バンドマンはみんないっぺん会社でもやりゃいいんじゃないか
バンドマンはみんないっぺん会社でもやりゃいいんじゃないかと思った話だ。
ロックは「金儲けは悪!」と歌い、ヒップホップは「金儲けて成り上がるんじゃ!」と歌う文化があるのを知っているだろうか。僕は知らなかった。
先日、ヒップホップのルーツなどを勉強したのだ。すると「歌うべきこと」があると書いていた。「マジかよ、歌詞にルールあんのか」と驚愕した。
そう、音楽ジャンルには精神性みたいなものがあるのだ。
フォークは反政府だったり、レゲェは世界平和だったり、ポップスは愛だったりと、何を重要視しているかがアイデンティティらしいのだ。
もちろん例外もあるし、ロックとヒップホップ両文化における価値観の差に過ぎないのだけど、この「お金を儲けること」についてどう考えているかは面白い。ミュージシャンじゃなくとも個人差が強い部分だからだ。
そして江戸時代の士農工商の流れを受けたことで、現在においても金儲けに対して差別意識を持っているひとは多い。
僕も例に漏れず「ワーキングクラスヒーロー最高!貧乏なほどカッコいい!」と考えるロック小僧だった。
意識が変わったのは27歳のときにクラウドファンディングで直接大金を触ってからだった。価格を変えられたり、集まっていき、目標が達成されるダイナミズムを経験して、「金儲けは悪!」と考えが180度変わった。
あれからずいぶん時間が経過した。
いくつか法人を立ち上げ、10ぐらいの事業を触ってきた。数ヶ月で潰れた飲食店や、単価の高いものから低いもの、売りやすいものから売りにくいものまで扱ってきた。
分かったのは、「うまくいった金儲けは、相手の役に立っていて、失敗したときは役に立てなかった」という法則だ。
逆説的に考えたら、誰かしらの役に立たないと、そもそも取引自体が成立しないから儲からない。「儲け方」は「役立て方」ともいえる。
バンドも企業もお店も「ユーザーを満足させること」によって、その対価を受け取っている。より大きな満足が生み出されることは、地球上の幸せが増えたことと同義だ。
もう一つは、働く人々は対価の中から金銭を得て生活していること。誰かの役立っている場所に属していて、役立っている場所で役立つという偉業の果てだ。
つまり金儲けは「サービスが欲しくなったひと」と「働くひと」には不可欠だし、現代社会に必須の活動なのだ。
もちろん『金儲けが悪い!』という理屈が通るときもある。公害やフードロスみたいな外部不経済、企業サイドが負担しなきゃいけないところをすり抜けるケースだ。
ただ、こういった法令違反などの例外をのぞけば基本的には「金儲けは誰かの役に立っている結果」と言いきっても差し支えない。
だけどこの「金儲け」に対して、差別意識を持っている人々もいる。
カネを要求すること自体が不道徳であるという考え方だ。彼らは「何かしらの搾取だ!」というフィーリングをまとっている。ロックミュージシャンはそういう節があるので肩身がせまい。
日本人の20,30代の行動パターンを測定すると、もはや「不道徳サイド」のひとが多くなってしまうんじゃないだろうか。まぁ、でも僕のまわりにはバンドマンしかいないのでサンプルが偏っているのかもしれない。
そんなバンドマンと「金儲けヘイターズ」の属性が交わると、わりと最悪になる。
失踪・彼女や親、メンバーへの借金・DVとヒモのキメラ・グッズ会社、デザイナー、レコーディングの未払いなど…
むしろ搾取側に回っていることに無自覚だったりする。ありがちだし、僕たちバンドマンから金銭的な迷惑をかけられている人々がたくさんいる。申し訳ない気持ちになる。
バンドマンはみんないっぺん会社でもやりゃいいんじゃないかと思う。法人を持っている知り合いもたくさんいる。
成功失敗や規模感はおいといて、価値観が反転することがある。それが後々の自分、ひいては周囲にいるひとを救う可能性もある。27歳で自殺すると決めているなら話は別だけど、青春のエピローグを覚悟しておくならば生活は続く。
『株式会社』というのは「個人の欲望を追求した結果、相手の役にもたってしまう」という企業と資本市場の仕組みだけど、コイツは改めて人類の発明の中でも、最も偉大な部類に入ると思う。
「個人の欲望」を煮詰めてどうしようもなくなった僕たちにしかできないことはあるんじゃないだろうか。
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