォォン!)により位置がわかるというアドバンテージを用いて、FNCが家屋へプッシュする構えを見せる。

FNATICファイト心得 ~其のに~
・有利を積み重ねるべく即座に次の手をうつべし

RRは、上側の家屋へ移動することで仕切りなおそうと動く。
家屋に閉じこもっていては先がないという判断を即座に下せるのがTSMを初動で苦しめたRRだ。
YukaFのカバーラインが働かない家屋へ移動を狙う。
その隙をFNCは逃がさない。Datchがダウン、ちこちゃんは大きく削られてしまった。
カバーへ入ろうとするわやちゃんはYukaFが狙う。

FNATICファイト心得 ~其のさん~
・動いた隙を逃すべからず

立て直しを許さず、Lykq、satukiが数的有利を作りながら迅速にプッシュ。
この戦いはFNCの勝利となった。

FNATICファイト心得 ~其のよん~
・時間を与えず即時押し切り

以上を、Fnaticファイト心得とする。

考えてみれば極々基本、ランクでも当たり前なベースをしっかりとこなしているのがFnatic。特筆すべきは、有利を作った後にそれを逃さない(立て直しの隙を与えない)FNCの技術と判断だ。RRが誤った判断をしたとは言い難く(立ち上がりで一瞬で遅れただけである)、立て直しの隙を一瞬でも貰えれば即座に対応姿勢を整えることができただろう。このファイトは結末がどうあれど更に長引いたはずだ。ヒューズかカタリストを使用していたはずのRRがライフライン構成であったという不幸もある。屋上のカバーポジションをチーム全体で獲得する立ち上がりから、迅速にファイトプランを組み立てたFNCに対しほんの一瞬の差、僅か1分足らずでこのファイトは終了する。一瞬を与えない(正解を選び続ける)FNCの恐ろしさと、構成というメタゲームの影響を感じる一戦、では終わらない。
ここへREJETCが介入するのだから。ファイトが後少しでも長引いていれば、RCWは容赦なく両チームを狩り取った。この試合で15kill3位を獲得した(RIDDLEが勝利)FNC。その後の命運も大きく変わっていたことだろう。


ファイトが既に終了していることを確認したRCWは、浮いているYukaFへ2人でプッシュ。数的優位を生かしてワンダウンを狙う。

トッププレイヤーである所以、異常な瞬間判断を魅せたLykq

移動のために既に動いていたLykq、後ろで遅れていたYukaFとsatuki。RCWの介入に気づくLykqはRCWに位置がバレていないことを察すると、驚くべき判断をする。YukaFの家屋へ詰めるKaronPeを撃たずスルーし、続いたSangjoonを狙ったのだ。Lykqの視点からではKaronPeもSangjoonも視点内に入るまで(YukaFの元へ向かうまで)は見えない状況からである。RCWのファイトプランを崩壊させ結果的にRCWの撤退へ繋がるターニングポイントとなったスーパープレイだ。

プッシュを察し時間稼ぎをするYukaF、カバーへ入るsatuki。
突然別アングルからの射撃を受け削られた(アーマーを消し飛ばしたAIM能力!)RCWはこの時点でファイトプランが崩壊しただろう。
Lykqの頭には、この時点で介入してくるチームがRCWだという判断も既にあったのだろうか?
RCWならばもう一人来るはずだ!という考えの元であったとしか思えない。
Lykqのスーパープレイは更に続く。
そのままSangjoonとKaronPe方向へプッシュするのではなく、Oblyとの1on1を選択した。
突然のプッシュに対応できず、Oblyがファーストダウン。

恐ろしいことにスーパープレイは終わらない。Lykqは味方方向へ合流に向かわず、カバーアングルを通していたOblyへプッシュ。意表を突いた1on1で見事にファーストダウンを奪い取った。瞬間的な判断、それを実行できる勇気とスキル。お手上げというほかない。

黙ってやられない王者RCW。即座にObly方向へMVPSangjoonが向かいLykqを討ち取る。
その瞬間を見逃さず、satukiとYukaFはKaronPeへプッシュする。

Lykqが抑えたポジションはOblyがカバーのために使用していた有利なポジションであり、そこを使われてはファイトに負けてしまうという判断を瞬時に下せるのが王者RCW。Oblyがダウンしてからものの数秒(仮にLykqの判断が一瞬でも遅れていれば、カバーが間に合った)でSangjoonが駆け付けLykqをダウンさせる。瞬間的な判断が全てトップクラスな怪獣大決戦が続く。

Oblyの蘇生を狙うと読み切ったYukaFのグレネードが炸裂。
Oblyには確定キルが入り、satukiのプッシュで更にダウンしたRCWは撤退を選択する。
結果的に立て直しへ成功したFnaticは最終円まで残り、大量ポイントを獲得するに至った。

Fnaticに対峙するっていうあとがき

FFLではsatukiヒューズのアンカーという新たな動きが見られるFnatic。彼らはまだこの現状に満足をしていないのだろう。アンカータスクにYukaFが飽きてバンガロールをやりたくなっただけだと思いたい。satukiの爆発的なスタッツは世界中の競技ファンから注目を集めているしそれを羨ましがっただけっていう説を押したい。他チーム視点研究に移りたいのにこんな変更されたらまた見なきゃいけないじゃん勘弁してよ……。
ドカチン突撃をしかけ優先権を握り、Fnaticに手番を与えず押し切るんだ!というのは昨日FFLにてxTies(元RIDコーチのむかいが立ち上げたチーム)が成功させたり(その勇気がなければFNCが勝利していたかもしれない)、MM1427やSBI、RCWがプロリーグで見せたFnatic攻略法の一つ。それは確かに有効だし、勇気と自信がなければ選べない判断だ。称賛を惜しむつもりはない。
しかし競技ファンおじさんとしては、正攻法真っ向勝負でFnaticを上回るチームを見たいと思ってしまう。
そのためのスキルや経験、可能性に満ちた競技プレイヤーが沢山いるのがAPACNのプロリーグである。プロリーグ次戦に期待したい。


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