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ふわとろがない

先週書いた記事で「食へのこだわりはない」と堂々と言い切ったが、あった。自分をよく観察してみると一つだけあった。関係者各位、この度は虚偽とも捉えられる内容を公開してしまい誠に申し訳ございません。

それは大阪王将、梅田大融寺店での出来事である。僕は大阪王将のふわとろ天津飯が好きで、大阪王将ではそれ以外頼まない。その日もメニューを見ずに「ふわとろ天津飯単品で」とオーダーした。聞きにきてくれた店員さんがカタコトで「テンシンハンタンピン!」と厨房に叫ぶ。あとはじっくり腰を据えて待つのみ。

行ったことある人なら分かると思うが、大阪王将大融寺店はカウンターから厨房が丸見えだ。僕は王将の戦場と化した厨房を眺めながら待つのが好きなので、慣習に倣って観察していたのだが、厨房に日本人がいないことに気づく。ホールの姉ちゃん含め皆、4人全員中東系の従業員だった。割と忙しいはずなのに、ダラダラ話しながら作っているし、ここは本当に王将かと疑ってしまうほど。

味に関しては、他の店舗と大差ないように思ったが、何かもう一押しが足りないような気がした。それは彼らの料理スキルに原因があるのかは分からない。でも食べ切った後に満足していない自分がいた。

おそらく物足りなさの原因は、僕が厨房を見てしまったからだ。そして気づいた。王将(餃子の王将・大阪王将)の美味しさってストーリーも込みだったのだ。

YouTubeで違法転載されている王将社員の新人研修はあまりに有名だ。料理の研修はほとんどなく、軍隊のような団体行動を繰り返し、研修期間を通して愛社精神を培う。料理の腕にスパルタ教育は必要なのかという疑問は一旦横に置いといて、やはり「鍛錬されたであろう料理人」というブランドは大きい。信頼感が違う。

大阪王将梅田大融寺店の中東系の彼らの腕がないとは言わない。実際に他店のふわとろ天津飯と大差なかった。そんなことは分かっている。分かっているけれど、やはり僕はおっさんたちが厨房という戦場で汗を流しながら作る中華が食べたいのだ。せめて戦場感くらい出してくれないか。王将というのはだね、君たちが戯れあって適当にフライパンを振っていい場所じゃないんだ。普通の天津飯はいらない。僕が欲しいのはふわとろ天津飯なのだから。ふわとろ天津飯のフワっの部分には料理人の熱がこもっている。ふわとろ天津飯がふわとろであるためには、マニュアルにあるレシピだけでは再現できないのだ。

サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。