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「強み」は見つけるものではなく、デザインするもの

会社でも個人でも「強みを活かすべき」と言われることが多い。しかし「強み」とは何なのか、「強み」をどう見つければいいのか、と考えると案外難しい。

自分自身のことを振り返ると、特に意識していなかったことを他人から強みだと言ってもらえることがある。また、お客様に「御社の強みは○○ですよね」と伝えると、「確かにそうですね。気づかなかったです。」という意外な反応を頂くこともある。このように「強み」というのは、極めて大切なことにも関わらず、自分で把握することはできていなかったりする。

この記事では、「そもそも強みとは何なのか」「どのようにして強みを見つければ良いのか」を考えたい。


そもそも「強み」とは何なのか?


自分は「強み」を下記のように定義している。

ある目的に対し自分と同じ価値を提供している競合に比べて特に自分の方が魅力的だと認知されている要素

例えば、あるサッカー選手について「あの選手はスピードあるドリブル突破が強みである」と表現されることがあるが、強みという概念には2つの前提がある。

①目的やゴールによって変わる

上記のAの例で言えば「点をとること」が目的である。当たり前ではあるが、サッカーにおいて「超速球でボールを投げることごできる」というスキルは絶対に強みにはならない。つまり、強みは目的やゴールがあってこそ成り立つ相対的な概念であり、絶対的なものではないのである。ビジネスでは「強みと弱みは裏返し」と言われることも多いが、それは何を目的・ゴールとしているかによって、強みが変わることを意味してる。例えば、執念深く思考し続けることは研究者としての強みになるかもしれないが、スタートアップの営業職においては「考えすぎて行動が遅い」という意味で、弱みとなることもある。強みは自分が追う目的によりけりなのである。

②所属集団や誰と比較されるかによって変わる

「ドリブル突破が強み」という表現は、「同集団に所属しているサッカー選手よりも」という前置きがある。例えば、その選手がJ1所属ならJ1の他の同ポジションの選手と比べられることが自然である。当然ながら、メッシやクリロナと比べてしまうと、強みとは言えなくなる。このように、強みというのは「誰と比較されるか」「どの集団に所属してるか」で変わってくる。ビジネスでも、営業であればお客様からは競合と比較されているし、経営からは他の社員と比較されている。他人と比較されるのは疲れるが、誰かの目的に対して結果を出したい、役に立ちたいとおもったら、常に自分以外の誰かの存在を意識した方が良い。「自分を他人と比べない」という言葉があり、長い目線でのアドバイスとしては有益だと思うが、多くの局面では必ず他人と比較されているというシビアな事実がある。

「強み」とは見つけるものなのか?

 強みの定義からも分かるように、強みというのは必ずしも「見つけるもの(コントロール不可能)」ではなく、「デザインできるもの(コントロール可能)」という考え方も成り立つ。つまり、今自分が戦ってる領域の中で「自分の強みは何だろう」と考えるだけでなく、自分が追い求める目的やゴールを変えてみたり、領域を変えてみたり、所属する組織を変えて競合(比較相手)を変えることで、自分の強みを作ることができるのである。例えば、研究者として頭の回転は早いけれども、他の研究者に比べると厳密にロジックを組み立てたり、深く思考し続けるのが苦手だとする。そこで、戦うフィールドをコンサルに変えれば、スピーディーに思考できる力が圧倒的な強みになったりする。同じように、数学がそこそこ得意な学生が理系ではなくあえて文系で受験するのも近い考え方である。

多くの人は上のようなことを無意識的にやっていることが多いとは思うが、意識的にやってみるのも良いかもしれない。今の領域で強みを見つけることだけでなく、自分の強みとなりうるフィールドは他にないか、と考えることも、自分の強みを活かして活躍するために大切な観点である。




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