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やはりどう考えても人には頼った方がいい。

人に助けを求めることが苦手だ。
5歳くらいの頃、スーパーで迷子になった僕は店員のおばちゃんに助けを求めた。迷子になった子供はそうするんだということは何となく知っていたからだ。そうすれば大人が一緒になって探してくれる。僕を一人にせずに寄り添ってくれる。大人ってそういうもんだろう。

しかしそのおばちゃんは何とも気だるそうに「えー、なに? その辺おるやろ」と吐き捨て、黙々と惣菜にシールを貼り続けた。打ちのめされた。子供に優しくない大人もいるんだ。人に物を頼むことは厚かましい、そういう概念が潜在的にあるものだから、僕はそれから「ヘルプ」を言えないまま成長してしまった。

物を頼めない性格は何かと困る。一人で全部を抱えてしまう。自分がめんどくさいと思うことは、他者にとってもめんどくさいことなんだと思い込んでしまう。

大学の部活では野球部の主将をやっていた。練習の内容から試合のメンバーまで、部のあらゆることを決めるのが主将の役割であった。いや、役割というよりも自分がしないといけないと思い込んでいただけかもしれない。その仕事は自分にとってめんどくさかったから。他の同級生に任せるのが申し訳なかったから。草野球の延長のような、サークルに毛が生えたような部活だ。だからこそ、真剣さとお遊びの塩梅が難しかった。

部員が20人30人になってくると必ず一人は問題児が現れる。その問題児は自分がミスをすると必ず道具を投げた。エラーをするとグローブを投げる。三振をするとバットを投げる。するとどうなるか。雰囲気が悪くなる。少しでも雰囲気良く楽しく環境を作ろうとしていたこちらの努力は、破壊野郎により全てパーである。プロ野球選手がバットを投げるのとは訳が違う。プロ野球選手は生活が掛かっているから熱くなってしまうのも理解できるが、こちとら単なる「野球ゲーム」だ。そんな中、ミスをしたことの「照れ隠し」で、「一生懸命やってますよアピール」で、そんなことで雰囲気を壊されてしまってはたまったもんじゃない。

そいつはTwitterにも部員の悪口を書いた。しかも鍵アカを使うわけでもなく、みんなに伝わる場所で遠回しに書いてくるから陰湿だった。直接的に言ってくることはない。破壊行動を起こす以外は真面目に練習を頑張るやつなのに、一度Twitterを開けば愚痴の数々なので余計に怖くなる。

チームの士気を下げる行為、直接言うのではなくSNSでネチネチ言う行為、どれも許されたことではない。試合に使いたいとも思わない。でも前述したように彼は誰よりも真面目に練習に取り組んだし、めんどくさい雑用もこなした。良い部分も知っていた。知っていたからこそ苦しかった。苦しむうちに、部活のことを考えるのが嫌になっていった。何でこんなことで苦しまないといけないのかと。

ついには頭がおかしくなって、仲のいい同期の「ちょっとしたチョンボ」に無性に腹が立って、わざわざ全員ミーティングの時間を選んで公開説教をしてしまった。今でも申し訳ないと思っている。結局は僕だって破壊野郎と一緒だったのだ。ヘルプを求める代わりに、自分の感情を一方的に押し付けることで、自分を肯定して欲しかっただけなのだ。僕も破壊野郎も間違っていた。僕は公開説教することでしか、あいつは道具を投げつけることでしか、そんな遠回しな手段でしか人に助けを求めることができなかった。

海外生活を始めたこともあってか、今は少しだけ前よりも人に頼れるようになった。「無理」「できない」と言えるようになった。周りに頼ればよかっただけの話だったと、今になってみれば反省できる。

新卒で布団屋の配送していた頃、物理的に無理な配送スケジュールを押し付けられた。その時も「できません」と言えなかった。他の人たちも忙しいことを知っていたからだ。当然時間には間に合わない。会社からは電話で早く向かうように急かされる。遅れて着いた現場、先方は怒っている。「会社にクレーム入れとくからな」と脅される。夜遅くに会社へ戻り、上司からも怒られる。悪いのは誰なんだろう。いや、少なくとも僕じゃない。会社か? 得意先か? この国の社会か? 僕は他者を恨んだ。

でも今なら分かる。悪いのは「助けてください」と言えなかった僕自身だ。

人に迷惑をかけたくないならば、人には頼らないといけない。これが簡単なようで難しい。ヘルプのサインを出している人に気づく。これはもっと難しい。「みんなしんどいんだよ」。その言葉で片付けるのは簡単だ。じゃあ、パワハラで自殺したあの人は、誰が救ってやれたのだろう。明日いじめが原因で死ぬあの子は、誰が救ってやれるのだろう。

助けは求めないといけない。手は上げれるうちにうちに上げた方がいい。その手に、気がつかないといけない。

【1月26日の日記】

I moved to a new house this morning. Two people came there from a company to help and I felt shocked about the difference in the culture. They made us help something. Japanese customers might not be able to believe that. I'm sure which is good. I can't use the internet until Saturday so it is supposed to be good for me to be apart from the internet.

朝から引っ越し。業者の人に来てもらったがやっぱりこっちの人はすごい。お客さんにむっちゃ手伝わさせる。お客様ファーストの日本とは大違いだ。どっちがいいのかは分からない。土曜日までインターネットが使えないのでしばらくインターネットから離れてみるのもありかもしれない

サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。